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 ――海外、某所。



 バァンッ!


「ぎゃあああああああっ!?」


 市街に銃声と共に悲鳴が響き渡る。


「畜生っ! 撃てぇ!」


 男の号令で部下達が一斉に銃撃を行う!


 バァン!


「ぐぎゃあああああああああ!?」

「畜生……! 化け物め!」

「テメェ等、たった一人に何やってんだ! 数ではこっちが勝ってんだ、撃って撃って撃ち続けろ!」


 バァン、バァン!


 再び銃声が市街地に鳴り響く!

 男達が相手にしているのはたった一人……しかし、その一人によって既に半数が殺られていた。


 バァン!


「ガァァァァァァァァァァっ!?」


 銃声が鳴ると共に一人、また一人と男の部下が撃ち殺されていく。


「畜生……畜生が!」

「ボス、教えてください……俺達は今……何と戦っているんですか!?」


 ボスと呼ばれた男は敵の正体を言わない……いや、言えないのだ。

 彼自身、ある組織に依頼されて男の抹殺を頼まれただけで、詳しい詳細までは聞かされていなかったのだ。


 ボスは動揺を抑えながら、頭を抱える。


(何故こうなっちまったんだ……たった一人殺せば良い楽な仕事だった……なのに蓋を開ければ殺されそうになっているのは俺達の方だ……一体、あの男は何者なんだ!?)

「俺が何なのかって?」


 ボスが考えていると、いつの間にか後ろに男が立っていた。

 ボスは男に銃を向けるが、その手は震えていた。


「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」


 バァン!


 部下の一人が怖気づき逃走を計ったが、後頭部を撃たれ、地面に崩れ落ちる。

 そして、銃口は今ボスに向けられている。


「恨むなら、俺を殺すように依頼した『奴ら』を恨むんだな」

「な、何なんだ……お前は一体、何者なんだ……?」


 ボスが震えながら喋ると、男は煙草片手にその質問に答えた。


「俺か? 俺はな……――」
















 ――日本、某所。


「はぁ……」


 とある家に、一人の少女が窓から空を見上げため息を付いていた。



 少女はクリスマスが嫌いだった。

 両親は共働き、仕事が多忙であまり家に帰ってこず、物心ついた時からクリスマスを家族と一緒に過ごしたことは一度もなかった。


(……お父さんもお母さんも、私のために頑張ってくれているのは分かってる……でも、こんな時ぐらいは家族で過ごしても良いじゃない……)


 少女は布団に潜り、不貞腐れる。

 今日はクリスマスイブ、両親はいつも通り仕事だ……恐らく明日のクリスマスにも帰っては来ないだろう。


「……クリスマス何て、大嫌いよ……」


 少女が目を瞑り、眠ろうとした、その時だった。




 ――シャンシャンシャン、シャンシャンシャンシャン♪



「……?」


 『ジングルベル♪ ジングルベル♪ 鈴が鳴る♪ 今日は楽しいクリスマス♪ ヘイ♪』


 突如、部屋にクリスマスソングが聞こえてきた。

 少女は起き上がり、周囲をを見渡す。


 『ジングルべル♪ ジングルベル♪ 鈴が鳴る♪』


「な、何? 何なの……?」


 『今日は楽しい、クリスマス♪』



「セイィィィィィィィィィィッッ!!!」



 バリィィィィィィィィィィィンッ!!


「キャアアアアアアアアアアアアッッ!!?」


 突然、何者かが少女の部屋の窓に突っ込み、ガラスを破壊して入って来た!


「ふぅぅぅぅぅぅぅぅ……」

「な、なな……」


 入ってきたのは、真っ赤な服と帽子を着て、真っ白な布袋を背負っている30代前半の男だった。


「だ……誰!? 誰なのよ貴方!?」

「ああ……?」


 動揺する少女をしり目に、男は煙草に火を付け、吸い始めた。


「……俺が誰かだって? んなもん見りゃあわかんだろうが……」


 男は、威風堂々とこう言った。


「SANTAだよ」

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