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明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
コモドランと戦った次の日からは、ニャディーが同行してくれたからか襲われることもなく、安定した日々が続いていた。
ニャディーとの特訓と休息を一日ごとに繰り返し、空いてる時間はお風呂作りやゴブリンの観察をして過ごした。
ゴブリンはついに10階にみんな住み着き、解き放っていた『突きうさぎ』や『クレイジーボア』を狩ったり狩られたりして、生態系を築いてくれている。
ちらほら10階以外に行っているゴブリンもいるが、おおむね予想通りだ。
「よーし、これで完成だ!」
「やっとだにゃー!」
そしてついにニャディーの手助けもあり、念願のお風呂が完成した。
「ありがとうニャディー!よし、さっそくお湯を張ろうか!……お湯、どうしよう」
お風呂を作るのに張り切りすぎて、お湯の事は忘れていた。
「そんな事だと思ったにゃ、はいこれ。お湯は無理だけど水が無限に出てくるツボだにゃ」
「ニャディー……ほんとにありがとう」
これを傾けて水を張って、焼き石を落とせばお湯になるだろう。何から何まで頼ってばかりで申し訳ない。
「そうえば、こーゆー魔道具?はどこから出てくるんだ?」
「下級召喚だにゃ、しょーごが来てからまだやってなかったにゃ。見てみるかにゃ?」
ニャディーも久しぶりにガチャをしたいと言うので、さっそく15階に戻る。
10階のゴブリンのサイクルが上手く機能し、1日のDPもだいぶ増えてきたので、たまの息抜きでガチャを少し回すくらいなら大丈夫だ。
「ここは……最初の場所?」
「そうだにゃ、この魔法陣の上で下級召喚をするにゃ!久しぶりにやるから楽しみだにゃ!」
この一部だけ草が生えておらず、石がむき出しになっている場所に、目を凝らすとやっと見えてくるほど薄く魔法陣が描かれていた。
ニャディーがその横に立って、ぬぬぬと念を送っていると、足元の魔法陣が光だしすぐにぽぽぽぽぽん!と魔法陣を囲むように物が置かれていた。
「こんな感じで召喚されたのか……演出とかもなく呆気ないな」
「花瓶、花瓶、カンテラ……今回もゴミが多いにゃー。あの黒いのはにゃんだろ」
カンテラは壊してしまったのでありがたい。ニャディーは気にして無いとはいえ、これで壊した罪悪感が少し和らぐ。
ニャディーが召喚した物に近づくと、がらくたの中に一つだけ黒く異質な物がある。よく見ると毛のような材質にも見えるが……。
「うにゃぁぁ!」
ニャディーが黒い物体に触るため、手を伸ばすとその手を躱すように黒い物体がニャディーの胸に飛び込んできた。
ニャディーはそのまま押し倒されてもがいているが、一歩後ろにいた自分にはしっかり黒い物体の正体が見えていた。
「く、くま?」
そこにはデフォルメされたように、ずんぐりむっくりの小さい真っ黒なクマがニャディーの上に乗っかっていた。
ただ、敵意があると言うよりは、大型犬のようにナデナデをせがむ感じで上に乗っているので、無理にどかさなくてもいいだろう。
「お、重いにゃ……」
……ちょっとニャディーがヤバそうなので助けるか。
「ありがとにゃ。もうちょい早く助けてくれても良かったにゃ」
けっこう重く、何とか食べ物でどかすことに成功した。
「この子もモンスターなんだよね?名前とか決めるの?」
「んー、グファ・ベアって種族の赤ちゃんみたいだにゃ。名前は……クロだにゃ」
「クロ?……安直すぎじゃないか?」
「クロだにゃ」
「グゥアー!」
「ほら、クロも喜んでるにゃ」
「あ、はい。」
名前に関しては何も言わないでおこう。
ニャディーとクロはそのまま、遊びという名の戦闘力把握の模擬戦をするみたいだ。クロがどれくらい動けるのか気になり、そのまま少し離れた所で観戦する。
最初はお互いじゃれ合うだけだったが、次第にヒートアップしていき、すぐに動きが目で追えなくなった。
「クロもはっやいな……この世界の人達は皆こんなに強いのか」
ニャディーとの特訓はしているが、こんなに早くは動けない。やっとニャディーに攻撃が当たるようになってきただけだ。まぁ普通にガードされるが。
模擬戦が終わったのか2人ともこちらに向かってくる。
「ははは!クロは結構強いにゃ!」
「グァ、グァ!」
全力を出せて嬉しいのか、スッキリした顔をしてお互いがお互いを認め合うように、声をかけながら帰ってきた。
「おかえり、途中から全く見えなかったよ」
「はは、しょーごもそのうち、強くなるにゃ!ニンゲンは最初は弱いのにあっという間に強くなるらしいにゃ!」
どこ情報か分からないが、ニャディーがフォローを入れてくれる。
それに応えられるように、もっと訓練をしてもいいかもしれない……
◆◆◆
それから更に時間が経ち、10階のゴブリンもだいぶ増え集落も3箇所できていた。
上位個体らしい装備を身にまとった個体もチラホラと確認でき、10階以降にに足を踏み入れ、コモドランと戦うゴブリンも増えていき、1日に入ってくるDPもだいぶ余裕が出てきた。
お風呂も、ライターくらいの火しか出せないが、初級魔法を使えるようになる指輪がガチャから排出され、それで火起こしを出来るようになり、焼き石を作りやすくなった。
「なぁ、ニャディー。たまに14階までゴブリンが来てるけど、15階に来ることはないのか?」
「来るかもしれないにゃ、だけどゴブリンを食べてコモドランの数も増えるから大丈夫だと思うにゃ。15階の階段の前に罠も追加したし、少しなら来ても罠が片付けてくれるにゃ」
そういえばお風呂から帰る時に、ニャディーが色々やってた気がする。
罠は一回発動する度に、補充しないといけないので多ければ良いわけではなく、赤字にならないバランスが大切だ。
「忘れてたのかにゃ?落とし穴だから、そんなに危険じゃにゃいけど、気をつけるにゃよー」
前に聞いたと思うが、お風呂作りはニャディーが手伝ってくれ、帰りもその後ろを付いていたから忘れていた。
「罠もそうだけど、コモドランが増えて来てるから、カンテラを忘れちゃだめだにゃ。ニャーが付いてるからそこまで心配要らにゃいけど」
ニャディーが誇らしそうにしているが、実際付いてきてくれてから、危険なことになった事ないのでとってもありがたい。
「……10階の装飾品を身にまとったゴブリンが集まって、なんかやってるけどゴブリンの言葉がわかったりしないの?」
「あるにはあるけど、辞めといた方がいいにゃよ。会話できると情が移りすぎて倒せなくなるにゃ」
そう言いながらイヤホン型の魔道具をニャディーから受け取る。実際ニャディーの言ってることは確かだけど、ゴブリン達が必死に喋ってる内容が気になり、好奇心に負け両耳につける。
サーチアイ越しでもちゃんと効果があらわれ、ゴブリンの言葉がわかるようになった。
「先代に聞いたガ、ダンジョンにはヌシが居るらしイ、そいつを倒せば我らがヌシになれル!」
何かの骨を被ったゴブリンが、他の上位種のゴブリンに話しかけている。
「いつも食ってたうめぇ飯も無くなって、今じゃキノコとその辺の木の実だけだ!肉が欲しければ狩りに行かないと行けない!この仕打ちはあんまりだ!!」
どこで手に入れたのか分からないが、大きな剣を背負ったゴブリンが言う。
「まぁまぁ、兄さん達。今の場所も広いし悪くない。このまま住み続けるのもいいじゃないか。」
骨のネックレスを付けた、杖を使っているゴブリンが他の上位種をなだめる。
「バカヤロウ!人数も居るのに後込む事なんてねぇ!今すぐにでも攻め込むべきだ!長鬼兄さんも言ってくれやぁ!」
「次鬼の言う通りダ。末鬼は臆病すぎダ。戦う時に戦えない奴はチャンスを掴めなイ」
「……はぁ、好きにしてくれ。俺はなんと言われようが加勢はしないぞ」
ネックレスを付けた末鬼と呼ばれてたゴブリン以外、ダンジョンマスターの権限を狙って、ココを目指してやってくるみたいだ。
「やばいよニャディー、上位種のゴブリンが攻め込んでくるみたい」
1日の生産DP : 160
1日の維持費用DP : 150
残り : 約4千DP
最後まで見ていただきありがとうございます。
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