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18話vsゴブリンジェネラル

「大丈夫。僕達なら勝てるよ」


 僕は落ち着かせるようにそう言って前に出る。


「【触手強化(テンタクルフェイズ)】」


 抱えている彼を降ろし、こちらからゴブリンジェネラルに近付く。

 レイラや彼から少しでも離れた所で戦わなければ、彼らが狙われてしまうかもしれない。


「ゲギャ」

「っ!」


 奴が剣を一閃。ただ横に振るう。

 その位置は丁度僕の首がある辺りだ。


 僕は頭を下げつつ、確認の為に強化した触手で奴の剣を迎え撃つ。


 スパッ


 僕の強化した触手は一瞬で切り裂かれ、そのまま飛んでいった。


「く……が!」


 奴は剣を振った後にそのまま蹴りを入れてきて、僕は回避することも出来ずに吹き飛ばされた。


 ドオン!


「がは!」


 死体の近くの壁に叩きつけられ、肺の中の全ての空気が無くなる気配を感じるけれど、それよりも先にすることがある。


 近くに転がっている小石を持って奴に投げつけた。


「ゲギャ?」


 レイラに向かいそうになっている奴をこちらに引き付けるのだ。

 そうしないとレイラはさっきのゴブリンナイトと違って、直ぐに首を()ねられてしまう。


 僕は死体の近くに落ちている剣を拾い上げて、挑発するように言う。


「来いよゴブリン。僕はまだまだ死んでないぞ」


 そう言いながら触手で首をトントンと叩く。


「ゲギャギャギャ!!!」


 こんな簡単な挑発に乗ったのか奴が僕の方に駆けてくる。

 体さばきなどはすごいが頭はバカなゴブリンのままか。


「ゲギャギャ!」


 奴は走りながら横に振りかぶり、僕の首を狙うように剣をフルスイングして来る。


「【触手強化(テンタクルフェイズ)】はぁ!」


 僕は筋力を出来る限り上げて、剣を持つ2本の触手に注ぐ。

 そして、奴の剣を思いっきり受けた。


 ズン!


 出来る限りの力を出したお陰で何とか奴の攻撃を受ける事が出来た。

 けれど、奴の方が自力が強いのか、真っ白な剣の性能がいいのかジリジリと押されていく。


 でも、これだけ奴の動きを止めれば。


「『聖なる光で浄化せよ(ホーリー)』」

「ゲギャ!?」


 奴の真下で真っ白い魔法陣が浮かび上がる。

 これで勝った。

 そう思ったけれど、奴は即座にその場を飛びのいて『聖なる光で浄化せよ(ホーリー)』を回避した。


「そんな!?」

「速い」


 奴は僕とレイラを警戒して首を左右に振っている。

 僕は奴の一撃を止められるだけの力があるし、レイラからは何か得たいのしれない物を感じているのかもしれない。


「はぁ!」


 僕はレイラに向かわれないようにこちらから切りかかっていく。


「ゲギャ!」


 奴は僕の一撃を受け止める。

 けれど、そこに力は先ほどの様には入っていない。

 レイラの『聖なる光で浄化せよ(ホーリー)』を警戒しているのだろう。


 そうなるとさっきの一撃で仕留めきれなかったのは痛い。

 奴がレイラを警戒するようになってしまったのだから。


 何とかして奴の注意をこっちに引かせられる様にしないと……。


「【保護色(カラーコート)】」

「ゲギャギャ!?」


 僕は奴から剣を引きながら体の色を消す。


 奴も今まで切り合っていた相手の姿がいきなり消えて、驚いて周囲を確認している。


 その間に、僕はある準備をした。


 近くに転がっている死体に近付き、その頭部になり替わるのだ。

 体は触手で動かして、不格好だけれど歩いたりする程度は出来た。


 死体の頭があった位置に俺がタコの姿でいるような感じだ。


「ゲギャ!?」


 奴は目を丸くして僕の方を見ていた。

 それもそうだろう。

 さっき確実に首を刎ねて殺したはずの相手だ。

 それが再び動くなど悪夢でしかない。


「……」


 僕はスキルを解いてタコの頭にする。

 奴に向かいながら目でレイラを見ると、彼女はこくりと頷いて杖を構えている。


 それだけで彼女に何が伝わったのかと思うと少し嬉しくもあった。

 でも、今は目の前のこいつに集中しなければ。


 僕は奴に近づくと、奴は馬鹿の一つ覚えのように僕の首を狙ってフルスイングをして来る。


「待ってたよ」


 奴の剣が首の辺りに来るのを見切り、僕は死体から奴の顔目掛けて飛んだ。


 その時に、死体を動かしていた触手が4本切り飛ばされてしまうけれどそれは必要経費だ。

 

 触手はまだ3本も残っている。

 これだけあれば、奴を倒せる。


「ゲギャ!?」


 奴は首を飛ばしたと思っていたのに、まさか自分の方に飛んで来るとは思っていなかったのか驚いている。

 けれど、体は剣を振りぬいている体勢のままなので僕を避けることはできない。


 僕は奴の顔に張り付き、触手2本を奴の口からのどの奥に、出来るだけ奥まで入れる。

 そして、奴が剣を僕に向ける前にスキルを使って強化し最大化した。


「【触手強化(テンタクルフェイズ)】」


 僕の2本の触手が奴の喉をから体内を破裂させようと大きくなる。

 奴の体内を傷つけ、内側から破壊しようとダメージを与え続けた。

 しかし、体内も十分に頑強(がんきょう)だった。


「嘘でしょ!?」


 僕の触手は奴の体内から破壊することは出来ず、多少傷つけるだけに終わってしまった。


「!!!」

「っぐ!」


 奴は開いている左手で僕をつかむと、思い切り地面に叩きつける。

 そして、体の中の傷で思うように体が動かせない奴は僕を憎々し気に見つめた。

 ついでに剣も振り上げ、今まさに振り下ろさんとしている時、


 そこに


「『聖なる光で浄化せよ(ホーリー)』」

「ゲギャギャギャギャギャ!!!???」


 体内を傷つけられた奴はさっきの様に飛びのくことも出来ず、レイラの魔法をくらい、悲鳴を上げ続ける。


「良かった……」


 奴はレイラの『聖なる光で浄化せよ(ホーリー)』に囚われ、ダメージを負い続けている。

 最初は僕の体内からの攻撃で殺せれば良かったんだけれど、それが出来なった時の為にレイラに目で合図を送っていたのだ。


 でも、レイラの『聖なる光で浄化せよ(ホーリー)』であれば直ぐに倒せるだろう。

 ゴブリンナイトも数秒と経たずに灰になったのだから。


 そう思っていたのも束の間、奴の悲鳴が消えない。

 時間はもう10秒は経過したはずだ。


 レイラは額から汗を流しながら魔法を発動させ続けている。

 それなのに、奴の悲鳴は消えない。


「もう……無理……」


 ガクン


 レイラが杖を支えにして座り込んでしまった。

 息も絶え絶えといった様子で、こちらを見る力もない。


「ゲギャギャギャ!!!!!!!」


 『聖なる光で浄化せよ(ホーリー)』が消えた後の場所からは、奴が姿を現した。

 その姿はボロボロで、真っ白だった鎧は糸が解れた様にバラバラになっていたけれど、未だに動いていた。


 片足を引きずりながら、左手も動いてはいない。

 けれど、ゆっくり……ゆっくりと歩いて、レイラの方に向かっていく。


「待て……【自己再生(オートリペア)】」


 触手が3本しかない。

 それも、両手に当たる部分のため、今人間に戻っても足無しだ。


 けれど、この状態だとそこまで速度が出ない。


 このペースで行ったらレイラが……。

 彼女は顔を奴に向けているので来ているのは知っているが動けない。


 僕が……僕がなんとかするしかない。

 危険だ。

 レイラが殺してしまうかもしれない。


 でも、ここで使わなければ、きっとレイラは死んでしまう。なら


「【タコ化:クラーケン】」


 僕はスキルを発動した。


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