06世界の浸食と二人の約束
その日はいつものように学校に行って、俺は机に突っ伏して寝て過ごしていた。そうしたらクラスメートと話をしていたささらがやってきて俺を起こした、なんでも驚きのニュースがあるそうだ。
「和樹さ、前にネット情報でダンジョンは放っておかれると消えるって言ってたじゃん。でもね実はこっちの世界にのこっちゃうんだって、そうなっちゃうともうボスをクリアしても消えないの!?」
「マジか!? いわばこっちの世界がどこかの異世界に一部だがのっとられるみたいだな、ちなみに情報の出どころは?」
「街の南公園、以前は自由に出入りできたじゃない。でも今はダンジョンが残ちゃったせいで立ち入り禁止、そこを見てきた友達がいるんだ。なんでも自衛隊に追い返されたんだって!!」
「確かにあそこにもダンジョンが出来たとは聞いていたな、他のダンジョンの攻略で後回しにしていたが、まさかこっちの世界に固定化されるとはな」
ダンジョンの固定化、いわばこっちの世界は一部を異世界にとられたようなものだ。俺の頭に誰かがチェスをやっているようなそんなイメージが浮かんだ。でもそれじゃこっちが不利過ぎる、ダンジョンの数に対して覚醒者の数がつりあっていないようだ。まぁ、この辺りのことは俺とささらのせいだが、こんなことがあるとは夢にも思っていなかった。
「ダンジョンになってしまった場所を、取り戻す方法はないのだろうか」
「街の南公園にこっそりと行ってみる?」
「ああっ、とられっぱなしなんてつまらないだろう」
「はーい、今日の放課後は南公園でデートね!!」
そうして俺たちは放課後になったら南公園へと行ってみた、確かに立ち入り禁止とかかれた小さな柵がおいてあったが、ちょっとどかして俺たちは中に入ってみた。するとゲートがないのにダンジョンがあった、元の南公園の面影は無くダンジョンの入り口が開いているだけだった。
「まぁ、ダンジョンがあるならクリアするのが覚醒者だろ」
「ここって確か、狼のダンジョンって言われていたよね」
「そう足の速い狼が次々襲ってくるからクリアしにくい」
「そっか、それじゃ防御は任せて!! 和樹は攻撃担当ね!!」
そう決めてダンジョンの中に入ると、いきなり数匹の狼の襲撃があったが、これは予想の範囲俺は魔法を用意していた。
「『電撃槍』!!」
俺の魔法は狙いを外さずに雷で複数の狼を黒焦げにした、その後から第二弾の狼たちが俺たちに襲いかかってきた。
「まーかせて、『聖なる守り』!!」
第二弾の狼たちはささらの生み出した結界に阻まれて俺たちを攻撃できなかった、俺はまた同じ魔法をつかってそいつらを全滅させた。後は同じことを繰り返しながら進んでいくだけだった。
「『強電撃』!!」
そうして俺たちはボス部屋までいきボスを退治した、途中の魔石は『吸引』で集めて『魔法の箱』に入れておいた。
「本当にダンジョンが消えないのかな、ささら。外に出てみよう」
「うん、和樹。さて、どうなるかな?」
そうして俺たちが外にでてみるとダンジョンは消えずに残っていた、ちょっと待ってみたがダンジョンが消えることがなかった。
「ささらの拾ってきた情報は本物ってことかな」
「正解でも喜べないね、この世界の一部がのっとられたみたい」
「ダンジョンから外にモンスターがでてこないのが救いだが」
「それも分からないよね、もしかしたら……」
俺は不安そうな顔をしたささらの頭を優しく撫でた、ささらは喜んで俺に抱きついてきた。
「どんな世界になっても、ささらと一緒にいるのは変わらないさ」
「えへへへっ、嬉しい。うん、ささらと和樹はずうっと一緒!!」
もし世界が異世界のように変わってしまっても、俺はささらと当然だが一緒にいるつもりだった。ささらからも了承を得たから、絶対にそうすることにした。
「こっちの世界のインフラが狙われないといいがな」
「特に電気・ガス・水道だね!!」
「そうだ、それがなくなると生活が苦しくなる」
「道路なんかもやられると、流通が滞るよ」
守るべきところが多過ぎて、高校生の俺には手に負えなかった。まぁ、自衛隊にも覚醒者がいるようだし、そっちに期待することにした。
「ささら、今日も俺の家に泊まるか?」
「泊まるよー、最初からそれ目当て」
そうしてささらを泊めるのはいいが、ささらが薄着でうろちょろするものだから、俺の理性は戦いをしかけられるようなものだった。でもささらを抱いて寝るのは安心するし、ささらもそれを喜ぶから大好きだ。
「ねぇ、和樹。どうしてもSEXは駄目?」
「…………駄目です、理由は前に言ったとおりだ」
「したくなったら言ってね、ゴムもほらっ買ってきた」
「ささら、十七歳で子持ちになりたいのか?」
「和樹の子どもなら可愛いし!! お金もばっちり稼いでるし!! あとは和樹の覚悟しだいだよ!!」
「そう言われると俺が悪いような気がしてくるが、とりあえず今はまだ無し!!」
そう言ってささらの提案をしりぞけると、俺の家についたらささらはまた薄着で、べたべたと俺の体を触り出した。
「ささら、胸が当たっている」
「当ててるに決まってるでしょ!!」
俺も鋼鉄の理性の人ではないわけで、お風呂に入っている間に三回ぬいた。そうして換気してささらには気がつかれないようにしておいたが、ささらが風呂を出た俺を嗅ぎまわるからくすぐったくてこう言った。
「焦るな、十八歳になって成人したら抱いてやるよ」
「本当!! よっし、約束だからね!!」
「ああ、約束だ」
「もちろんその前でもささらは大歓迎だよ!!」
「こらっ、誘惑するな。服をしっかりと着なさい」
「えへへへっ」
そんな風にじゃれあいながら、俺たちは一緒に寝た。ささらと一緒にいれるのなら、何が来たって怖い物は無いと俺は思っていた。十八歳になったら俺はささらと結婚するつもりだった、もし子どもができてもいいとも思いはじめていたのだ。
「ささら、ダンジョンも大事だが、こっちも大事だ」
「和樹、本気だからね。覚悟して!!」
そんなふうに過ごしていた俺達だったが、学生として逃れられない試験期間が始まった。俺とささらは高校三年生だったから余計に大事だった、俺は一度読んだ本は忘れないという特技があったから暗記系は強かった。一方ささらは暗記系に弱くて試験の前はいつも俺に特訓をされて勉強していた。
「数学なんて将来のいつ使うんだ、分からん」
「歴史だってそうだよ、何の役に立つのさ!!」
「歴史は戦争の悲惨さとか、過去の失敗を学ぶ授業だな」
「うーん、戦争は駄目だの一言で済めば楽なんだけど」
こうして一週間ほど俺たちはダンジョンにも行かずに学生らしく過ごした、俺もささらも赤点を免れることができて、二人でだきあってキスをして喜んだ。そんなことが終わって俺もささらも寝不足だったから、家に帰って二人でぐっすり寝ようとしていた時だ。
「ねぇ、ちょっと話があるの。和樹さん、ささらさん」
「えっと誰だっけ?」
「生徒会長だよ、和樹」
「生徒会室まで来てちょうだい」
「俺たち何かしたか?」
「全然何もしてないと思う」
そうして生徒会室に呼び出された俺たちはお茶とお茶菓子をだされた、俺は手を付ける気がなかったがささらはお茶菓子を食べていた。
「はっきりと言うと貴方たち覚醒者でしょう、私たちもそうだからギルドを作ろうと思っているの」
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