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カウボーイ・ブルース

カラスの鳴き声で目が覚めた。死んではいないらしい。倒れた体を起こそうとしたが上手く力が入らない。

首を上げると、俺の胸の上に乗っているカラスが不思議そうに首を傾げていた。

「…まだ死んじゃいねぇよ」

ビシャス達に撃たれた所までは覚えているが、死んではいない。

胸の撃たれた辺りを軽く撫でる。

「麻酔弾か。舐められたものだな…西はどっちだ?」

カラスに問いかけると、その言葉に応じるかの様にどこかへ飛び立っていった。

「そっちか、ありがとうよ」

そう言いつつ、痺れの残る体を起こして歩き始める。

右ポケットにしまっていた通信機が鳴る。

「こちらジェイク」

「こちらブライソン、やっと繋がった。大丈夫か?長い間応答が無かったが」

「スマン、しばらく寝てたもんでな。"首"を見つけたんだが逃がしちまった」

「何ィ?もしやドジ踏んだな?」

「…"首"と一緒にビシャスが居た」

「ビシャス!?たしか組織の幹部クラスの男だったか。生きてたとは」

「まぁね…とにかく一旦そっちに戻る」

「了解した。気をつけろよ」

何故こうなったか…事の始まりはある賞金首を捕まえる事になったところから始まったんだっけか…

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ある日、俺は相棒のジェイクとある賞金首を捕まえる話をしていた。

俺はモニターに賞金首の情報を映す。

「で、今回の首はどんな奴だ?ブライソン」

「アシモフ・ロドリーゴ。こいつが今度の賞金首だ。アステロイド一帯で勢力を伸ばしてる組織の幹部らしいんだが」

「あの一帯は行きたくねぇんだよなぁ」

ジェイクは乗り気でないようだ。

「しかし賞金は250万だぞ」

「乗らねぇなぁ。それより、この前の賞金100万はどうしたんだよ」

「この前の賞金だがなぁ、賞金首を捕まえる時にお前がケガさせた警官の治療費、お前が壊した建物の修理費でパーだよ...」

「うっ….」

ジェイクが言葉に詰まる。

「大体、ジェイクはいちいち荒いんだよ。もう少し慎重にしろ」

「うるせぇ、捕まえられてるからいいんだよ」

「まぁ良い。で、結局やるのか」

「仕方ない、ブライソンの言う事ですしいっちょやりますかね」

「心にも無い事を言うな」


こうして今回の目標が決まった所で、俺達は二手に分かれる事になった。

「俺はひとまず警察筋を当たってみる」


「じゃあ、俺はジェロ爺さんの所でも行ってみるわ」

「当てになるのかね、あの占いのおっさん」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ブライソンが警察筋から調べている間、俺はジェロの所に来ていた。

「ジェロのおっさん。なんか良いもん出たか?」

「お前は女に出会う。お前は女に殺される」

「…またか。勘弁してくれ」

「"また"?」

「俺は一度死んでるんだよ。女に殺されてね」

俺は思わずため息を吐く。

「それで、ジェロのおっさんよぉ。他には何か出てないの?」

「...お前の目当てのものはタルカスの町に居ると出ている」

「そうかい。ありがとうよ」

ひとまず結果をブライソンに伝え、俺はタルカスに直行した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


相棒のジェイクがジェロの所に行っている間、俺は警察の知り合いから情報を集めていたが、

ジェイクから賞金首がタルカスの町に居るとの連絡があったため、ジェイクを追いかける形で

タルカスに向かうことにした。

町に到着した後、聞き込みでもしようかと思っていた矢先、かなり荒れたバーを見つけた。

タルカスでは地元組織同士での抗争が増えていると聞いてはいたが、ここまで激しくなっていたとは…。

バーに入ってみると、激しい銃撃戦があったことが分かった。

何か手掛かりでもないかと探していると、近くに車が停車する音が聞こえた。

とっさにカウンター裏に隠れて様子を伺っていると、いかにもな2人組がバーに入ってきた。


「いやー、アシモフの野郎、派手にやってくれたもんだなぁ」

「警察が騒ぎ立てる前にとっとと片付けるとするか」

2人の会話から察するに、どうやらこのバーの有り様はアシモフが原因のようだ。

これは情報を手に入れるチャンスだ。もうしばらく様子を見てみるか。

「それにしても、最近アシモフも暴れ過ぎじゃあねえのか」

「そりゃあオマエ、最近ウチの組織でも取引が多くなってるあの薬を使ってるって噂だぜ?」

「確かハウンドブラッドだったか。使うと身体能力が異常に上がるって薬」

「そう。最近は取引だけじゃなく、組織内でも抗争に勝つために使い始めてるってもっぱらの噂だ」

どうやら、アシモフという男は薬を使って組織同士の抗争の筆頭に立っているらしい。

奴を捕まえる時には注意が必要だな。

ひとまずあの2人組からもう少し詳しく話を聞いてみるか…。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「この町に居るって言ったって簡単には見つかんねえよなぁ」

ジェロ爺さんの占いを聞いてタルカスに来た俺は、特に当てがあるわけでもなく町を歩いていた。

タルカスの町というと、正直良い町とは言い難い。

元々この町を根城としているある2つの組織が敵対している町なのだが、

最近は対立が激しくなり、抗争も多くなってきているとの噂だ。

「とりあえず、アシモフの野郎の情報でも聞いて回るとするか」


「アシモフって奴を探してるんだが、知らないか?」

そう言ったのは何度目だったか。何人もの住人に聞いて回ったが、

誰からも有益な情報が得られずにいた。全く知らないか、反応があっても微妙な情報ばかり。


やはり探し方が間違っていたか。


そうやって探していると、いつの間にか裏路地に来ていることに気が付いた。

目の前に丁度男が立っていたんで、同じ調子でアシモフについて尋ねてみると、

「アシモフ?知らんな」

他の奴と同じ答えが返ってきた。しかし男は続ける。

「ここには何もない。あるのはマズい酒とマズい飯くらいなもんさ」

何か妙な含みを感じるものの、情報が得られそうにない事に変わりは無かった。

「そうか。ありがとう。」

適当に礼を言ってその男から離れた。

が、そのまま歩いていると後ろから足音がいくつか聞こえてきた。


1,2、3…いや6人は居るか。

どうやら俺を付けてきているようだが、どういうつもりだ?

俺は一旦そいつらを誘い込む事にした。

段々と歩くスピードを速めていき、後ろの奴らもそれに付いて来る事を確認し

適当な袋小路に誘い込んだ。


「何か用かい?」

振り返って言った。付いてきた奴らの様子を見てみると、何人かは鉄パイプらしきものを持っていた。

「お前、ビシャスの仲間だな?」

さっき俺が話しかけた男が奥から出てきて言った。

ビシャスと聞いた瞬間、猛烈な不快感に襲われた。

思わずその男を殴りつける。

取り巻きの奴らもそれに反応して飛び掛かってきた。

鉄パイプで武装はしているが、動きが遅い。

適当にそいつらを殴って動けなくした所で、俺は男を尋問する事にした。


「どうして、俺がビシャスの仲間なんだよ!」

男にアームロックを掛けて脅すと、あっさりと男は情報を吐いた。

「こ..この近辺でハウンドブラッドってクスリの取引があるって情報が流れてる。ビシャスって奴が取引する事もな。その取引の金を頂こうかと思って...」

「俺がそんな金持ってるように見えるのかよ」

「フン、他所から来た奴らは皆金持ちさ…」

「あぁそうかい!」

適当にその男を投げ飛ばした後、ビシャスが取引に使いそうな場所へ向かった。


「ビシャス…まだ生きていたのか」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


取引現場と思わしき船着き場で待ち伏せていると、それらしき船が一隻近づいてくるのが見えた。

中から出てきたのはビシャスと…アシモフだ。

ブライソンに見せてもらった写真と同じ顔の男がビシャスの傍にいるのが見えた。


ビシャスが船から降りると、誰かと電話で話をし始めていた。

取引の連絡だろうか。だとするとマズい。

取引が行われるとなれば人の数が増えて賞金首を捕えづらくなってしまう。

このタイミングで何としてもアシモフを捕えたい。


ビシャスが電話を終え、アシモフから離れた。周りには誰も居ない。

やるなら今だ。


「アシモフ・ロドリーゴだな。大人しく付いてきてもらうぞ」

アシモフの後方に近づき銃を向けながら告げた。

「誰だアンタ。まさか賞金稼ぎか」

「ご名答。さ、付いてきてもらおう」

そう言った瞬間、アシモフの左手が一瞬動いたのが見えた。

その瞬間、俺は左手に向けて蹴りを入れた。


が、あっさりと受け止められ、そのまま足をとられコケてしまった。

...何かおかしい。右手で蹴りを止められた?


倒された俺は、次の瞬間アシモフが撃った弾を間一髪で避けながら立ち上がった。

そこからもう一度蹴りをアシモフに入れようとした瞬間、後ろに気配を感じた。


「ジェイク、何故お前がココに居る?」

ビシャスだった。俺の頭に銃を突き付けているのが見ずとも分かった。

「ビシャス。お前こそ、死んだんじゃなかったのか?」

「死んじゃあいないさ。現にココに居る。何をしに来たかは知らんが、邪魔立てをするな」

「お前の邪魔をする気はさらさら無いさ。ただそこの首が欲しいだけなんでね」

そう言いながら、俺はアゴでアシモフの方を指す。

「なるほど、そういう事か。どちらにせよ、ここでお別れだ」

そう聞こえた瞬間、アシモフに胸を撃たれ、俺は意識を失った…

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