17言葉を交わせる相手
「和樹~、凄く気持ち良かった。お腹いっぱい」
ささらとの最初の夜は嵐のような夜だった、ささらがあんなに俺を求めてくるとは思わなかったし、初めて同士だからもっと恐る恐るする夜になると思っていたのだ。ささらはそれからも夜は激しく俺を求めた、俺はささらを満足させられているか不安になった。
「ささら、俺が相手で満足か。足りてるか?」
「和樹が相手じゃなきゃ、こんなに感じるわけないじゃん、えへへへっ、和樹こそ満足?」
「そっ、そうか。俺は大満足だ、大好きなささらを抱けたんだからな」
「和樹と相思相愛!! 私すっごく嬉しい!!」
俺の方はささらとSEXできてもちろん満足だった、むしろ求められ過ぎていて不安になったくらいだ。ささらから満足そうな返事が聞けてほっとした、そんな俺たちは受験勉強とダンジョン相手に相変わらず戦っていた。
「広いな、ここは巨人のダンジョンだ」
「それじゃ、『抱かれよ煉獄の火炎』!!」
「魔石を『極大吸引』」
「今日はこれで終わり?」
「ああ、この後は受験勉強だ」
「そして、その後はラブラブイチャイチャしてね」
「ちゃんと勉強してからだぞ!!」
「はーい、大学にも行きたいもん。頑張る」
そうしてあっという間に大学受験の日が来た、俺とささらは手を握って一緒の大学に行って、受験番号でそれぞれの席に座った。それからはただひたすらに回答していたことしか覚えてなかった、帰り道でささらがしょぼんとしているので俺はささらに話しかけた。
「どうした、ささら?」
「和樹、私、名前書かないで回答したかも……」
「えっ、本当か気のせいじゃないか?」
「緊張してたから分からない、書いたかもしれない。どうしよう」
「大丈夫だ、ささら。ささらが落ちたら、俺も一年大学に行くのを遅らせる」
「うわーん、和樹ぃ、大好き」
そうして大学の合格発表にはささらの名前が無かった、だから俺も今年は大学に行くのを止めて、一緒の予備校に通って来年一緒に大学に行くことにした。
「和樹は大学に行っていいよ、私のミスだもん!!」
「いいんだ、俺がささらと一緒に大学に行きたいんだ」
俺は一年くらいの遠回りは別に気にしなかった、それにこれでダンジョン攻略に時間をより使えた。最近では異世界化するダンジョンは無かった、S級覚醒者が増えたから新しいダンジョンを一つ残らずクリアできていた。そして俺は現代最強と呼ばれていた、最近では泉玄太郎さんにも言われた。
「現代最強の君とささら君に頼む、このダンジョンには苦戦しているんだ」
「俺は現代最強じゃないです、その呼び名広めないでください!!」
「そうかな、和樹ってマジで現代最強かも?」
そうして呼び出されたダンジョンにはドラゴンがいた、ただドラゴン一匹がいるダンジョンだった。
「強者が我に挑みにきたか!!」
「しゃ、喋った……?」
「すごーい」
「ドラゴンの我が喋るのが不思議か」
「ああ、なぁ。最近、そちらの世界のダンジョンが、こっちの世界に移動しているのは知ってるか?」
「ダンジョンの住人としてどう思う?」
「ははぁ、神がまた新しい遊びを始めたのだろう」
「ええっ、神様っているの?」
「マジで!? 神様っているの?」
「神ではない、神のような力をもった強者で世界のことよ。そっちの世界にはいないのか」
「今まで神が見つかったという記録は古代でしかない」
「うわぁ、こっちの世界にもそんな神っていうのがいるのかな」
「言葉での交わりはここまで、さぁ我に勝利し、このダンジョンを封じてみせよ」
「くそっ、もっと聞きたいことはあるのに!!」
「バトル開始ってわけね!!」
このダンジョンボスであるドラゴンは強かった、魔法をつかってきていつものように焼いてしまってお終いとはいかなかった。
「ささら、あわせろ!! 『抱かれよ煉獄の火炎』!!」
「うん、和樹!! よしっ『抱かれよ煉獄の火炎』!!」
「良い攻撃だ、『抱かれよ煉獄の氷撃風』」
「っ、相殺された!!」
「ううん、ちょっとダメージは入ってるよ。翼が焼けてる!!」
「面白い強者たちだ」
「翼が焼けたのに何で飛べるんだよ、ささら。もう一度雷だ!! 『抱かれよ煉獄の熱界雷』!!」
「和樹、私たちも魔力で飛んでる、翼は要らない!! えい!! 『抱かれよ煉獄の熱界雷』!!」
「それでは、『完全なる聖なる守り』」
「雷だと完全防御される、ささら。すこしずつでも焼いていった方がマシ!! 『抱かれよ煉獄の火炎』!!」
「どっちかの魔力がつきるまでって勝負ね!! 和樹あわせていっくよぉ!! 『抱かれよ煉獄の火炎』!!」
「それじゃ、ちとつまらんなぁ、『完全なる聖なる守り』」
そう言うとドラゴンは人間の姿に変身して馬鹿でかい剣で俺を攻撃してきた、鎧のダンジョンで剣術を学んでいたことが役に立った。俺は風の剣で相手の剣を受けて、その隙にささらがその人化したドラゴンのせに風の蹴りを入れた。背骨が折れる嫌な音がしたが、相手はそれすら大して気にしていないようで回復の呪文を唱えた。
「『完全なる癒しの光』、強者たちよ。我の名はフォルジュロン、もっと我と戦おうぞ!!」
それから俺とささらは協力して魔法を放ったり、風の剣や風の拳で相手に攻撃を叩きこんだ。何度も何度も攻撃し、逆に時にはこっちが攻撃を受けた。だが俺たちは二人、相手は一人といっていいのか単独だった。だからどうにか勝てた。
「げはっ、お前たちの勝利だ。強者よ、名を何て言う?」
「和樹だ」
「ささらよ」
「和樹にささら、お前たちに倒されたことを誇りに思おう。ふーーははははっははっ!!」
「……フォルジュロン」
「……あんた強かったよ」
そうしてフォルジュロンのダンジョンは滅んでしまった、ダンジョンが跡形もなく消え去った時にいつもとは違う寂しい気持ちになった。横を見るとささらも泣いていてこんなことを言った。
「喋れる敵とか卑怯じゃん、名前もあるなんて敵にしたくなかったよ」
「そうだな、ささら。フォルジュロンとは友達になりたかった」
「うわーん!! 和樹、私何か凄く悔しいぃ!!」
「俺もだささら、凄く何故か悔しい!!」
「殺したくなかったよ、友達になりたかったよぉ!!」
「なんで喋れて正々堂々戦ってくれる奴が敵なんだろうな」
それが俺たちが会話できる敵と戦った最初だった、それからドラゴンのダンジョンが時々現れるようになった。俺たちはこの終わりが見えない戦いを終わらせる方法があるか聞いた、ドラゴンは神のごとき支配者を飽きさせない限り無駄だと言った。その支配者は戦おうとしても、我々ではとても勝てることのない高みに居るのだとも言った。
「戦いを終わらせる方法はあるはずだ、きっと何か方法があるはずだ!!」
「いっそっ、皆でこのゲームを無視してみる? ダンジョン攻略とか全部止めちゃうの?」
「そうなると街にモンスターが溢れるかもしれない、危険な方法だから試せない」
「それに覚醒者たちがいるか、あいつらが止めてくれないよね」
俺はささらのかよわいが強く優しい背中を抱きしめながら考え続けた、神なんて戦おうにも居場所すら分かりはしないし、勝つための方法が無いのだ。俺たちの力は神らしき奴から与えられたものだ、とりあげるのも簡単なことだろうと思えた。
「何か、方法は無いのかな。ささら」
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