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お待たせしました
「お疲れ様だにゃー!」
「ぐぁぁーー!」
「カンパーイ!」
全員五体満足でゴブリンの討伐も終わり、晴れて平和になったので打ち上げを開催した。
「長鬼ってゴブリンは、にゃーに挑むだけあってなかなか筋が良かったにゃ。」
「ぐあぁあ!ぐぉあ!」
「クロの所の次鬼もなかなか強かったみたいだにゃ。しょーごも、あれだけのゴブリン相手によく頑張ったにゃ!」
クロは前に配ってた食料で次鬼を誘い出し、入ってきた所を岩で塞ぎ孤立させた。
ニャディーは15階から離れたのでデバフがかかった状態だったが、長鬼を完封したらしい。
自分はといえば、おびき出したゴブリンにガチャで召喚した物を取られないよう、泥仕合をしていたので特に目立った戦いとかはなかった。強いて言うならニャディーとの特訓のおかげであれだけのゴブリンを倒せたと思う。
「しょーごの作戦が上手くいって良かったにゃ。まさか石とクロの咆哮だけで、あんなに倒せるなんて!お陰で楽に倒せたにゃ」
「お風呂を作った時の石が役に立つとはね、それに末鬼?が10階に残ってくれてよかった、見るからに魔法使いっぽいからね」
「遠距離は苦手だからよかったにゃ。だけどダンジョンのゴブリンもだいぶ減っちゃったにゃ、いい感じに増えてたのに残念だにゃ」
「今度は増えすぎた時の対策もやらないとね、また反乱されないようにしないと」
「それは大丈夫だにゃ。忘れてると思うけど、ダンジョンマスターが死んじゃうと、皆消滅しちゃうにゃ。今回のはオツムが足りないゴブリンだから起きちゃっただけにゃ。何となく本能で分かるはずだけど、どうしちゃったんだろうかにゃ。」
今回の反乱はレアケースらしい。そりゃ自分も消えてしまうのに、ダンジョンマスターに喧嘩を売るなんて普通はしない。余程恨みを買わなければ仇討ちなんて思わないが、ニャディー自体恨まれる性格ではないし、ゴブリンもこのダンジョンを乗っ取る気でいたので、謎は深まるばかりだ。
「んー、とりあえずゴブリン以外の反乱の可能性が低いなら、考えても仕方ないしほっといてもいいんじゃないか?」
「それもそうだにゃ。良くも悪くも今回のでDPもだいぶ溜まったし、今はパーッと食べようにゃ!」
久しぶりにケーキや高級ミルクを堪能し、クロにも少しお高いお肉をあげると、喜んで食べていた。
えんもたけなわ、小屋の窓から差し込む光も少なくなり、お腹も膨れた所で今後の方針を決める。
「まとまったDPが入ったから、今後どうするか相談したいにゃ」
1日の生産DP : 130
1日の維持費用DP : 150
残り : 約9千DP
ニャディーから聞かされた現状はざっとこんな感じだ。
1日のDPが減っているのは、10階のゴブリンが3分の1になってしまい、狩って狩られるサイクルが上手く機能しなくなったためだ。時間が経てば元通りになるだろう。
「魔力濃度も上がって来たし、そろそろ強めのモンスターを召喚するのもいいかもにゃー。それともボスを作ろうかにゃ。ムムム」
「魔力濃度?」
「魔力の素、魔素って言うんにゃけど、それが濃くないと強い魔物はお腹が減って余計に食費がかかったり、体調が悪くなったりするんだにゃ」
「ああ、だから最初から強いモンスターを召喚しなかったのか。」
よくある森の奥に潜む強い魔物とかも、住んでる場所より人里の方が魔力濃度が低いから、わざわざ暴れに来ないらしい。ダンジョンも同じで階層が奥に行けば行くほど、魔力濃度が濃くなって強い魔物が住みやすくなるし、弱い魔物を倒しに上にくることはほぼない。
「そうなんだにゃ。空気と一緒に魔素を取り込むから基本お腹は減らにゃいけど、取り込む魔素が少ないと食事で賄うことになるにゃ。それに繁殖するにもご飯が必要にゃ」
魔素はDPと同じように魔物が微妙に発してるので、今は少なくなってしまったけど、ゴブリンが溢れていた時の魔素と、大量に倒した時に出た魔素でダンジョンの中は少し濃くなったらしい。全く実感は無いけど。
「本当はもっと時間がかかると思ったから、嬉しい誤算だにゃ」
「さっきチラッと言ってたボス化は?」
「トリセツちゃんと読んだかにゃ?各階層1体だけDPで超強化できるにゃ。ただ、ゴブリンでも高いし強くなったら魔力濃度とか気にしないとだから気軽にできないにゃ……」
ボスの復活とかは特になく、倒されたらその都度召喚し直さないといけない。
「ボス作っても倒されずに次の階行かれたら切ないね」
「だから基本ボス単体の部屋を作って、倒さないと次に進めないようにしているにゃ。繁殖はできないけど、冒険者を倒してくれればそれだけで沢山のDPになるにゃ。倒せないと赤字だからリスキーにゃんだけど……」
……できるだけ人間とは戦いたくないけど、今の自分はダンジョン側の人間だ。願わくば目の前に現れないで欲しいと思うばかりだ。
「心配しなくても、しょーごには戦いに出て貰わないにゃよ!しょーごが行ったらすぐ倒されちゃうにゃ!」
何かを察したのか、「にゃはは」と小馬鹿に笑ってくるニャディーに少しイラッときたが、きっと変に気を使わせないための彼女なりの優しさなのだろう。
むしろそうであって欲しい。
「まぁ気を取り直して、新モンスターとボス化ならモンスターでしょ。DP増やしていかないと」
「やっぱそうにゃよねー。どんな魔物にしようか……これなんかどうにゃ?」
いつの間にか手元にある鈍器をパラパラと捲り、モンスターのページを開いていた。
『寄梗』
星形に開花し、上品な青紫色の花。
近くに来たモンスターに種を植え付け寄生する。
寄生されたモンスターは花を守るようになり、普段より力が強くなるが、リミッターが外れただけなので、体がついて行かずボロボロになり花の近くで息絶え養分となる。
「恐ろしいな?!却下だよ!」
「にゃ?!ゴブリンの強化にもにゃるし、DPのサイクルが早くなって一石二鳥だにゃ!」
確かにゴブリンなら増えるスピードが早いので、寄生されて早めに倒されるなら、それだけでDPの循環が早くなる。
それに、花なので勝手に動かないし増えたところで、寄生先はモンスターだけなので、強化されたゴブリンに気をつければそれほど危険では無いかもしれない。
寄生とむごい性質で反射的に拒否したけど、道徳を無視すれば割といいのかも知れない……。
「罪悪感は自己満足だにゃ。皆なにかの犠牲の上に生きているんだにゃ……」
恐ろしい事を言い出すニャディー。実際そうかもしれないと心の奥で思う自分がいるのが少し恐怖を感じる。
元の世界とは違い、命の価値が軽いこの世界ではドライなくらいがちょうどいいのだろう。
「『寄梗』は1株1,000DPもするから、お試しで1つだけ植えよう。あとは階層を2層だけ増やして、オークを召喚しようか」
居住スペースを14階の下に2つの階層を作る。
今の居住スペースを17階にして、新しく追加した15階にオークを2体召喚し、10階ほどでは無いが広めに設定した。さすがに草原にするにはDPが足りず洞窟のままだ。
15階の下に作らなかったのは、コモドランと違いオークは普通に居住スペースに来れるので、コモドランとお風呂のある14階の下に新しい階層を設けた。
これでオークを気にせず今まで通りお風呂にも行けるし、増えたオークが居住スペースに到着する時間を稼げた。
オークも一体1,000DPかかったので、反乱で溜まったDPが底を尽き、今回のテコ入れはこれで終了だ。
オークは木の実よりもコモドランを好むようなので、オークの食糧については考えなくてもいいだろう。
「階層もだんだん戻ってきたにゃ。これなら冒険者がいつ来ても大丈夫だにゃ!まぁ今来たらモンスターが少なくて困るんにゃけど!」
「ニャディーさん、そんな盛大なフラグを立てたら――」
《侵入者アリ》
さほど大きな音ではなかったが、無機質な音声がハッキリと耳に入ってきた。
1日の生産DP : 180
1日の維持費用DP : 170
残り : 約700DP
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