08日本最強と巨人のダンジョン
そうしてまた俺の家に泊まって行くというささらと一緒に帰り、食事や風呂を済ませるとその自称・日本最強の河田めぐみを見ることにした。彼女は真っ赤な髪に茶色い瞳という、驚くことに俺たちと同世代くらいの少女だった。
「『今日も自称・日本最強の私、河田めぐみがダンジョンをクリアするよー!! 覚醒者の人は特によく見ていてね、ちなみにこのダンジョンは今見つけたばかりだから私も私服、中に入ってる人いるかどうかは入ってみて報告するね!!』」
「俺たちと同じくらいの年頃だな」
「ささらとどっちが可愛い?」
「ささらの方が可愛い、ん」
「――――!!」
俺はささらの方が当然の返事をしてささらにキスをしたら、ささらは真っ赤な顔になってしまった、河田めぐみがどんな美貌を持とうとおれにはささらの方が可愛らしかった。そうしてダンジョンに河田めぐみは入った、次の瞬間には彼女は二つの魔法を発動させていた。
「『それじゃ、身を守る『障壁』それにダンジョンの内を調べる『探査』を使うよー!! うん、青い点が一つこれは私。それ以外に赤い点がいっぱいだね、他に人間はいないみたいだからいつものようにいっくよー!!』」
「『探査』という魔法があるのか、俺たちも今度使ってみよう。敵と味方が分かるだけでも助かる」
「うーん、自称・日本最強の見学とはいえ和樹が他の女の子をずっと見てるのは妬けるなぁ!?」
ささらはベッドに横たわってスマホで動画を見ている俺に、背中にのってきてくすぐったりつっついたり、時には噛みついたりを繰り返した。その度に俺はささらの方を一度向いて、大丈夫だからささらが一番に可愛いからと頭を撫でてやった。すると次の瞬間に河田めぐみが魔法を使った。
「『抱かれよ煉獄の火炎』!!」
「これはっ!!」
「っうそ!?」
その魔法はダンジョン内を見える限り焼き尽くしているように見えた、実際にそれから解説しながら落ちている魔石を集める様子をみても、ダンジョンを魔法で一つで焼き尽くしたようだった。
「『私が得意なのは火炎魔法!! 見ての通り丸焼けだよ!! 良い子は真似しないでね!!』」
「…………ささら」
「当然、真似するに決まってるでしょ、ちゅっ、っん~~~!!」
ささらからキスされて俺はその顎をつかんでキスし返した、これほどのレベルが高い魔法を使える覚醒者は初めて見た、本人が自称・日本最強を名乗りたくなっても不思議はないわけだ。
「『はい、今日はボス部屋まで扉がなくて焼けちゃったみたい。ほらっ、ひときわ大きいボスの魔石だよ!! 良い子の覚醒者はまた私の配信をみてね!! 応援に感謝しまーす!!』」
「ぷはぁ、ささら。俺の気のせいじゃなければ、動画配信先ってこの近くじゃないか?」
「ふぇ、はぅ。ええと確かにここって県内だよ、自称・日本最強がご近所をうろうろしてるの!?」
意外にも自称・日本最強の河田めぐみがいるのはこの県のようだ、たまたますれ違ったりしなければ良いがと俺は思った、なんだか面倒事になりそうだからだ。
そして、俺たちは日常に戻り、モンスターが街に出てくるなんて異常事態も起きなかった。そもそもモンスターが街に出てきたのは空のメッセージが出た二回目のことだ、三回目は無いと思いたかった。
「それじゃあ、自称・日本最強の真似をしてダンジョンをクリアしてみるか」
「あっ、私。『探査』使ってみたかったんだ」
「ダンジョンに入った、敵影は無し。人間も見当たらない、ささらはどうだ?」
「『探査』、あっ、青い点が三つ見える。一つは遠くにあるから私たち以外にも誰かいるみたい」
「じゃあ、このダンジョンは諦めよう。次のダンジョンを覚醒者の掲示板で探すぞ」
「この青い点の人と話をしなくていい?」
「しなくていい、むしろしないほうがいい」
「どうしてー?」
「おそらくだがこっちの世界のものと、ダンジョンの世界のものを、赤と青い点で分けているだけだ。だから、味方だとは限らない可能性が高い」
「そうかー、それなら君子は危うきに近づかずっと。次に行こう、次!!」
それから俺たちは覚醒者掲示板でゲートをみつけて、そのゲートのダンジョンには俺たち以外誰もいなかったから試してみることにした、例の上級魔法を試すのだ。
「『抱かれよ煉獄…………『火炎嵐』」
俺は例の上級魔法を試してみようとして途中で嫌な予感がして止めた、俺の力でこの上級魔法を使うとダンジョンが焼けるどころか溶ける気がしたのだ。
「『火炎嵐』でも十分だな、俺たちの場合」
「うわぁ、ダンジョン一個が丸焼けだぁ」
「『大吸引』、おっボスらしき魔石もきちんとあるぞ」
「これは水のダンジョン以外は攻略が楽になるね!!」
「水のダンジョンでも、これで攻略していいかどうか。分かるようになったじゃないか?」
「そっか!! 『探査』で敵味方がいるかどうか分かるんだ」
「ダンジョン攻略が楽になるぞ、自称・日本最強に感謝だな」
「むぅ~、複雑だけど一応感謝」
そうしていつもより早いペースでダンジョン三つほどクリアして、午後は俺たちはデートしながら街を歩くことにした。ダンジョンができてからそこでのデートばかりで、普通のデートは懐かしくとても楽しかった。アクション映画を一本見て街に出たら、ゲートが街のど真ん中にできていた。そして動画でさんざん見た女、自称・日本最強の河田めぐみが立っていた、俺は思わず回れ右しようとした時だ、彼女からそこの君たちと声をかけられた。
「そこの君たち、撮影を手伝ってくれないかしら。私ったら自撮り棒を忘れてきちゃって」
「…………まぁ」
「…………いいですよ」
そうして俺たちは河田めぐみの携帯を持って彼女についていくことになった、彼女は最初俺たちのことも動画で紹介するからと言ったが、それなら撮影は別の者に頼んでくれということで俺たちは引き受けた。
「はぁい、自称・日本最強の河田めぐみです!! 今日は自撮り棒を忘れちゃって、手伝ってくれるっていう人に映して貰ってるよ!! 普段の二割増しで綺麗に写ってる? それじゃ、ダンジョンに行ってみよう!!」
「…………」
「…………」
「それじゃいつものように、身を守る『障壁』それにダンジョンの内を調べる『探査』を使うよー!! うん、青い点が三つこれは私と親切な人たち。それ以外に赤い点がいっぱいだね、他に人間はいないみたいだからいつものようにいっくよー!! 『抱かれよ煉獄の火炎』!!」
「…………」
「…………」
「これで赤い点もいなくなったはずって、あれれれっ!? 赤い点が三分の一くらいしか減ってないよ!! 緊急事態だ、ダンジョンを出ます!! ほらっ、そこの二人さっさとダンジョンを出て!!」
「いや、もう遅かったようだな。録画は中止だ」
「わぁ、和樹。あれって巨人さん、ここって巨人のダンジョンだから大きいんだ」
素早く出口から出ようとしていた俺たちの前に、ジャンプをしたのか飛んで来た巨人が立ち塞がった。俺は撮影機能を止めてから、ささらと不本意だが河田めぐみを掴んで『飛翔』で空をとんだ、巨人の手につかまれそうになったがうまく避けて飛んで回った。
「ちょっと、私の扱い悪くない!? なんでそっちの子は抱っこで私は腕一本掴んでるだけなのよー!!」
「ささら、滅多にない機会だ。ここならできそうだ」
「あっ、そうか。よ~し、『抱かれよ煉獄の火炎』」
ささらの一撃は恐ろしいほどの炎と風とを生み出した、そうして巨人が出るでかいダンジョン一つをささらは隅から隅まで黒焦げにしてしまった。俺は撮影機器である携帯を河田めぐみに返して、さっさとささらと出口から出ようとした。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよぉー!?」
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