13失くした家とささらの誘惑
「うぅ~~~~、………………確かにそうだ。順番を待つ」
基本的に法律化されていないが、ゲートの攻略は早い者勝ちだ。だからこの場合、この覚醒者の子が言っていることが正しかった。俺の家にできたダンジョンは鎧のダンジョンだった、俺とささらなら最速で十秒クリアだが、この先に来ていた覚醒者は攻略が遅かった。
「鎧だから三人で抑え込んで、四人目が止めを刺す。時間がかかるけど、それでいきましょ」
などと言って先にきていた覚醒者はゆっくりとしか攻略できなかった、しかも最後の強めの鎧の騎士に勝てるかどうか怪しかった。
「和樹、大丈夫。ダンジョンがなおらなくまでまだ時間がある」
「ささら、そう思うか」
「あれから三日、そんなに早くはダンジョンが固定化しないはず」
「ああ、そう願いたい」
俺はささらの家に泊まらせてもらいつつ、毎日自分の家があったゲートへ通った。少しずつ攻略は進んでいるようだが、まだまだ完全攻略には程遠かった。
「抑え役がしっかり押さえててよ」
「何を!? 止めを刺すのが遅いんだ」
「早くダンジョンを出たーい」
「少しずつ進んでる、あと少しよ。頑張りましょう」
また攻略しているパーティは時々喧嘩をして時間を無駄にした、何度どれだけいい加減にしろっと言いたくなったことか数えきれなかった。そうして、一週間が経った。俺は改めてここを占拠しているパーティに言った。
「君たちはもう一週間もダンジョンにいるが攻略が進んでいない、そろそろ順番を譲って欲しい」
「私たちは必ずここを攻略するし!!」
「ちょっと手こずっているだけだ」
「割り込み禁止!!」
「もう少し私たちを信用してください」
「いや、信用できない。ここの住人として俺は家を取り戻させてもらう。『風硬殻』」
「何、この風の壁!!」
「出られん!?]
「酷いわ!!」
「何をする気です!?」
俺は風の結界で居座っていた覚醒者たちを包んで怪我をしないようにした、そうして彼らを動けなくさせておいてからからささらにお願いした。
「ささら、こいつらは俺が抑えている。頼む」
「和樹の頼みならいつでもお任せ!! 『火炎嵐』!!」
ささらは『火炎嵐』を使って鎧のダンジョンを隅から隅まで丸焼けにした、俺はささらをお姫様抱っこして『飛翔』でボス部屋に行き、最期の騎士まで攻略していることを確認した。そうして全員をダンジョンをから追い出した。通常ならこれでダンジョンとゲートは消えるはずだった。一分、二分、十分経ってもダンジョンは消えなかった。全ては遅すぎたのだ。
「私たち悪くないし!!」
「そうだ!!」
「順番をぬかして、これは政府に報告するし!!」
「貴方が悪いのです!!」
尚も先に入っていた覚醒者たちは自分たちは悪くないお前が悪いというものだから俺は怒った。そして、反射的に四人に魔法をかけていた。
「それじゃお礼に良い夢を見るようにしてやるよ、『闇の中の夢』」
俺は初めて使ったこの魔法は、自分の中の最悪の体験を夢で見続けるというものだった。覚醒者が覚醒者に魔法をかけることは禁じられてない、だから彼らはこれからさきどんな悪夢を見ようと俺を裁けなかった。
「ささら、行くぞ」
「うん、和樹」
そうして俺は歩き出したがどこへ向かえば良いのか分からなかった、無意識にささらの家にもどってきていて俺はそこに着いたら涙が出てきた。
「和樹ぃ、和樹の家無くなっちゃった」
「俺はともかくお前は泣くことじゃないだろ」
「そんなことないもん、和樹の家。どこも和樹の匂いがして大好きだった」
「俺も大好きだった、母さんや父さんとの数少ない思い出があって、うぅっ」
その夜はささらの家でささらを抱きしめながら泣きながら眠りについた、ささらも一緒に泣いてくれていてそのぬくもりが温かく手放しがたかった。
「現実は待ってくれないもんなぁ」
それから俺は割り込みをしたことを政府に訴えられたが、俺が元々ダンジョンがあった場所の住人であった、そのことを考慮して今回に限り不問になった。ダンジョンをクリアできなかった四人の覚醒者は目の下にくまを作って抗議したが、政府にとってそれはもう決定したことだった。ただあの人は割り込みをすると噂を流された、それで政府に来る俺への視線が冷たくなったが、元々他の覚醒者なんて知ったことかと俺はそれを放っておいた。ささらは違うんだよ、元々和樹のお家だったんだよと弁解をしてくれていた。
「ささら、どうせ俺たち結婚するし。新居はどこにする?」
「新居!! そっかささらたち結婚するんだもんね!!」
「この近くに一戸建てを作って貰うか?」
「その方が良いね、注文住宅?っていうのにする?」
「それにはちょっと稼ぐか、ダンジョンを何十回かクリアして魔石集めをしよう」
「新居を建てる為の資金稼ぎだね、じゃんじゃん頑張るよー!!」
こうして俺たちは町中のダンジョンをクリアして回った、固定化されたダンジョンも時間が経つとリポップするので何回もまわった。そうやって軽く百を超えるダンジョンをクリアした後、政府に魔石を売りに行った。
「約七億か、これなら十分に良い家が建つな」
「どんな新居にするのか楽しみ~!!」
そうして俺たちは評判の良い不動産屋に行った、さすがはプロの人で高校生が遊びに来たとは顔に出さずに真摯に対応してくれた。
「場所はここがいいな、昔の家の近くの空き地だ」
「ささらはえーと、お掃除が楽な電気のコンロがいい」
「寝室は一つで問題ないとして、客室を幾つかつくっておくか」
「防音が大事だよ、寝室は特にね」
「木のぬくもりがある家がいい、木材を豊富に使って」
「あっ、トイレも最新式で」
俺たちは最初に要望を山ほど出した、プロの不動産屋さんはそれを実現可能かどうか答えてくれた。そして家を建てるのに必要な手続きなども教えてくれた、俺はそれにしたがって政府にも届けを出したりした。すぐに政府の許可がおりて建築が始まった、俺たちは完成を楽しみにしながらささらの家で過ごした。時々ささらの母親や父親が帰ってきたがいつも短い期間しか滞在しなかった。
「ささらの部屋に俺の荷物を置かせて貰って悪いな、新居が完成するまでだから」
「うちのママとパパの様子を見たでしょ、ささらは和樹がこの部屋にいてくれて嬉しい!!」
「ん、でもこうしてささらの家でキスとかしてると罪悪感がわくな」
「私はそんなのない、和樹と愛し合うのは最高の楽しみ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ」
「こーら、そういって服を脱がしてキスするな」
「和樹の鍛えてる筋肉綺麗なんだもん、キスしたいの!!」
ささらの家に、正確にはささらの部屋に泊まるようになってまたささらからの誘惑が増した。俺はお互いに十八歳になるまではと自分を戒めた、風呂だけはささらとはいらずそこで欲望を処理していた。
「私の中に出してもいいのにぃ、ねぇ和樹」
「ささら、何の話かな」
「和樹も分かってるでしょ、我慢しなくてもいいんだよ」
「俺は我慢する、お互いに十八歳になるまでは我慢する!!」
ささらの方はどうやら欲求不満のようだった、だから俺はほんの軽い気持ちでささらに向かってこう言った。
「ささら、欲求不満なら手伝ってやろうか」
「本当!? うん、手伝って!! 和樹の手でいかせて!!」
そこからは俺は煩悩との闘いだった、ささらがまた可愛い下着を着てきて、キスしてくるし体に摺り寄せてきたりした。そして下着越しにだがささらの気持ちいいところをいじってやったりした、ささらは可愛い声を出すしキスするし俺のものをなでようとした。
「ひぃやん!! はぁ、はぁ、和樹最高!! もう一回してぇ」
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