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彫刻品

どうも!遅れましたが、載せます。

色々忙しくてペースは落ちてますが、

書くことがなくなった訳ではないので、

そこのところは勘違いなさらずに……、


なんか、単純に…スランプなんです。


と、愚痴ってるが、それでいいのだ14話!!


そして、森田と同じく二人の戦いを見ていた不良達のリーダー高橋はそんな二人の実力に驚いてはいたものの、仲間を残して逃げ出すといったリーダーとしてあるまじき醜態を晒すという事はせず、その場に残り二人と戦う意思がある事を言葉に出さず表していた。


「(仲間があんな簡単にやられちゃったのに…まだやる気なんだ。やっぱり、リーダーだけあって強そうだな…)」


と、その姿を見た森田は高橋にリーダーとしての素質を確かに備えているのを確認すると同時に他の不良とは一線を画するものがあるのも静かに悟った。


「さてと、最後の一人か…」


夏火の一言に高橋は改めて一人だけで二人と戦う覚悟を決める。正直、十人近くの不良を軽くのしてしまう二人に勝てる気はしないが、それでも、どちらかが襲いかかって来てもいいようにと構えた。けれども、高橋の覚悟とは裏腹に。


「こいつやった方が勝ちって事だな」

「だな…で、どうする?」

「俺がやるよ。お前調子悪そうだし」

「はぁ?、どこがだよ?」

「いやだって、さっき俺が倒した不良。お前あいつが魔法使おうとした時、倒すの何か戸惑ったよな?あんなのお前なら使う前に倒せたろ?だから、何か調子悪いのかなって…」

「あぁ、あれな…あれはただ、魔法を発動させようとしてる割には、組み立てがあまりに遅すぎたから、何かのフェイントだって勘繰ったんだよ。まっ結局、蹴りかかるお前に何の反撃もなかったんだから、ただの深読みしすぎだったみたいだけど…」

「な~んだっ。そんな理由か…じゃあ、そうだな…ジャンケンで決めっか?」


どうやら、二人一緒に戦う気はないらしく、どちらかが一対一で戦うつもりらしい。頼もしいには頼もしい発言なのだが、あまりに緊張感のないその提案は、森田をまたコントのようにずっこけさせそうになった。しかし、どうやら、それにもいい加減慣れてきたらしい。森田は、またか、といった感じの溜息をつくだけ済んだ。

一方、先輩である高橋は、年下の一年生にこのような扱いをされ腹立たしそうな顔を浮かべてはいるが、十人を軽くあしらう二人を相手に二対一で戦うよりも一対一で戦う方が勝つ可能性はまだあるので、今は辛抱だという感じにグッと堪えているようだった。


「よ~っし、あとだしはなしだからな!」

「あ~もういいよ。…お前がやれ、俺は疲れた」

「何だ、いいのか?」

「元々倒した数勝負は興味ねえしな。戦いたとも思わないし。お前に譲る…その代わりにさっさと終わらせろよ。終わったらメシ買いに行くんだから」


そう言って夏火は大河の肩をポンッと叩くと森田の所へと戻って預けていた荷物を受け取った。残された大河は、任された最後の敵のリーダー高橋と向かい合い。


「まぁそんな訳で、相手お願いしますね~。先輩」


ニコリと笑って急に相手を敬うような言葉を送った。ここにきて急に高橋の事を『先輩』と称えるなどバカにしているようにしか思えないが、何故か大河の表情からはそういったものを感じさせ、何の悪意や思惑すらない。そんな印象を与えさせた。


「なるほど…どうやら吉澤の奴がやられたのは、マグレって訳じゃないみたいだな」


力だけでなく相手の度量の大きさも感じ取ったのか、高橋は素直に大河を認めるような事を言うと、突然ズボンのポケットをまさぐるとある物を取り出した。状況から言って、間違いなく奥の手となる物を出したと思われるのだが、ポケットから出したのは、メタリックな銀色で輝く何の変哲もないキーホルダーであった。


「悪いが武器を使わせて貰うぞ」


高橋は取り出したキーホルダーを片手で握り締める。すると握った手から、正確にはキーホルダーが光輝いて握っている指の僅かな隙間から光があふれ出た。そして、次の瞬間、そのキーホルダーを握っていたはずの手に斧が現れ、高橋の手に握りしめられていた。


「あっ!」


突如現れた斧。森田はその正体をいち早く理解した。


「『彫刻品アクセサリー』!?」

「へぇー、流石『魔法高専』だな。不良集団でも、持っている奴もいるんだな」


続いて夏火も感心したように言う。


「別に珍しい物じゃねえ。ここじゃ二年になれば大抵の奴が持ってるぜ」


言い終えるなり高橋はブォンブォン!と斧を凄い勢いで振り回しながら『彫刻品アクセサリー』と呼ばれた物を見せつける。『彫刻品アクセサリー』とは、この世界を代表とする魔法製品である。

武器や道具などに特別な加工を施し小型化し、魔力を注ぐことで元の大きさに戻す。斧や大剣といった大きな物を持ち運ぶ際にわざわざ担ぐといった心配もなく。慣れれば一秒も掛からずに武器を取りだせる為、『退魔師』や『冒険家』。その他の危険な仕事に就く者には当然の所持品となっている。

昔はその便利さから利用価値が高くたった一本の剣の加工だけでも莫大な費用が掛かったが、今となっては、研究も進み比較的安値で加工して貰えるようになり、戦いに関係のない子供のおもちゃから家庭で使われるフライパンにまで、その技術は使われるようになっている。(ただし、実践で使うような武器の加工となると値段はかなり変わる)。


「でも、本物の武器を『彫刻品アクセサリー』にしてる訳じゃないんでしょ?そんな物を一介の不良が手に入れる訳ないでしょうから…」


夏火の指摘に高橋は肯定の笑みを浮かべた。


「あぁ、その通りだ。こいつは本物じゃねえ……だが!!」


高橋は片手で握っていた斧を両手で持ち、振り上げると地面に向かって一気に振り下ろす。すると、ドンッ!!という鈍い音を辺りに響かせ、斧が地面にめり込んだ。


「こいつは、本物同様に鉄で作られてる」


地面にめり込んだ斧を引き抜き、斧を見せつけるように前に出して言った。


「なっ、!!そんな危険な物、どうして!?」


高橋に聞かされた斧の実態に森田が驚いていると、隣で見ていた夏火は先ほどと態度を変える事なく冷静に分析していた。


「…刃引きして切れ味がなくしてんだな」

「あぁ、その通りだ」


良く分かったなとでも言うように高橋は夏火を称賛する顔を浮かべた。


「でも、そんな物、所持して罪になんないの!?」

「何でだよ?」

「だって、あんなのその気なれば人だって殺せるよ!」


高橋の持っている斧の全長は一mを優に超えており、高橋の身長と大した違いを感じさせない程であった。その為、斧の刃の部分も相当大きさであり森田の目測だが、刃は五〇から六〇cmはある巨大な物だった。例え、刃先の切れ味をなくしたしても、鉄で出来ているのなら重さも相当なものになる筈なので一発でもまともに当たれば大怪我は必至、下手をしたら死んでしまうかもしれない危険な物に違いなかった。


「そんなこと言ったら、どこの家にもある普通の包丁だって立派な凶器だし、ただのフライパンでも、その気なれば人を殺せる。殺せる可能性があるってだけなら、そこら辺に落ちてる石ころだって使い方によっちゃ人を殺せるだろ?」

「確かに…そうだけど」


夏火の言い分は尤もなのだが、だからといって森田はその説明に納得はできなかい様子だった。そんな森田を気にせずに夏火は続ける。


「政府が罰する基準は『切れる』か『切れない』か、その2択だけで判断してんだよ。もし『切れない』物まで罰するんじゃ、あの斧はまだしも、子供にプレゼントとしてあげる為におもちゃを加工して作られた『彫刻品アクセサリー』までその基準に引っ掛かっちまうだろ?政府がそんな事を一々調べて規制してくれる訳ねえだろ。それにあの手の『彫刻品』は別段珍しい物じゃない。普通に学校ここの授業でも使われてるしな…」

「えっ!?そうなの?」

「確か2か3年あたりの『実践魔法戦闘訓練』で、より実践に近づける為に、って金属で作った模造品を使うらしいぞ。選択する科目によっては、もっと早いらしいけど…」

「そう…なんだ」

「まぁ、その斧はそれとは別の物なんだろうけどな…今じゃ『彫刻品アクセサリー

手に入れるのは、そこまで難しくないからな…」

「……なんか楽しんでるように見えるんだけど…」


夏火の表情を見て思った通りに森田は少し気を使ったように言うと、夏火はそれを否定する態度は見せず寧ろ隠す気など一切見せず生き生きとし出した。


「まぁ、さっきよりは面白いかな」

「そんな呑気な!?あんなの一発でも喰らったら大河君どうなるか!」

「だったら、あいつは所詮それまでって事だろ?」

「そんな、!?」

「それにこんな事でやられる奴が『退魔師』になんて慣れる訳ねえだろ」


夏火のその言葉と態度から大河を助ける気がない事が分かった森田はただ心配そうに大河の方を見つめた。彼が夏火に変わって助太刀するという選択肢もあるにはあるのだが、先ほどの戦いを見る限りとても自分が役に立てるとは思えず。何より、大河自身が助太刀を望んでいるように見えなった。


「どうした?武器は卑怯とでも言うか?」


黙っている大河を煽るように言ったが、大河は相変わらず怖がっていなければ、怒っておらず喜怒哀楽のどれかで表すとしたら、『楽』。そう言うしかない表情で高橋を見ていた。


「いいや、別にそんな事思っちゃいないっすよ………けど、そっちが武器を使うならこっちも使ってもいいんすよね?」

「なに?」

「フッ、あんただけが『彫刻品アクセサリー』を持ってると思ったら大間違いだぜ…」


マンガっぽく決めるつもりなのか大河は急に声を変えいい声を出しながら、自分の右手首へ左手を持っていった。


「見せてやるぜ!俺の……俺、の…」


と、勢い良く右手首を触れた瞬間、何故か今まで威勢の良かった大河が時間でも止まったかのように動かなくなった。


「………………」

「?」

「…ちょっと、待ってくれ」


高橋にそう告げると大河は夏火の方に体を向ける。


「ちょっ、悪い竜!刀貸して!」

「………………」


それを聞いた夏火は無言のまま喜怒哀楽のどれでもない顔をし、隣に立っていた森田は、今度こそずっこけそうだったが何となくオチは読めたので耐えられた。というより、こういった状況を前に夏火がどういう行動に出るか興味があったので、是が非でも見逃す訳にはいかなった。そして、森田が興味津々な視線で見守る中、夏火が取った行動は、無言のまま先ほど森田に預けていた自分の鞄を開けて中を漁ると、ネックレスなどで使われていそうな小さい輪で繋がれた鎖にチャームのような金属が付いた装飾品(鎖の長さからブレスレットと思われる)を取り出し、大河に向かって投げた。


「…折るなよっ」

「(えぇええ!?まさかのツッコミなし!?)」


と、森田は心の中で盛大にツッコンだが、心を読む力を持っておらず何より他人がどう思っていようが気にしない大河は、夏火のブレスレットを受け取ると、


「見せてやる!これが俺の『彫刻品アクセサリー』だ!」


何の迷いもなくまるで自分の物であるかのように高橋に見せつけた。


「(あれ!?何か、大河君もなかった事にしてない!?)」


二人が取った行動に森田は思いっきりツッコミたかったが、この場を包み込む真剣な空気がそれを許さなかった。かくして、妙なわだかまりを胸に抱える事になった森田だが、流石にもうこれ以上は、ツッコミたくなるような事は起こりそうになかったので、一先ずは、気持ちを落ち着かせ今見た事を忘れようとした。ところが、


「ほう…一年のくせに、もう『彫刻品アクセサリー』を持ってる奴がいるとはな…」

「(って、先輩もなかった事にしてるゥゥ!!?えっ、何コレ!?僕がおかしいの!?それとも先輩がただ優しいだけ!?)」


畳み掛けるボケのオンパレードに森田はやっぱりツッコムべきか、止めとくべきか、大変頭を悩ましたが、原因である大河も夏火も高橋も、既に先ほどの一件を忘れたのか真面目な顔で今この瞬間だけに集中しているようだったので、これ以上深く考えるのは止めた。念のため言っておくが、別に今の出来事に違和感を覚えた森田が何かおかしいという訳ではないので、そこら辺は理解しておいて欲しい。


「えぇ、師匠がくれたんスよ。って、俺のじゃないっスけど」


大河は説明しながら、先ほどの高橋のように渡されたブレスレットを握り締める。

すると、ブレスレットを中心に眩い光が放たれ、直後、ブレスレットを握っていた大河の手には、それと代わるように黒い鞘に収められた刀が握られていた。


「剣?いや刀か…なるほど、何か武道を習っていたとは予想してたが、お前ら剣道の経験者だな?道理で動きが違う訳だ。その刀は、お前の師匠とやらが練習用にでもくれた。って、ところか?」

「えぇ、本物同様に金属を材料にして作られてます。けど、ご安心を…刃引きはちゃんとしてあるんで」

「なるほど練習用とはいえ、本格的だな。だが、そんな細い鉄の棒でこんだけの大きさの斧を受け止められると思っているのか?」


敵を肯定するのは抵抗があったが、森田は高橋が言う事は尤もだと思った。例え切れないよう加工してあったとしても、同じ鉄同士の武器のぶつかり合いなら質量が大きく破壊力のある方が勝つに決まっている。高橋の斧は形で言えば、戦闘用として珍しくない両刃状の斧頭が木で作られた柄の先に付いた物であり、鉄で出来ているのは斧頭や刃の部分だけだが、大きさが大きさなだけに重量は、数十kgはありそうだった。それに比べ大河の刀は、柄の重さを含めても数kg程度しかなさそうな物で、刀としては立派な物かもしれないが、高橋の斧と比べると酷く頼りなく見えた。

しかし、大河はそんな事は気にしてなさそうに楽しげに笑っていた。


「まぁ普通は無理っスね…まともに受けずに刀の特性の生かした『切る』『突く』『払う』を使って相手を翻弄する戦いをするのが教科書通りっスけど、まぁ、その程度の斧なら受けても問題ないっスから…」


どう聞いても挑発にしか聞こえない余裕の発言をする大河。更に笑った表情も加われば、もうそれは挑発にしか思えない。だが、今日一日、嫌々ながらも大河に付き合った森田は分かっていた。彼の言っている事は挑発でも何でもなく、ただ思った事を言っているだけだと。


「だったら……………受けてみろ!!」


どうやら、大河の言葉を単純に挑発と高橋は受け取ったらしい。先ほど地面に斧を叩き込んだ時と同じように斧を振り上げると、今度は何もない地面ではなく大河に向かって斧を一気に振り下ろした。斧の特性とは、その切れ味よりも切断力にある。普通に刀では切れない物であっても斧の重さと力を一点に集中する刃の角度によって、傷を付けたり壊せたりするのだ。しかも今は高橋の斧を振る力も加わっている。例えガードをしても、その重さと斧の切断力に刀の強度が耐えられず刀が折れる、もしくは刀ごとガードを崩し、斧が大河の体に襲いかかるのは明らかだった。だが、

ガキンッ!

聞こえて来たのは鉄が体に食い込む音ではなく金属と金属がぶつかる鈍い音。

そして、その後に、


「ほらね…やっぱ大丈夫だ」


まるで何事もなかったかのような声で呟いたのは、斧を振り下ろした高橋ではなく斧を刀で受け止めると言う不利な状況にいた大河の方だった。


以上です。


中途半端な終わり方で申し訳ありませんが、

続きは次回という事でよろしくお願いします。


色々あって最近ちょっと忙しいんです。

けど、書くのが嫌になったわけではないので、ご安心を、


今回の話で触れる事があるとすれば、『彫刻品』なんですけど、

これは、イメージ的にRebornのボックスとかMARのアームを見て考えたものです。

一応は魔法の技術と言う設定ですが、細かい説明をすれば今後のネタバレになってしまうので、また今度という事でお願いします。

まぁつまり、何も分からないという事です。


すいません。

設定はあるんですが、今言える事はあまりないんです。

とりあえず今回はこの辺、ご理解の方をお願いします。


ではでは、次回もがんばります。

誤字脱字に気づかれましたら、ご指摘お願いします。



このスランプ…抜けられるか!?


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