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シシリー様

「俺もお前といってやる」


 ピエールは明け方、荷物をまとめてマーブルと一緒に修道院を抜け出した。

 

「あなたもですか」


「おう。俺といたほうが楽しいと想わないか」


「・・・・・・想うです・・・・・・」


 マーブルはごろりごろりと、喉をならして目を閉じた。

 その瞼にはうっすらと、涙のあとが・・・・・・。



 実はピエール、院長が青龍刀の男と仲間であることを悟っていた。

 マーブルを殺そうとする理由はわからないが、自分がマーブルを守るしかない。

 最初こそ、マーブルの愚かさにつけ込んで利用して富を得たかったピエールだが、今は違っていた。

 心底からマーブルを愛していたのである。


 

「お前は誰にも殺させはしない」


 ピエールは院長の話を盗み聞いたとき、貴族の名前らしきモノを聞いた。


「・・・・・・シシリー様の側近ですか・・・・・・」


 ――シシリー?


 ピエールは眉をひそめ、考え込む。

 

「シシリー様は私の領主の娘ごで・・・・・・」


 ピエールはマーブルの言葉を想い出し、あっと声を出しそうになる。

 そうか、マーブルが仕えていた領主!


 

「そうか・・・・・・。ピエールめ、気づきおったか」


 院長は含み笑いしていた。

 ソファに寄りかかる院長。


「あいつにくれてやる免罪符はない。・・・・・・やれ」


 あごでピエールを殺せと命じる院長。

 例の青龍刀男が、うなずいた。


 

「シシリー様が行幸に来ておられるのは、たしかこのあたり」


 大きな別荘だった。

 ピエールが今まで見たこともないような、どでかい正門。

 赤い煉瓦の屋根。

 大理石の床。どこもかしこも立派だった。


「すげえ・・・・・・。マーブル、お前の主人はやっぱりすげえな」


 マーブルは振り返ってゴロゴロ喉をならす。

 しかし次の刹那、言葉にでたのは、


「しかし今は没落しておいでですから」


 ピエール、撃沈;


 

「とりあえず財産として残っているのは、このお屋敷だけです」


「な、なるほど;」


 

 このシシリーという娘、なかなかの器量よしであった。

 意識しないでおこうにも、ピエールは若かった・・・・・・。

 やはり、気になる。

 

「マーブル? あなたマーブルって名前になったのね」


「ハイ姫様」


 マーブルはゴロゴロ喉をならした。


「も、もとはなんと?」


「シシリー二号です」


「・・・・・・は?;」


 マーブルはあいも変わらずに喉をならす。


「姫は冗談がお好きでね」


 宰相と名乗る男もそばにいて、姫の横に座っていた。

 あきれたピエールはハンカチで冷や汗をぬぐった。


「そ、それでマーブルが狙われた原因ですが・・・・・・」


「原因は私です」


 と、シシリーがぽつりという。 


「えっ?」


「私がこの子をかわいがりすぎたのです。それをねたましく想ったのが、枢機卿のセバスチャン! ああ、誰かセバスチャンを倒してくれないかしら。ねえコンラード!」


「ハイ、姫様」


 マーブルと同じ表情をして、にやりと笑うコンラード。

 ピエールは心の中で、

 

 ――キチガイ! コイツら狂いすぎ;


 と叫び通し。


 


 

 ピエールには彼らの計算が読めていた。

 

 ――ようするに俺を拝み倒せば、何とかしてくれると・・・・・・? ふ、甘いな!


「ピエール。この仕事をやればあなた、皇帝にだってなれますよ」


 皇帝!

 ピエールの心がぐらりと百八十度揺れた。

 法王より権力の強い皇帝。

 ピエールは頬を紅潮させる。


「なっ、マジか! 俺が皇帝!?」


「はい、シシリー様のお力ならばそれくらいたやすい」


   

「す、少し考えさせてくれ・・・・・・」


 恍惚とした表情で夢見心地なピエール。

  

 ピエールの付き人としてのマーブルは、顔をなめて毛繕いを始める。

いやもう・・ねむいっす;

何書いてるかきっと、明日になればワカランかも;

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