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28話 vsローバー

「【触手強化(テンタクルフェイズ)】」

「はあああああああああああ!!!」

「『聖なる祈りよ届け(ハイヒール)』『聖なる光で浄化せよ(ホーリー)』」


 ボキャ! 斬! ジュワアアアアアア!


 僕が触手を強化して奴らの守られていない首を折り、アルセラが奴らの未熟な剣技を見破ってその隙に首を断つ。


 レイラは僕の事を回復してから『聖なる光で浄化せよ(ホーリー)』で敵を消し飛ばしてくれる。


「ありがとう! でもどうして!?」


 僕は助かって嬉しいけれど、だからと言ってここまでしてくれるなんて。


「約束忘れたの? 今日は一緒にお昼を食べるって言っていたでしょう!?」

「貴様が1人森の方に駆けていくのをみてな。もしやと思って追いかけて来たんだ」

「でも2人だけで……?」

「急いでいたからしょうがないでしょう!? それに、他の子達に声をかけたら絶対にいかせてくれなかったから仕方ないのよ! 『聖なる光で浄化せよ(ホーリー)』」

「ううん! ありがとう! 本当に助かるよ!」

「そう思うのだったらさっさと片付けて食事にするぞ!」

「クトーのおごりでいい所に連れて行ってよね!」

「お手やわらかに!」


 そんな事を話しながらも強化ゴブリンナイト達を(ほふ)っていく。


 レイラの『聖なる光で浄化せよ(ホーリー)』の威力は絶大だし、回復もほぼ全回復したと言ってもいい。


 アルセラの相手はやはり普通の剣を持っている相手の方が戦いやすいのか、相手の弱点を上手い事ついて倒しまくっていた。


 そして、5分もかからない間に強化ゴブリンナイトを全て倒しきってしまった。


「さて、後は貴方だけね。ローバー先生?」


 レイラが観念なさいとでも言うように話しかける。


「詳しい話を聞かせてもらおうか、ダンジョンでレイラ様を襲った件についてもな」


 アルセラが前に出て(すご)む。


 しかし、ローバー先生はいつもの優し気な表情のまま変わらない。


「素晴らしいですね。それなりに自信があったのですが……貴方達相手ではまだまだなのかもしれません。ですが」


 ザッザッザッザ


「まだこんなに……」


 さっき倒したばかりの強化ゴブリンナイトがこれでもかと現れた。

 しかもその数、さっきの倍以上はいる。


「さて? ではもう一度見せて頂きましょうかね?」


 第2ラウンドが始まった。


 それから直ぐに僕たちは固まる。


「このままでは不味い! クトー話がある!」

「何!」


 アルセラに叫び返しながら目の前の敵の首をへし折る。


「ここは私とレイラ様で引き付ける! 貴様はローバーの首をとってこい! じり貧だ!」

「でも!」

「私はレイラ様から離れられん! だからお前が行け!」

「……」

「クトー! あたし達は大丈夫だから! というかローバー先生を倒さないとこれ終わらないのよ! ゴブリン臭いから早く終わらせて来てよね!」

「分かった! ここは頼んだよ! 【保護色(カラーコート)】」


 僕は全身を透明にして、ローバー先生に向かって走る。


「おやおや。これでクトー君と一騎打ちですか。しかし、本当にそのまま私の所に来てもいいのですか?」

「……?」


 僕はローバー先生の方に向かうが、彼はさっきグレーデンがいた丘の上でただただ待ち構えている。


 何かあるのだろうか。

 いや、どちらにしろいかなければならないのであれば行くだけだ。

 先生に僕の姿は見えていないはず。


 後5m程で到達する。

 その時に、全身が細く切り刻まれそうになる感触があった。


「っ!?」


 僕は急いで飛び退る。

 体の前の方からは血が滴り落ち、危うく死ぬところだった。


 ローバー先生はこちらを見て笑っている。


「惜しかったですねぇ。もう少しでバラバラでしたよ?」

「何をしたんだ!」

「これはおかしな事を言いますね。私のスキルをご存じでしょう?」

「糸……?」


 たまたま月明かりの加減かローバー先生の前に細い糸がキラリと光る。


 それには僕の血もついていて怪しく光っていた。


「そうです。それをピンと張りつめればそれだけで武器になる。この様にね」


 シュパ!


「え?」


 僕の右手の触手が2本。

 いきなりきり飛ばされてしまった。

 慌てて下がるけれど、何が起きたのか分からない。


「あ、貴方のスキルはそんな力はない……制御力だけがすごいと……」

「そんなことを信じていたのですか? スキル同士の戦いではいかに相手を(だま)すか。いかに自分のスキルのメリットデメリットを知られない様にするか。そういったことが必要になってくるんですよ」


 なるほど。これが戦いか……。

 僕は警戒して、どうやってローバー先生を倒すかを真剣に考える。


「さて、私がどうしてこうやって貴方を野放しにしているか分かりますか?」

「?」

「先ほどのように触手を切り飛ばせるのであれば、殺そうと思えば殺せたのです。でも、私は貴方に研究に協力して欲しい。でも手伝ってもらえない。ならば力ずくで協力してもらうしかありません。そして、貴方の全力を潰し、理解してもらう必要があります」


 彼はそう言って一歩、僕の方に近付いてくる。


「だから見せてください。強化ゴブリンジェネラルを倒した貴方の本当の実力を。私が叩き潰して差し上げますから」


 これは……これは本当に使うしかないみたいだ。

 自分で制御出来ると言っても2本だけ……。

 それも、長時間出来るかと言われたら怪しいけれど、それでも、使うしかローバー先生を倒す方法はない。


 覚悟を決める。


「後悔しないで下さいね」

「お早くどうぞ。私の気は長くないですよ?」

「【タコ化:クラーケン】」


 僕の左手の2本の触手が真っ黒に……夜よりも暗く深い黒色に変わる。


 ローバー先生は目を見張り、僕のスキルをこれでもかと凝視(ぎょうし)していた。


「クラーケン……その力を使える者がいると……? しかし……。いえ、でもいいでしょう。所詮はただの人。全ての力を使える訳ではないのでしょう? それ」


 シュパ!


 ローバー先生の糸が僕のクラーケンの触手を切り飛ばそうとする。

 けれど、糸は触手を切ること所か傷一つつけることは出来なかった。


「なんですと……!」

「この糸……こうしたらどうなるんですか?」

「!」


 僕は触手に巻きついている糸をまとめて引っ張る。


 ローバー先生が飛ぶようにこちらに向かってきた。

 予想通り、先生と糸は繋がっている。


「く!」


 先生が何かしたのは分かるけれど、僕は触手を動かして自身の体を触手で守る。


 ビィン!


 クラーケンの触手のお陰で、糸は僕の体を傷つけられない。

 糸でくるりと一巻きしてからでないと切れないからだろう。


 ローバー先生は数m前に着地して苦々しく僕を見る。


「これで僕を傷つけられませんね」

「そうでもないですよ」


 さっきまでとは表情を変え、彼は笑った。


「つぅ!」


 僕は何とか理性でクラーケンの力を抑えている所に、何かが体を……細い何かが貫通した様な衝撃を味わう。


「別に切り落とすのが糸の素晴らしい所ではありません。縫合が出来るのです。こうやって突き刺して、体の中から傷つけることも出来るのですよ」

「ぐぅ……【自己再生(オートリペア)】」


 体内を傷つけられながらも必死に耐える。

 スキルで体内を回復しつつ、更にクラーケンの力を抑えるのはかなり厳しい。

 でも、僕が諦めたらサナは助からない。


「諦める……ものかぁ!」

「ほう。その再生力はやはり魅力的ですねぇ。でも面倒です、こうしましょうか。今私が持っているこの糸……サナ嬢に繋がっていると言ったらどうします?」

「っ!!!???」


 こいつは……こいつはこいつは! またしてもサナを……サナに傷つける事を!


「貴方を力づくで言うことを聞かせるにはこの方がいい様なのでね。ああ、それとせっかくならサンプルとしてサナ嬢も実験対象に入れましょうか。私の寛大な誘いを断ったのですから。それくらいは当然だと思いませんか? というか、兄弟揃っての方がいい気もしますね」


 ローバー先生はさも当然かのように笑顔で言って来る。


 そんな訳ない。

 サナに……大切なサナにそんなことをしていい訳がない。


 僕はクラーケンの力を抑えることをやめ、ただ考える。


「お前だけは殺す。ローバー」


 僕はクラーケンの力を解放した。

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