結局逃げられない
どうも!正直言うと、明日あたりに連続2話投稿しようと思ったんですが、
今日一話載せて、明日続きを載せます。
えっ、何で予定を変更したって?
それは、テンションの上がることがあったからだ!!
何があったかは、その内言いますが、
今はとりあえず、12話行きま~す!!
不良達に付いて行った結果着いた所は、体育館裏。世間一般で言うところの絶好のケンカスポットだ。
最初は付いて行くことに戸惑ったが、大河と夏火は、
『なんか面白そうだな!』
『何だ行くのか?まぁ、別に暇だけどさ…スーパーの特売に間に合うわせろよ』
なんやかんや言いながら不良達に付いて行ってしまい。これからの起こるであろう事を考えると二人だけで行かせる訳にもいかないので、数は多いに超したことはないと思った森田は、結局こんな所まで付いて来てしまったのだった。
「ふ~悪かったな…取り乱しちまって…」
落ち着いた感じに言ったのは、先ほどヤケクソになって自称不良の誇りリーゼントをクシャクシャにしようと取り乱していた高橋。ここに連れて来られる間に冷静さを取り戻したのか、今は先ほど乱したリーゼントを櫛で丁寧に整えており。その後ろでは安堵した不良達がホッと胸を撫で下ろしているのだが、高橋はまったく気づかずに話を始めた。
「まず要件だが、さっきも言った通り昼にお前ら返り討ちにした吉澤の件だ」
「吉…澤?」
森田はポツリと繰り返した。正直、そんな名前の人に会った記憶はない。と言いたかったが、森田はすぐに心当たりがついた。そもそも今日出会ったばかりの森田、大河、夏火の3人が共通に出会っており更に昼に会った人物と言えば、一人しかいなかった。
「…吉澤…吉……澤……吉………吉?。……あっ!ヨッシー!?」
答えの出た森田は思わず先輩のあだ名を叫んでしまった。
「あぁ、そうだ!吉澤ことヨッシー。俺達と同じ『堕ち組』のメンバーだ!」
高橋の説明を聞き、全てを悟った森田は改めて昼の事を鮮明に思い出す。昼に再び吉澤に会った時、颯爽と現れた大河が吉澤を蹴り飛ばし、記憶を失わせるという重傷を負わされた彼の姿を。だが、
「ヨッシーって……………誰?」
一人だけ思い出せない人物がいた。それは勿論大河。そして、本来なら知り合いでもあり彼らのツッコミ役になりつつある森田がこの場はツッコムべきなのだろうが、あまりにベタだったので、森田(不良達も)は盛大にずっこけて、ツッコミに力を回す事が出来なかった。だから、という訳でもないのだが、代わりに不良の一人が立ち上がって、
「なにぃぃ!?覚えてないのか!?」
あまりなってない微妙なツッコミだったが、ちゃんとツッコムのだった。
「えぇ…まったく。あっ、もしかしてアレの事?あぁ、俺の好きっすよ。あの恐竜…」
「それどっかの世界的ヒットゲームキャラだろ!?」
「明らかにどっかの配管工のおっさんの相棒の事言ってるだろ!?」
今のツッコミは中々良かったな。などと感心していたが、今はそんなこと考えている場合じゃない。森田は直ぐに立ち上がると、一刻も早くヨッシーを思い出してもらう為に朝や昼の事をあれこれと説明したが、名前が出ているのに思い出せないという時点で、普通に説明した程度で思い出してくれる訳もなく。大河は森田の説明を聞いている間ずっと頭の上に『?』を浮かべていた。そんな何も思い出せない大河を見かねてか、夏火は仕方ないといった感じのため息を一つ吐くと、
「ほら、お前が朝と昼に蹴り飛ばしたろ?あの『復活の呪文』を忘れた先輩だよ…」
「あぁ!あのメモリーカード!」
一体何が切っ掛けになったのか分からなかったが、どうやら思い出してくれたらしい。たった一声であれだけ言っても思い出せなかったヨッシーの記憶を引き出してしまう夏火に森田は本気で感心していたが、
「何で思い出してんだ!?何だメモリーカードって!?復活の呪文って!?」
「ヨッシーの「ヨ」の字も出てきてねぇだろ!」
不良達はどうも納得出来ないらしい。
確かに最終的なキーワードが『復活の呪文』では、納得しろという方が無理な話である。だが、これ以上やっても大河のペースに飲まれるだけだとリーダーの高橋は気付いたらしく。他の不良達にこれ以上、何も言うなといった感じの咳払いをし、不良達を黙らせた。
「別に俺たちはアイツと特別に仲が良い訳じゃねえが、アイツも俺達と同じ『堕ち組』の一員だからな」
最初は大河にやられたヨッシーの仇打ちかのように思えたが、リーダーの話を聞く限りそれが根本的な理由ではないようだった。
「だから、アイツがなめられると関係ない俺達にまで影響があるんだ」
「しかもやられたのが入学初日の新入生。そんなのになめられたとあっちゃ…」
「俺達2年の立つ瀬がねえ!」
不良達は先ほどのように逃がさないように大河達の周りを囲んだ。
「別にオメェらに恨みはねぇが…このまま引き下がる訳にもいかねえんだよ」
「11対3っていうのも卑怯な気もするが…やらねえ訳にはいかないんでな」
大河達を逃げられない様に囲むと、不良達の目つきが変わった。
いよいよもって逃げられないことを悟った森田は、これから始まるケンカのことを考え体を震わした。いくら手を出したのが大河であったとしても間接的な原因は絡まれていた自分にあるし、何より直接手を出した訳でもなく森田より遥かに関係のないはずの夏火が逃げようともしていないのに自分だけが逃げるという事にはどうにも抵抗があった。
「(まともなケンカなんてした事はないけど…せめて、逃げる為の良い案くらいを…)」
二人を思い逃げないことを心に誓った森田は、この状況を打破するべく秘策を練っていると森田の隣の大河が、
「な~んだっ!早い話。ケンカしたいってことでしょ!?だったら、全然O・K!」
先ほどと全く変わらないテンションで言い。森田は呆気にとられた。
一方、大河との付き合いが長い事が窺える夏火は、やっぱりなといった感じの顔を浮かべて何度目かの、ため息を溢した。
「たくっ。いつもいつも面倒事に巻き込みやがって……おい、森田!」
急に声を掛けられたので、森田はビクッ、と肩を震わす。
「なに?」
「危なねえから、ちょっと下がってろ」
マンガでは当たり前のように出てくる台詞だが、実際に目の前で見た事のなかった森田は
「(ちょっ!超ベタなんだけど、実際に見てみるとすっごいカッコいい!!)」
信じられないほどの感動に包まれていた。
しかし、感動に包まれて小刻みに震える森田を大河は怖がっていると感じたらしく。
「なぁに、心配すんな…お前には迷惑掛けねえよ。俺達でやっから」
「えっ!?あっ…うん」
「あっ、そうだ…これ持っててくれ」
鞄と着ている制服を脱いで森田に向かって投げた。
「うわっと!!」
「あぁ俺も…」
夏火も鞄と制服を脱ぐと森田に手渡しで渡してきた。
制服の下に着ているのはワイシャツであり。動きやすさで言ったら体操着やジャージの方が上かもしれないが、それでも決して動きにくい訳ではない。少なくとも制服のまま飛び蹴りをかました大河の動きが制限されるとは思えない。そして、下に穿いている制服のズボンはここ『魔法高専』の特注であり春夏秋冬。一年中穿いていられるようにする為、動きやすさや通気性、更には長く使え、簡単に破れたりはしない丈夫な生地で作られているその丈夫さは学校側がその恰好のまま戦闘訓練を受けても問題ないと認める程で、現に何人かの生徒はこの制服で戦闘訓練を受けていた。尤も、そんな事を大河が知っているかどうかは別だが、恐らくどんな格好であっても彼には関係ないのだろうと思えた。
「くぅ~久しぶりだな~この感じ!!。よっしゃ、レッツバトル!」
実質11対2という不利な状態だというのに、大河は楽しそうに肩を回したりなどの準備運動をしてケンカに備え、
「さっさと終わらせようぜ。特売行かねえと俺の今日の夕飯が白米だけになる」
夏火の方は面倒臭そうに膝を屈伸させてケンカの準備をしていた。
「それと、お前魔法使うなよ。どうせ派手な事になるから」
「え~せっかく俺達の力を披露できる場面になったのに~まだじらしプレイか~?」
「授業、部活、特別訓練。その他やむ負えない事情以外で魔法を使えば、停学だぞ」
「うっ…じゃあ武器は?」
「それも同じだ。まぁ、魔法と違ってばれる心配はないだろう…」
けど、と夏火は言葉を区切ると、不良達を軽く見回して、
「この程度なら使う必要ねえと思うぞ…」
大河以外には聞こえないであろうくらいとても小さな声呟いた。
一方、二人の様子から逃げる気がないことを悟った不良達も着ていた制服を脱ぐなり、何所から拾ってきたのか鉄パイプを持つなりして、それぞれ準備を整え、リーダーである高橋はリーダーらしく奥の手なのか、それとも単純に自分の出る幕でないと考えているのか部下達の後ろに立って腕を組みながら大河と夏火に観察していた。
「フッ、威勢のいい奴らだな…この数を相手に逃げないっていうのは褒めてやる。だけどな、無謀と勇気っていうのは……」
そして、不利な状況でも戦う気のある二人を称賛するかように、フッと余裕の混じった笑みを浮かべて、何か名言的なものを言おうとした。のだが、
「ホワチャァァァァ!!!」
「ヴェヴォォォォ!!」
急に大河が近くにいた不良に飛び蹴りを喰らわせ、それを喰らった不良が悲痛な叫びを上げたので高橋の言葉が打ち切られた。
「わっ、渡辺ぇぇ!!?」
「なっ…なん…で、?俺が…いきなり?」
殴られた不良(渡辺)は、盛大に吹っ飛ばされた上に地面に叩きつけられ、立ち上がろうとしたが自分のダメージからそれが無理だと悟れたので、言いたい事だけ言うとガクッと倒れて意識を失った。
「オイィィィ!!!なに前触れもなくいきなり始めてんだ!?」
「まだ高橋が喋ってただろうが!!」
「知らねェな!敵の話を最後まで聞かなくちゃいけないなんていう、甘っちょろいルールは!世の中やるかやられるかなんだよ!」
言っている事は別に間違ってないが、そんな事で不良達が納得する訳もなく。
「何なんだよ、お前は!?ケンカするならモラルくらい守れ!」
これまた尤もな意見だが、九対二という状況で彼らにモラルをどうこう言う資格があるかと言ったら、正直かなり微妙である。
だが、大河が手を出したのは事実。そうなれば、もう彼らも引く訳にはいかない(最初から引く気はなかったが)。始まってしまったケンカを森田は心配そうに見つめていたが、そんな森田の様子も気にせず大河は相変わらず楽しそうにしており。
「11人か丁度いいな。これならどっちが多く倒せたかハッキリする」
「フライングで1人倒しといて、倒せた数勝負か?」
夏火も相変わらずウンザリとした顔だったが、
「まっ…奇数だろうが偶数だろうがフライングだろうが…俺が多く倒すんだけどな」
そう言い終えると
大河ほどではないが口元が緩み、笑っているのが確認出来た。
「チッ!おい、油断するな!!」
苛立ったように言い放ったリーダー高橋の指示に今まで二人が何をしても決して手を出さず耐え続けてきた部下の不良達は、待ってましたと言わんばかりに一斉に二人に飛び掛かった。リーダーである高橋と先ほど大河が倒した一人を除いても残りは九人。
二人で相手にするには多すぎる数であるのは間違いない。
「ウオォォ!!」
「死ねェェェ!!」
持っている鉄パイプを振りかぶって襲い掛かる不良達を前に森田は、二人がやられる姿が頭に浮かび上がり、自分の事ではないと言うのに思わず目を瞑ってしまった。
「ウアッ!」
「ダァァッ!」
直後、痛みからくる男の悲鳴が二人分聞こえてきた。森田の脳裏に先ほど想像した二人の
やられる姿が浮かび上がった。しかし、何故か森田は聞こえてくる叫び声に違和感を覚えた。今悲鳴を上げた二人の男の声と森田が脳内で再生していた大河と夏火の二人がやられる映像がかみ合っていなかったのだ。聞こえてきた悲鳴は二人の声のものにしては低く少し野太い感じの声で、どうにも別人が上げたような声だった。どうして、そんな事になったのか、目を瞑っている森田が知れる訳もないので、何が起きているか確認する為、恐る恐る目を開いていき。そして、目にした光景に衝撃を受けると同時にある印象を持った。
「(すっ、すごい。マンガみたいだ…)」
その例え通り。マンガや映画の中でしか見た事のない光景が森田の前には広がっていた。
以上です。
バトルの前。
今回の話を現すとその一言。
魔法が使われるのを待ってくれている皆さん…
って、そんないないか…どうせ俺の作品なんて…
あっ、すいません。なんでもないです。
とりあえず、今回はバトルの直前の話、
次回がバトルになって、大河と夏火の『戦い方』(ここ重要です)
の大まかな設定を載せますが、一先ずはここまでで、
次回の話は明日、あたりには載せますので、(多分)
微妙な辺りで終わりますが、どうかご了承ください。
ではでは、今回はこの辺で…次回もがんばります!!