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世界樹の下で③
目の前の小さなナニかは、自分のことを世界樹の守り人と名乗った。
チョウチョではなく、妖精らしい……
その守り人は、私が二千年も眠っていたと話す。
ニ千年…
しかも、私を竜の王と呼ぶ……
ニ千年前に、この世界樹の側で死んだドラゴン、それが私らしい………
しばらく黙って聞いていたが、守り人に自分のことを話してみる。
私は、ドラゴンではなく人間で、死んでしまったと…
目覚めたら、この身体で、知らない世界にいたと…
私が、覚えていることを話している間、守り人はそれをじっと聞いている。
話し終え、お互いにしばらく沈黙が続く……
守り人が、ゆっくりと口を開いた。
ここで死んだドラゴンは、ニ千年程前に生物の頂点に立っていた竜の王で、世界樹の側で果てた竜王の身体は朽ちることなく、むしろ、世界樹の影響で細胞が復活し、そこへ死んだ私が転生し、目覚めたのではないかと………
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