教科書販売に行った後で
どうも!できたので載せます!
万事屋『幻想殺し』と交互に載せてこうと思いましたが、
なんかこっちが早くキリのいいとこまでいけそうだったので、
こっちを一気に仕上げました。
そんなこんなで10月になってからの第10話!
特別意味がある訳じゃないけど、
それでいいのだ!第10話!!
「アァッ!しんどいっ!」
大量に積み上げられた教科書を机に置き、夏火が腕の筋肉を揉み解しながら言った。
今、夏火と大河の机の上には夏火が2回に渡って運んだ教科書が置かれている。最初は一度で運んでしまおうと思っていたが量が量であり。教科書を販売している『本棟』は教室のある『第3棟』から最も離れいるので自分の分を運ぶだけでも大変な労力が掛かり、それを二人一遍に運ぶのは、あまりに無謀そうだったので、結局夏火は横着せずに手間は掛かるが、2回に渡って『本棟』と『第3棟』を行き来したのである。
「(あ~この手の力仕事は、大河の分野だっつーのに…)」
腕だけでなく腰や足にも相当な負担が掛かったので、夏火は軽く体を捩じって腰の筋肉を解して休んでいると、後ろから誰かがトボトボと近づいて来るのを感じ取った。
それが大河だと確信した夏火はすぐに振り返り。
「はぁ……おい、大河!。来年はお前が行けよ!大変だったんだぞ。この量…は…」
と、夏火は途中で言葉が詰まった。
別に後ろにいた人間が大河でなかったという訳ではない。後ろにいたのは確かに大河であった。ただ、先ほど分かれた時とは違い右頬が赤く腫れ、衣服もあちこちが汚れて、若干目には涙らしき物が溜まっていた為、何と声を掛けるべきか言葉選びに困ったのだ。
だが、何も言わなければそのまま無言の気まずい空間に突入しそうだったので、
「………どうした?何か、今にも「不幸だぁぁぁ!」って叫びそうな顔してるぞ…」
一先ずは、様子見として軽いボケをふり、どういう反応をするのか窺った。あまり意味のある行為に思えないが、長い付き合いである夏火であれば、彼の言うボケに対する大河のツッコミ、元い反応から今の心情を察する事が出来るのだ。
そして、このボケに対する大河の反応は、
「ラッキースケベっ言うのはよぉ…実際になってみないと、どれだけ辛くて理不尽なものか、分からないもんなんだな…」
大河は特にツッコミもせず、何だが遠い目をしながら語りだした。
その反応から大河の心情を察した夏火はこう思う。あっ、これ、面倒臭い時のやつだ。
「……あぁそうなの?取りあえず、そろそろ身体測定行かないか?結構時間も経ったし」
「そうだな…俺達は見られてもいいもんな…」
どうでもいい事を意味深っぽく言ってシリアスな雰囲気を作っているが、夏火は気にせずスルーし、教室を出ると今朝入学式で使った体育館へと向う。
「女子はやっぱ時間掛かってるみたいだな。1回目からそれなりに時間経ってたはずなのに、2回目行った時も女子の姿あんま見なくてよ。仕方ない事だけど女子は大変だよな」
少し前に夏火が説明したが、女子生徒達は覗き防止の為に透視魔法を防ぐ結界魔法が張られている特定の場所で身体測定するのが決まりである。しかし、それは女子だけであり。
男子生徒は覗かれる心配はないし、覗かれても問題はないので、覗き防止用の結界を張ってない所でもどんどんと測定できるのだ。(尤も、その分測定器具を女子に回されるので終わるまでにかかる時間は、女子と大した違いはないが)。
「でもまっ、男の俺達は関係ないけどな。ホント、こういう時に男っていいよな~」
「あぁ、ホント…男って悲しい生き物なのよな…」
話を聞いていないのか大河が隣で何か語っていたが、これも華麗にスルー。
その後も度々訳の分からない事をぶつぶつと呟いていて、鬱陶しかったが夏火はツッコンだら負けだと自分に言い聞かせ、ひたすら我慢して黙々と体育館に向かった。
そして、『第2棟』に差し掛かる廊下の角を曲がったくらい所で、
「「あっ!」」
偶然にも、ばったりと身体測定帰りらしき愛川と小夜月の二人に出くわした。突然の再会に驚いた二人は声を出して驚きを表現していたが、それは最初の内だけ、次第に二人とも表情が変わっていき、愛川の方は驚いた表情から一変して何故か恥ずかしそうに顔を赤くし、小夜月の方も何故か、クワッ!と鬼のような表情を受べて、敵意をむき出しにしていた。
「あアアァぁっ!」
その二人に遅れて、二人以上に驚いた声を出した人物もいた。夏火の隣にいる大河だ。今まで小さな声でブツブツと呟いていただけの存在だったので、隣にいた夏火は当然その声に驚いて肩を反射的にビクッ、と震わした。だが、
「…よう。愛川に小夜月。さっきぶりだな、測定終わったのか?早いな…」
それ以外、特に驚く事もなかったので夏火は普通に話掛ける。だが、愛川も小夜月も黙ったまま何も返してくれなかったので会話が成立しなかった。
「(あれ?なにこの置いてけぼり感…)」
もう一度声を掛けてみてもいいが、愛川は先ほどから顔を真っ赤にして下を向いていて話し掛ける雰囲気じゃないし、小夜月は誰が見ても明らかな程に大河に向かって今にも襲いかかりそうな殺気を出しており話し掛ければ夏火にとばっちりがきそうなので、とても話掛けようと思えず、大河は、そんな小夜月を恐れてか、体をプルプルと震わして怯える小動物みたいになっていて、これも話しかける雰囲気じゃなかった。しかし、どう見ても3人の反応から何かあったのは確かであり、このままいても何の進展もなさそうなので夏火は素直に3人に直接尋ねるしかなかった。
「お前らさ、俺が教科書販売行ってる間に何かあったのか?」
「べっ!!別に!!何もねぇし!何かって何!?訳分かんねぇし!!」
「…そうか、分かった。そういや、女子はこの後教科書運びだろ?ありゃ大変だぞ~」
大河の反応から、何かあった事だけは十分理解したので、夏火はこれ以上追及するのは止め、別の話題へと話を逸らした。
「そっ!そうだね!途中で運んでる人見たけど、大変そうだったよ!」
愛川は未だに顔が真っ赤だったが、話題を変えたいという思いは夏火と同じらしく何の迷いもなく話に食い付いた。
「あ~そうね~あれは大変そうだったわね~」
次に小夜月も会話に参加してきた。だが、純粋に気まずいから話題を変えたいとか、会話を楽しむ事が目的で参加してきた顔ではなかった。何かいい考えを、と言うよりは悪巧みを思い付いたような顔だった。
「おい!大河!」
「へっ、へい!何でげしょう!?」
「何だそのキャラ?」
不良の舎弟の様な態度を取る大河にツッコミ役の夏火は普通にツッコみ。そして、声を掛けた小夜月は大河の肩に手を置いてニッコリと微笑んだ。
「お前…私達の分の教科書買ってこい」
「えぇっ!?」
「安心しろって、金はちゃんと渡すから~」
「いっ、いや~…そういう問題では…あの教科書の山をあっし一人ででやんすか?」
「だから、何のキャラだよ。それ?」
慌てる大河に冷静なツッコム夏火。因みに、おかしい事を言っているという点では小夜月も同じなのだが、それに対して夏火がツッコミをしないのは、単純に今慌てている大河を見て、ざまぁ見ろ。と心の中で楽しんでいるからである。
「それと、二人分を一回で運んで来いよ」
「ええぇっ!?」
続けて無茶な事を言ってくる小夜月に当然の如く大河は、そんな無茶なと言いたげな顔を浮かべる。しかし、小夜月は一切妥協する気はなく大河の肩に置いた手に力を入れ、
「お前は、あんな重い物を女子に持たせるつもりか~?」
顔は笑顔で、言い方も決して乱暴ではなかったが、それでも小夜月の背後からは異様な迫力を感じさせる何かが発せられており、その重圧は問答無用で大河に襲い掛かっていた。
「いや!だからって、あの量を一人でって言うのは、でげす、ネェッ!!」
大河は食い下がらるつもりはなく反論しようと口を動かしたが、突如走った肩の激痛に言葉が遮られた。隣にいる夏火には分からないだろうが、後ろから見れば尋常じゃないほど小夜月の指が大河の肩に食い込んでいるのだ。
「でっ!でも、大河君一人に頼むのはやっぱり悪いよ!朝日ちゃん!!」
「ほっ、ほら愛川氏もこう言ってるでやんすから…」
「せめて、口癖を統一させろよ」
ガシィィッ!。夏火が突っ込み終えた途端、小夜月の握力が更に強まった。
「行ってくれるよなァァァ?」
「……喜んで、運ばさせていただきます」
小夜月の気迫に負けた大河は、目上の人物にするような一礼をした後、教科書を販売している『本棟』に向かって、全力で走り出した。
「いっ!いいのかな?朝日ちゃん」
「いいのよ。これくらいは。さっ、私達は教室で待ってましょう!」
「でっ、でも…」
「いいから、ほら!」
小夜月は満足そうに笑いながら、愛川を押すように教室へと向かおうとしたが、一つだけ、夏火にはある素朴な疑問があった。
それは、
「なぁ…小夜月よ」
「んっ、なによ?」
「あいつ…金貰ってないけど、教科書買えんのか?」
「「あっ!」」
結局この後、小夜月と愛川は急いで教室に戻り。
行かなくてよかったはずの『本棟』に足を運ぶのだった。
以上です。
前回から、あまり日も経ってない気もしますが、
今回はギャグが多めでしたので、結構速く書き終えました。
やっぱ、ギャグはいい。
前回はギャグはありましたが、大河と夏火の容姿について、
書いたので、やっぱり、そこら辺でてこずりました。
まぁ、でも、最初の内は仕方ないと割り切ってます。
ただ、もうすぐバトルに入るので、
前々から指摘に合ったあった魔法について、少しだけ触れれると思います。
まぁ、あくまでギャグメインですがww
ではでは、今回はこの辺で次回もがんばります。
また、誤字脱字がございましたら、どうぞご指摘お願いします。