戦を止めてくれって言ったのそっちじゃん!!-行間読めと言われても・・・-
「聖女様!聖女様!!」
「どうか我らを助けて下さい!!!」
仕事帰りに異世界召喚にあって、一週間。
上げ膳据え膳の生活を送っているけど、私は早く帰りたい。
私の仕事は別にブラックじゃないし、異世界への羨望やハーレム願望や他の人に認められたい、自慢したいという承認欲求もない、俺TUEEEEや俺やっちゃいました?や悪役令嬢とか聖女とかをやりたいと思ったこともないのに。確かに小説や漫画やアニメでは楽しんでたけどさ。
ちなみに、「俺つえええ」ってなぜかヘボン式じゃないんだよね。訓令式なんだよ。
訓令式=TUEEEE
ヘボン式=TSUEEE
でも2026年度から小学校でも訓令式じゃなく、ヘボン式を教えるみたい。
大学時代、塾講師してた時にこの訓令式とヘボン式を教えてたけど、中学生がなんで?という顔でヘボン式を覚えてて、私も教える方としては統一して欲しかったのでよかったよかった。
閑話休題。
なんで私が異世界に召喚されたのか分からん。
こういうのは上記の事を思っている人が召喚されるもんじゃないの?
ちなみにトラックには轢かれてない。
ランダムなんだろうか。つか早く帰りたい。
私は環境を変えるのが苦手なんだよ。
どうやら、この国、隣国との戦争を年がら年中行っているらしい。
それを止めてもらおうと召喚をし、私が釣れたので「聖女」という役職に就かせたという経緯がある。
国のお偉いさんが、顔を見る度戦争を止めさせろって懇願してくる。
・・・・和平協定でも結べばいいんじゃないの?
と進言はしたが、お互い引くに引けない状態で、これまでずっと二ヵ国で戦争をしているそうな。
その為、物流や政治が停滞し、人の流出も止められないとか。
私が魔法を習得したら、戦場へ行ってくれとは言われている。
「聖女様、あなたはすぐにでも魔法を修得して、戦場へ行ってもらわなければなりません」
「え?嫌ですよ」
「な、なぜですか!あなたはその為によばれたんですよ!」
「頼んでないんだけど。無理やりこの国に誘拐されたんだけど」
「な、なんということを!!誘拐ではなく召喚です。崇高な儀式の上で正式に来ていただいたのに、そのような失礼な・・・・・」
ぐだぐだと説教?は続く・・・。
あーうっとうしいな。
この国の文献に聖女召喚の歴史が載っていた。それによると、当時召喚された聖女サマは承認欲求アゲアゲの方だったらしく、ノリノリでこの国に都合のいいように動かされていた。煽て、褒められ、有頂天になったか。
それは悪いことではないと思う。彼女はそれで満たされていたのだから。
でも召喚された別の人にも人格があるのに、それを無視してアゲアゲな前例を出して説教するのは如何なものか。
私はひねくれ者なので、反発心しか出てこない。
だいたい、国の方針を一人の人間に丸投げって正常な政治の在り方じゃないよね。
と思ってたら、国の方が痺れを切らし、私は戦地に送られてしまった。
「聖女様、こちらでございます」
高台の崖の上からみる平原には、両サイドに武装した軍人たちが固まっている。
一応、なんか陣形っぽいのかな?
「隣国は、我らの国に難癖をつけ、国力を奪おうとしょっちゅう境界線を越えて脅かすのです。聖女様のお力で我らを助けていただきたい」
・・・それは隣国もそう思ってるんじゃないの?
私ははっきり言って部外者なので、一方の言い分を聞いてはいそうですかと参戦する気はないんだよな~。や、どっちの意見を聞いても反戦一択だけれども。
隣国にも言いたいことがあるんじゃないの?
まあいいや。もう早く終わらせよう。
「戦争を止めればいいんですよね?」
「は、はい!!そうです!」
すごく嬉しそうに頷くな。
多分、この人統括責任者かな。将軍?
紹介されたような気がするけど、覚える気がなかったので覚えていない。
よし!まずは聖女ムーブをかましたろっ!!
自身の両の掌を前に出して、魔力を集める。それは綺麗な白銀の光になり、周りを驚かせたらしく中には手を結んで膝立ちで祈る人も出てきた。綺麗な魔力を出す=聖女的な?
次は俺TUEEEEムーブ!!
「アンダレス!!!」
実は私はチート持ちだったりする。別に訓練することなく、頭の中で「アレ〇サ、魔法を使うにはどうやるの?」と考えれば答えてくれる。いや別に名前は適当、適当だよ!うん。
だけど、帰還の方法は分からなかった。くそぅ。
私が英語で魔法の呪文を言ったら、向き合ってた二つの軍隊が肌色になった。
よしよし。次は魔法を止めちゃうよ~。
「魔法禁止!!!」
こっちは日本語で。
召喚という誘拐でこの国に来たら、異世界あるあるの言語に不自由は無かった。
でもちょっと違うのは、日本語を話したのを自動変換して相手に翻訳して聞かせるのではなく、私がこの国の人と話す時点で、この国の言葉を私が話していたので、英語も日本語もこの国の人には分からないだろう。
・・・というわけで、二つの軍隊は裸族になった・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・(ノ≧ڡ≦)☆テヘッ
オレやっちゃいました?
「なっ!なっ!!!」
「武器や魔法が無ければ、戦争にならないですよね」
高台のここまで兵たちの驚愕の声が聞こえる。
遠目でも股を隠そうとする人や、動揺してあっちこっちうろうろしている人達も見えたが、裸体を見たいとも思わないので目をそらして将軍らしき人を見た。・・・ここぞとばかり隣の男性の体を弄っている人がいるとか見てない見てない。
「というわけで、戦争は終わり。私の仕事も終わりました」
「何を言っている!!!我が国を勝たせろと言ってたんだ!!!どうしてこうなる!!」
はあ?
「戦いをとめろって言ったじゃん!だから止めたんだけど?」
「我が国に召喚されたなら、我が国の勝利の上に止めろと言っていたんだ!!!」
えー?
それって行間読めって事かよ。
自分に関わる事だったら空気読むよ!行間読むよ!
強制されてまでそんなことするか!!!!
悪女ムーブしてやる!!!!
「どうして、私が誘拐した国に対してわざわざ文脈の裏を読まないといけないの? 私にはこの国を滅ぼす事も出来るのにそれをしないであげただけでも感謝してほしいね」
おお、将軍様が怒りで真っ赤な顔をしているよっ。急に血圧上げると危険だよ〜。
「この魔女め!!!」
「あははっっ出た出た。自分達の都合のいいように動く人間を聖女と呼んで、反発する人間は魔女と呼ぶ。くだらない俗物だね!!」
「死ねっ!!!!」
大きな剣が私に向かって振り下ろされる。
けど、その剣は私に届かなかった。
その途端、将軍の剣と服が消えたからだ。
「げっ、きっしょ」
しまった。まともに見てしまった。
体の割には小さいな。と思ったら、将軍様、内股で股を両手で隠したよ。
裸族将軍から目をそらし、周りにいる服や武具が消えていない人たちに目を向ける。
「この国と隣国では、争いが起こった場合、武器と服が消え、魔法が使えず、体力も削られるようにしました。争いは何も生みません。これからは隣国と仲良く国を発展させてくださいね」
おお!私、聖女みたいだ!!!
実際、この言葉を聞いた周りの人たちは一斉に地面に跪いて、五体投地した。
え、怖い怖い怖い。
そこまでしなくていいよ!!
ピロリロリーン
その時頭の中で音がした。
なんだろう?
『条件をクリアしました』
は?なになになに?
自分のステータスを見ると、「帰還魔法」の文字が・・・・!
やったあ!帰る帰る帰るよ〜〜。
「帰還!」
躊躇なく帰還魔法を使った。
目の前に虹色のキラキラしたエフェクトが舞う。
ああ・・・よかった・・・帰る方法があって・・・。
この国の後の事?シラネ。
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ピロリロリーン
ピロリロリーン
ピロリロリーン
「う〜〜ん?・・・・あ、アラームか」
いや〜〜、変な夢見たな〜・・・・・。
ゆっくりと体を起こすと、夢の中で着ていた服を着ていることに気づいた。
「・・・・マジか」
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聖女が魔法をかけた二ヵ国では、争いをすると争っている人達の武器や服が消え、魔法が一定期間使用不可能になり、体力も大幅に削られた。
そのお陰で他国から侵略されず、仮に戦争を仕掛けてきても戦争にならない状態にされるので、平和が訪れた。
徐々に二ヵ国は融合し、国は発展した。
魔法も研究、開発されたが、聖女が掛けた魔法を解析する事はなかった。




