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14話 スキル検証


 「話はこれで終わりですか?」


 僕がそう聞くと、学園長がにっこりとした笑顔で笑いかけてくる。


「何を言っておる。話はこれで終わりじゃが、スキルの研究を手伝ってもらわんとのう?」

「え……でも……明日ダンジョンがあって……」


 何とか言い訳を試みる。

 もしかして、万が一うまく行ったのなら許してもらえないだろうか。


「昨日……サボったのは忘れたのかのう?」

「……はい。やらせて頂きます」


 僕は素直に頷いた。


「早速やろうかの?」

「何をすればいいんでしょうか?」

「今日はタコになった状態で、どこまで大きくなれるのか、小さくなれるのか。をやってもらおうと思っての」

「サイズ調整ですか」

「そうじゃ」

「やってみますね」


 僕は今出来る限りのサイズ変更を行なう。

 タコのままだったら元々体長50cmのを倍くらいまで大きくしたり小さくしたりすることが出来る。

 けれど、人間形態(半分人間で半分タコになったり、一部分だけでも人間の部分を残す時)の状態だと触手は太く長くなるけれど、そこからほとんどサイズを変える事が出来なかった。


「これが今の僕の限界ですね」

「ふむ……タコの時にはあれだけサイズを変える事が出来るのにどうしてなんじゃろうか?」

「それは……あまりよく分かっていません」

「人間形態の時には体を変えているからそれでそっちに引っ張られているから……ということがあるのかのう?」

「どうでしょうか。あんまり考えたことは……」


 基本的にスキルのことはあんまり好きではないので、深くは考えた事もない。

 タコ野郎と呼ばれ続けてなんとなく自分でもいい思いがしないからだ。


「タコの時はかなりサイズ変更出来るじゃろう? その時の想像はどうやってやっておる?」

「どうって……。僕の地元にはタコがいるので、そのタコのことを考えたから……かも知れません。それで、今まで見た中で一番大きかったのが僕がなれる最大の奴です」

「それでは実際にそのサイズの物を見たらなれると言うことかの? であれば、もっと多くのタコを取り寄せる必要があるか……」

「え? そういう物なんですか?」

「当然じゃ。スキルも自身が出来ると思った事を出来るようになる物。実物を見た方がより想像しやすくなる。しかしクラーケンは流石に見に行けんからのう……」

「死んでしまいます」


 クラーケン……それは極北海に棲むとされるSランク、いや、それ以上の伝説の魔物。

 今まで一度たりとも討伐されたことがなく、このクラーケンを討伐しようと当時海軍最強の国が100(せき)の軍船を派遣した。

 結果討伐は失敗し、帰ってきた船はたったの1隻のみ。


 討伐に参加していた者達の話では、当時最大最強の軍船が触手たった1本に一握りで海に沈められたというほどの力を秘めていたらしい。


 事件後、その国は海軍最強を誇っていたけれど、人的にも軍事的にも被害を元に戻せず滅んだという。

 それ以来クラーケンに戦いを挑むものはいなくなった。


「じゃろうなぁ……まずはもっとサイズの違うタコを見て、それでサイズ調整が出来るようになるのか。ということの訓練じゃのう。他にも、タコが使える事が出来る力を使えるようになる。ということもあるかもしれん」

「タコに能力があるんですか?」

「分からんが、今色々な場所に送って調べている最中じゃのう。それよりもまずはサイズ調整じゃ。これが出来れば、潜入ももっと簡単になったじゃろう」

「確かに……出来るだけ小さくなっても、意外と手足が多いので潜入は難しかったですからね」

「という訳で、実際に小さいサイズのタコを連れて来た」

「ええ!」


 学園長は席から立ち上がり、後ろの方の中に手を入れてごそごそをやっている。

 そこから壺を取り出した。

 音が聞こえるので水が入っているのだろうけれど、書類の側に置いて置くのはどうなんだろう。


「これは水が零れないようになる魔道具の壺でな。魚等を運ぶのに重宝しておるんじゃ」

「なるほど」

「それで、見るがいい。このサイズのタコを」


 学園長が壺に手を入れ、そしてタコを引きずり出す。

 彼の手に握られていたのは……


「ちっさ!」


 体長10cm程の本当に小さなタコだった。

 というか、学園長の手のひらに収まるサイズで、本当に小さい。


 しかし、ちゃんとしたサイズのタコであるようで、成長途中という事でもないようだ。


「あの……触ってもいいでしょうか?」

「勿論」


 僕は学園長に近付いてそのタコを貸してもらう。


「冷た」

「ほっほ、水温なども調整出来る機能があるからのう。そうそう、借りものじゃから殺さんでくれよ?」

「はい。ありがとうございます」


 僕はその手のひらサイズのタコを触ったり揉んだりじっと凝視したりして見つめ続ける。

 触るとタコが反撃するように指に触手をくっつけて吸盤をすいつかせて来るけれど、大きさもそこまでないのであまり問題はない。


 僕は10分ほどずっとじっとタコを構っていた。


「そこまでにしてくれんかのう?」

「はっ!」


 学園長に言われて我に返った。

 これだけ構っていたらタコが死んでしまうかもしれない。


「す、すいません」


 僕は急いで学園長に返す。


「『癒やせ(ヒール)』」


 学園長はタコを受け取り、回復魔法をかけて壺に戻した。


「やれやれ、1時間もずっとタコを構っているとは思わんかったぞ」

「あれ……そんなに構っていました?」

「構っておったよ。というか、ワシが回復魔法を何度もかけていたのも気が付いていなかったのかの?」

「あー……はい。気が付いていなかったです」

「そう言うこともあるじゃろう。それでできそうかの?」


 学園長が少年の様なキラキラした目で見つめてくる。

 もうかなり老齢なはずなのにキラキラした目、という風に思ってしまった。


「やって見ます。【タコ化】」


 僕はさっき見たタコのサイズを記憶に焼きつけて、イメージしながら挑戦する。

 すると……。


「おお! さっきのタコと同じくらいのサイズではないか!」

「やりました!」


 僕は今までで最小のタコのサイズに慣れているようだった。

 周囲がとても大きい。

 というか、ちょっと踏まれたら普通に死ぬかもしれない。


「それでは……実験と行こうかの?」

「……はい」


 それから学園長の実験。

 サイズが違うと力の差もどれくらい違うのか。

 という研究をさせられ、やはり大きければ大きいほど力が強くなっているということが分かった。

「面白かった!」


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