10対人戦
「対人戦にも生かせる、ダンジョンに当たるかどうか分からんが行ってみよう」
こうしてゲートの情報をネット調べて、一番近くのダンジョンに行ってみた。大外れ、ワニのダンジョンだった。ダンジョン全体を凍り付かせてボスを倒し、別のダンジョンに行ってみた。
「鎧のダンジョンか、対人戦という意味ではまぁ大当たりだな」
「よっし来い、わたしが止めをさしてあげる!!」
「交代でいこうぜ。まず俺から」
「そう? 分かった、ささらが応援したげる」
鎧のダンジョンは城が舞台で、その城を守る鎧をまとった騎士が大量に出てくるダンジョンだ。俺たちが入ったのは初めてで、知っているのはネット情報くらいだった。
「いってみっか」
俺がまず近くの鎧に斬りかかった、鎧の騎士はそれを受けて反撃してきた。俺はその攻撃を避けて関節の隙間からロングソードを刺しこみ中にある核を斬った、ふわふわした光と魔石を残してその鎧の騎士は消えた。
「よっし、ささらの番だ」
「お任せよ!!」
ささらは小剣で鎧の騎士に斬りかかった、騎士は避けてささらに斬りかかった。ささらはきちんと小剣で防御して、また斬りかかったが関節から核をめざしたのに届かなかった。それを見ると俺はささらに言った。
「ささら、お前の今の武器じゃ無理だ」
「この短剣セット一億もしたのに~~~!! 『強電撃』!!」
結局ささらは短剣では止めが刺せずに魔法で鎧の騎士を倒した、そしてかなりがっかりしていた。
「仕方がない、ささら。今度政府に行った時に売りにだそうな」
「ううぅ、中古だから買い叩かれそう。和樹ぃー!! 双剣乱舞したかったのに――!!」
どうしようもないものはしかたがない、よしよしとささらの頭を撫でてなだめて、それからは俺はロングソードでささらは魔法で敵を倒していった。しかし何人倒したか分からないくらいになって、とうとう城の一番上にいた特別な鎧の騎士を倒したら、今のささらにぴったりの良い物が出てきた。
「ささら、良い物が出たぞ。両手の拳とそれに足につける武器だ、ナックルダスターの強化版かな」
「おおっ、私の今の気分にばっちり!! 両手でも足でも戦えるなんてお得じゃん」
そうして俺たちを鎧のダンジョンをクリアした、できればもう一回当たりたいくらいの良いダンジョンだった。
「和樹、次のダンジョンゲートはここっ!!」
「一番遠いが何故だ?」
「ささらちゃんの勘!!」
「分かった、走って行こう」
俺がまたダンジョンゲートをネットで検索したら、ささらは一番遠いゲートを選んだ。だがささらは妙に勘が鋭いのだ、だからもしかしてと思って行ってみた。
「鎧のダンジョンか、凄いな。ささら」
「リベンジマッチ!!」
ささらはナックルダスター強化版で鎧の騎士をぶん殴った、さらに蹴りをいれて頭をぶち壊してしまった、もちろん忘れずに核を破壊した。
「わーい、やった。今度はやった、ささらちゃんの勝利!!」
「おめでとう、ささら」
喜んで抱きついてきたささら、俺はその頭を撫でてやった。ささらはご機嫌でそれからも鎧の騎士をガンガン殴りつけていた。俺は俺で鎧の騎士と斬り合うことで、何となく剣筋や攻撃の仕方を学んでいった。そして特別な鎧の騎士を倒して出てきたのは……
「双剣だな」
「もう!! なんか遊ばれてる感じ!!」
「うわっ、ささら。政府で売れるから、それ壊さないでくれー!!」
「すっごく!! むっかつく~~~~!?」
そうして俺たちは使わなくなった双剣を二組そろって政府のビルで売った、意外にも状態が良かった為、中古でも新品でも八千万円で買い取ってもらえた。それらの金はまた二人で分けた、そうして俺たちは対人戦のスキルを学んでいった、他のダンジョンなら焼き払ってしまい、鎧のダンジョンの時だけ戦うようにしていた。
「これでまぁ、基礎の対人戦は学べたんじゃないかな。ささら、このロースいるか?」
「いる!! そうだね、あとは実戦かな。和樹、カルビのお代わり頼もう!!」
鎧のダンジョンを十数件まわって俺たちはそこそこ対人戦のスキルを学んだ、その帰りに寄った焼き肉店で俺はささらのための肉を焼きながら、実際に使うことは無いといいと思っていた。
「『魔法の箱』って便利だね、装備がしまえて私服で歩けるもん」
「でも他に使ってる奴をみないんだよな、ささら。『魔法の箱』が使えるっていうのも秘密にしておいた方がいい」
「分かった、わーい。今日も和樹の家にお泊りだ!!」
「おじさんもおばさんも海外に行ってるんじゃなぁ」
「和樹と一緒にいられて嬉しい!!」
「俺もささらと一緒にいられて嬉しいよ」
俺たちは帰る前にもう一つダンジョンを攻略した、そしてダンジョンを出る時に『魔法の箱』に装備をしまうようにしていた、装備のまま街を走りまわるのは恥ずかしいし、『魔法の箱』の物は使いたければ『魔法の箱』からそのまま装備を装着できるのだと知った。そうやって俺たちがダンジョンを出た時のことだった。
「女連れてダンジョンとは逃げてきた一般人か」
「いや、ダンジョンが閉じる。こいつら覚醒者だ」
「どっちでもいいぜ、あの女可愛いから俺が貰うぜ」
「いや、まわせばいいだろ」
そうして俺たちがダンジョンをでたら、ガラの悪そうな覚醒者が四人いた。多分、ゲートの情報を見てきたのだろうが、もうダンジョンはささらと俺がクリアした後だ。
「あんたらここはダンジョン内じゃない、通報するぞ!!」
「そうだぞ!! そうだぞ!!」
俺はこの頭の悪そうな覚醒者に一応は通報するぞと脅しをかけた、ちょっと考えたら俺たちは二人でダンジョンをクリアしたのだ、そこそこに強い覚醒者であると分かるはずだった。
「すぐ近くにダンジョンがあんだよ」
「一緒に来てもらおうか」
「女だけは絶対に来て貰うぜ」
「男はぶるぶる震えて帰りな」
しかし、この覚醒者四人は馬鹿だった。俺たち囲むようにして近くのダンジョンに入っていった、俺とささらはこの覚醒者の馬鹿具合に呆れていた。
「それじゃ、女は脱ぎ――――!?」
「うるさいわね、この変態!!」
ダンジョンに入った途端に装備を付け直したささらはまず一人を足で思いっきり蹴り上げた、俺も一応装備をしなおして別の一人をロングソードの柄で腹を殴った。
「かはっ!?」
「素直に警察行くなら許してやるぞ」
俺は一応そんな優しい言葉もかけてやったのだが、残りの二人も襲ってきたのでささらの拳のえじきになった。それからダンジョンは一旦放っておいて、四人をつれて外に出て通報した。ささらが襲われそうになったのだから、それなりの罰を受けて貰いたかった。その後の四人は知らない、覚醒者証がはく奪されたとは聞いた。
「対人戦、練習しといて良かったな」
「そうだね、そうじゃなかったらあの馬鹿たち今頃まっ黒焦げ」
「それって死んでないか」
「尊くない犠牲だった」
俺は対人戦を学び始めて良かったと感謝した、ささらが殺人犯になるなんてごめんだからだ。もちろん自分が殺人犯になるのも嫌だ、だから対人戦は学び続けていこうと思った。強くなればなったぶんだけ、手加減も楽になるだろうからだ。
「ささら、対人戦。もっと練習しような」
「うん、あんな馬鹿殺して、殺人犯なんて嫌だもん」
「素直なささらは可愛い」
「ちょっとエッチなささらは?」
そういうとささらは俺にちゅっとキスをした、そうしてわくわくと俺の次の言葉を待っていた。俺はもちろんこう答えた。
「もちろん、そんなささらも可愛い。ん」
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