戦い方は人それぞれ
どうも!次の日には載せると言ってたのに、
遅れてしまいどうもすいません。
まっ、どうせ誰も待ってないんでしょうけど…俺の作品なんて…
あれ?デジャブ?
そんなこんなで一日遅れですが、一三話行きま~す!!
まずは、森田が目を瞑っている間に起こった事を説明しよう。といっても、大河も夏火も別段特別な事をした訳ではなく、やった事は至って単純。向かってきた不良の鉄パイプ攻撃を避けて、その後に反撃のパンチを喰らわせる。それだけの事だった。
「2人目!次3人目、ってな!」
意気揚々と告げたその宣言通り、大河は次の標的を探し出すと狙いを定め一気に近づいた。
「このォォ!!」
大河に距離を詰められた不良は次の狙いが自分だと悟って、やられる前にやってしまおうと鉄パイプを振り上げたが、大河の方が上手だった。
「ダメダメッ!」
ガシィッ、と大河は鉄パイプを持つ両手をそれが振り下ろされる前に片方の腕、左手を一本使って掴むと、振り下せないように押さえ、次に使っていないもう一本の腕、右手の拳を完全無防備となっている腹部へ叩き込んだ。
「ウオッッ!!」
先ほどの二人目同様、単純だがお手本のような撃退法で相手を豪快に倒していく大河。その姿は今まで打って変わって真面目なモノに見えたが、
「そんな対処法じゃ、ネテ○会長に「悪手だ。蟻んこ」って言われますよ。次四人目!」
今朝や昼のように相手をおちょくる台詞を付け足す事は忘れていないようだった。そして、大河がそんな風に敵を倒していく中、
「一々言わないといけないのか?じゃあ次四人目っと」
夏火の方は、戦いが得意ではない森田でも分かるほど綺麗な戦いで不良達を打ち負かしていた。先ほど見た大河の戦い方も十分お手本通りで、多少豪快に見えたが丁寧に戦っていると言い表しても問題ない戦い方であった。しかし、夏火の戦い方は、そんな大河の戦い方を粗末なモノと思えてしまうほど見事なものだった。無茶苦茶に拳や鉄パイプを振るって襲ってくる不良達をヒラヒラと華麗にかわして、かわした直後に拳や蹴りを喰らわせて、不良を戦闘不能にする。
「はい、次五人目」
やっているのはそれだけなのだが、夏火はその一連の流れをまるで映画のように初めから殺陣が決まっていたのではないかと疑ってしまう程、見事な動きでやってのけていたのだ。
「(大河君もだけど、夏火君も凄いな。でも…何だろう?この感じ…)」
少なくとも森田には非の打ちどころが分からない夏火の戦いだったが、見ている内に何か妙な感覚が襲ってきた。
「(大河君みたいに思いっきり殴ってる訳じゃなさそうなのに、あんな簡単にやっつけて…それに相手もなんか、おかしい…なんて言うか…なんて言うか…)」
なんて言うか…、と答えの出ないまま繰り返し続けたが、そんな事で答えが出る訳もないので、森田は取りあえず夏火の戦いを今一度観察する事にした。だが、今の倒した四人目も、次の五人目を倒す瞬間を見ていても、結局違和感の正体を掴む事は出来ず、
「(何か変だ…うまく説明出来ないけど、相手の動きが変なんだ…とにかく変だ…)」
ただ不良達の様子がおかしいと再確認しただけで終わり。より一層、謎に悩まされる事になってしまった。それでも、もう二,三人ほど倒されるところを見れば、何が違和感となっているのか、原因の尻尾くらいは掴めたかもしれない。恐らくそれは無理だと思われるので、今回は先に森田が感じた違和感の正体をお教えしよう。
森田が薄らと感じてはいたが、説明出来なかった不良達の動きの違和感。それは不良達が夏火の拳や蹴りに向かって『自ら突っ込んでいる』ように見える事が原因だった。何分、矛盾している答えなので順を追って説明しよう。まず根本的な原因は、言うまでもなく戦っている夏火。彼は不良達との闘いにおいて、最初に相手の動きを読み、それから相手が動くもしくは向かうであろう行き先を予想し、そこに予め自分の拳を用意しておき、相手がその拳に突っ込んで来たのと同時に拳を振り切り、自分と突っ込んでくる相手の力を利用してダメージを倍増させる。カウンターの要領で行う戦い方なので別段珍しいという訳ではないが、原理を知らない者が見ると、まるで敵が自分から殴られに行ってるように見えるのだ。
ただ、今その戦い方を見ているのは戦いのプロどころかまともなケンカもした事のないずぶの素人である森田なので、何かおかしいとは感じる事出来ても、何が起こっているのかまでは答えがでず、違和感を感じるだけで終わってしまったのだ。ただし、結局は同じ事をやり続けているだけなので、連続して何度も見ていれば、次第に目が慣れてくるので、もう少し不良を倒すところを見れば不良達が自ら殴られてるように見える事くらいは森田でも気付いたかもしれない。けれども、先ほど述べたとおり。今となっては、森田がその違和感の原因に気づくのは不可能であった。
「マッ、マジかよ!!」
気付けばもう残っているのは、手を出さずに見守っていたリーダー高橋とたまたま生き残っただけ不良、二人だけとなっていたからだ。
「(取りあえず、ザコはこいつで最後、俺が近いし…やるか…)」
などと考えた夏火は面倒臭そうに最後の一人へと近づいて行った。正直言えば大河との倒した数勝負はどうでもいいので、わざわざ夏火が倒す必要はないのだが、大河よりも相手に近いのにそれを見逃して、大河に投げ出してむざむざ引き分けになるというのはなんとなく夏火の癪に障ったのだ。
「チッ、仕方ねえ。悪いな高橋!お前にもトバッチリがいくかもしれねえが、使うぜ!」
近づいて来る夏火を前に、このままではやられると感じた不良は大声でそう叫び、スラスラと何かを描くよう宙を指でなぞり出し、それを見た夏火は何か危機を感じたかのように急に足を止め立ち止まった。ただ宙を指でなぞっているだけなら問題ないのだが、今不良が宙をなぞる指先からは赤い光が生み出されており、その光は指の動きに合わせて文字を、それもどの国にも属していない文字をいくつも並べて一つの文を宙に形成していた。その文字と文字の並び、この世界でその意味を知らない者はまずいないだろう。
「(魔法文字、使う気か!?)」
ここ魔法高専は魔法専門の学校と言うだけあって魔法に関わらない日はほぼない。だが、それはあくまで授業や部活においての事だけであり、普段の学校生活で私的に魔法を使う事は固く禁止され、もし使えば停学、最悪の場合退学もありえる。その為、ケンカで魔法を使う者はめったにいないが、どうやらこの不良は状況的、もしくは二人の力から使わざるえないと悟ったのだろう。現にまるで腹を括ったような顔で魔法文字を描いていた。
「(赤い文字にあの文字列…四季十二の炎熱系魔法だな……でも…)」
冷静に魔法を見極める夏火の頭に一つの気になる事が浮かび上がった。しかし、不良の魔法は、もう発動する寸前のところまで組み立っていたので、今はその気になる事よりも、目の前の攻撃魔法に集中するの先決なので、夏火は一先ず直ぐに対応できるように身構えた。
「『堕ち組』だからってなめるなよ!それなりに攻撃魔法を…!」
魔法の完成が間近になり気でも良くしたのか、不良が得意げに語り始めた正にその瞬間、
「する前に倒ォォォォォすッ!!」
突然、という言葉がぴったりなタイミングだった。不良から離れた所にいたはずの大河がいきなり不良に向かって走り出し、バゴォッ!、と飛び蹴りを不良の頭に叩き込んだ。
「タコスッ!!」
もう悲鳴と言っていいのかも分からない声を上げて倒れる不良に、大河は飛び蹴りの後の着地を綺麗に決めた後、右手人差しを倒れた不良に向けて突出しながら、効果音を付けるなら、『ドッギャァァ~ン!』という音が似合いそうなポーズを取って、
「モブキャラが最初の魔法使用描写なんて大役、やらせて貰える訳ないでしょうが…」
「なっ…なん…で……ジョ○○立ち?」
「…そっちかい」
と、ツッコンだのは夏火。倒す手間が省けた事は彼にとって喜ばしい事なのだが、その手間が省けるまでの過程を見ると、どうにも犠牲になった不良が不憫に思えて素直には喜べなかった。
「まぁ…今ので5対5。取りあえずは引き分けだな…」
「あっぶね~!!。何とか追いついた~でも、勝てると思ったんだけどな~…」
「無駄が多すぎんだよ。お前は…」
「そんなこと言って、!倒した数なら俺と一緒じゃねぇか!」
「…お前は始まる前にフライングで一人ぶん殴ってだろうが」
だが何はともあれ十一人いた不良達も気付けばたったの一人。リーダーである高橋しか残っていなかった。時間にしたら一体どれだけたったのか、普通ならマンガやアニメでは早く敵を倒した時に「ものの五分」や「五分足らず」などの五分という言葉を使うと早く終わったなどのイメージがつくが、今回の一連の戦いを見ると、その五分という時間があまりも長く感じた。二分か一分。もしかしたら数十秒も掛かっていないかもしれない。そう見ている森田に思わせるほど夏火も大河も、素早くかつ鮮やかな手際であった。
以上です。
内容自体はほとんど出来上がってたんですが、
何度か書き直したので、時間がかかってしました。
本文に触れると、え~そうですね。
また魔法は使いませんでした…。
別にじらしているつもりはないんですし、
誰に最初に魔法を使わせたいとかないんですが、
特に使う必要もない戦いなので、
もうこの戦いでは魔法はつかいません!
断言します!!
まぁ、魔法を使ったからって、どうってわけではないですし…
あれ今俺自分の作品全否定した?
でも、次回は一つ、とある魔法の技術を描きますので、
完全に魔法から離れるわけではないので、どうぞご了承を…
ではでは、今回はこの辺で、
誤字脱字に気づかれましたら、ご指摘の方、よろしくお願いします。
次回もがんばります。