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王都で待ち受けていたもの

 どういうことなのか?


 俺はクリームヒルトを金華国軍から救おうと動き出して何回目かの同じ質問を自分に繰り返した。


 ヨミはあまり意味を理解していないようだが、エリーネは血の気が引いている。


 エヴァンスも青い顔をしたままだ。


 誰に答えを聞いても、誰も答えられない。


 記事に目を移した。




[キャロラインの複合戦略魔法使用の事実を重く受け止めた同盟国はその調査をアイレーリスに求めてきた。そこで、フレードリヒが公平を期すためにギルドに調査を依頼し、魔法水晶で現場の状況を確認したところ。クリームヒルトの町は全壊。住民のものと思われる体の一部と魔物のクリスタルが散乱していた。どうやら、金華国軍は魔族と手を組み、魔物を町の見張りに使っていたようだが、クリームヒルトには捕虜として生き残りもいた模様。キャロラインは国民を助けるどころか、敵国の見張り諸共、全てを破壊してしまったようだ。この調査結果を魔法水晶で見ていたにもかかわらず、キャロラインは軽率な行動を取った自らの罪を認めず、調査が不当なものであるかのような主張をした。そのため、宰相様が伯爵に評決を取り、キャロラインの女王としての地位を剥奪し、犯罪者として告発することとなった。最後に、この度の戦争及び、元女王の過ちによって失われた国民の命に哀悼の意を表明します]




 本当のことは、魔物が見張りをしていたってところだけだった。


 金華国が魔族と手を組んでいるって言うのは、信じてもいいのか。


 町に軟禁されていた共生派とか言う魔物たちは、人間に使われていたと言っていた。


 どこの国で使われていたのかわからないが、金華国だとしたら納得できる。


 見張りをしていた魔物やあの魔族はどうなんだろう。


 共生派と敵対していたことは間違いないだろうが、人間の国と手を組みそうな魔族には見えなかった。


 でも、キャリーは魔法水晶であの魔族と話していた。


 ……本当に上手い嘘だ。どこまでが真実でどこからが捏造なのかわかりにくい。


 これを書いた奴は全てを知っていたってことにならないか。


 ギルドに調査を依頼したってことは、ギルドも関わってるのか?


 政治には関わらないと言っていたのに。




「わからないことが増えただけだな」


『そうでしょうか? 私はだいたい理解できましたよ。これまでの事実と、この国の流れから何が目的なのかははっきりしたと思います』


「何?」


『一番の目的は女王様をその座から引きずり下ろすことでしょう。私たちはその道具として利用されたに過ぎませんね』


「どうしてそう結論づけられる」


『彰、よく考えてください。私たちを殺したところで一体誰が何の得をするというのです』


「殺そうとしたのはキャリーだろ。裏切られたと思って殺そうとしたんじゃないのか? 損得は関係ないだろ」


『そもそもその認識が間違っています。結論から逆算してください。この国の制度を考えると、女王様には絶対的権力が与えられています。それを揺るがすには、国民の感情を利用するしかありません。そして、それをもっとも効果的に利用するには女王様が失策を重ねることにあります』


「複合戦略魔法の使用が間違いだったと、広く知らせるってことか」


『そうです。あの威力の魔法を使える女王様が間違いで魔法を使ったというのは、謝って許されるレベルではありません。信用しているからこそ、国民はあの魔法が使える女王様を支持しているのです』


「俺たちが利用されたってのはどういうことだ?」


『もちろん、彰が女王様に気に入られていたからその感情が利用されたんですよ。あの理性的な女王様は複合戦略魔法の使用に常に慎重でした。使わせるためにいくつか作戦を考えていたようですが、彰の存在がこのことを企てた者たちにとって都合が良かったのでしょう』


「作戦って、どういうことだ?」


『クリームヒルトの町に魔物がいたことも無関係ではないでしょう。あるいは、当初の目的では魔物に支配されたクリームヒルトを救うために使うべきだという話しになっていたのかも知れませんね』


「あの魔族は嘘をついていたのか? キャリーと普通に話をしていたし、人間だと思っていたようだが」


『わからないことが二つだけあります。それはあの魔族の目的と、金華国の目的です』


「一番重要そうなところはわからないんだな」


『仕方ありません。それらの情報は不足しています。国内で起こっている問題についての情報しか私たちは得られていないのです』


「だったら、貴族たちが俺たちに賞金をかけてまで追っているのは? 一番の目的がキャリーのことなら、俺たちを殺す必要はないだろ。印象操作は順調そうだぜ」


『……考えられるのは、女王様と私たちの接触を防ぐため、でしょうか』


「……キャリーはまだ捕まっていないのか?」


『恐らくは。そして逃れているのなら、スパイ疑惑をかけられた彰と関わろうとはしてこないでしょう。必然的に女王様は孤立する』


「誰がこんなことを考えたんだ?」


『……その判断は、まだ難しいですね。貴族の誰が敵なのか。あるいは、全員かも知れません。それに、宰相のクラースも関わっているようですし』




 クラースは俺の印象だと、そう簡単に騙されるような人間には見えなかったけど。


 それはキャリーも同じか。




『彰、何人かの魔道士が王都を巡回し始めたようです。ここに留まっていると接触することになります』




 巡回? パトロールか。時間も遅くなってきたからな。


 何のためなのかは聞くまでもない。今は一応戦争中で、おまけにお尋ね者の冒険者と女王が逃げ回っているからだろうな。


 これ以上ここで突っ立っていても仕方ないか。




「一度ここから離れた方がよさそうだ」


「アキラ、だったら私は別宅へ戻りたいわ」


「別宅? どうして?」


「お母さんの怪我は治ってると思うけど、私にスパイ疑惑がかかっているからお母さんたちも無事じゃないかも知れない」




 それもそうか。


 だが、正直俺はギルドに向かいたい。


 この王都で信用できる人間はギルド本部の代表者、ジェシカぐらいしか思い浮かばない。


 それに、ギルドの調査についても聞いておきたいし。




「……ヨミ、エリーネと一緒に行ってくれ」


「アキラは? 一緒に行かないのですか?」




 ヨミは少し困り顔で言った。




「俺はギルドへ行こうと思う。どうやら魔道士が王都をパトロールし始めたらしい。これ以上固まって行動するのは目立つだろう」


「でしたら、私は」


「エヴァンスじゃちょっと頼りない。ヨミならエリーネを安心して任せられる。いざとなったらさっきの魔法で姿を消せ」


「……それじゃ、僕は馬車を借りておくよ」




 俺の辛らつな評価にも、エヴァンスは抗議することなく淡々とそう言った。




「出来るのか?」


「まあ、正式に書類は用意できないけど。金貨を何枚か置いていく」




 それってつまり、馬車を強奪すると言わないか。




「後でちゃんと返すつもりだし、ただで奪うわけじゃないから」




 倫理的にはアウトのような気もするが、そうも言っていられる状況じゃないか。


 時間が惜しい。キャリーが王都にいないのなら捜さなければならないし、どこにいるのかまずは情報も必要だ。




「よし、用事が片づいたら一度ここに集合しよう。警戒している連中に気をつけろよ」


「ええ。わかったわ」「はい」「僕はそんな連中には捕まらない」




 それぞれが答えると、俺たちは行動を開始した。


 俺が向かうのはギルド本部。


 もちろん、こんな夜に開いているわけはない。鍵がかかっているかも。


 ただ、ジェシカはいるだろう。


 こんな夜中に騒がしくしたくないから起きていてくれると助かるんだが。




『彰、前方左前の通路から三人の魔道士が歩いてきます』




 AIのセンサーは足音や人間の熱、そして今では魔力も捕捉する対象になっていたので、パトロールの裏をくぐり抜けるのに苦労はしなかった。


 俺はその魔道士たちを建物の影に隠れてやり過ごす。


 チラリと姿を確認すると、その三人組は王国騎士団の紋章を付けた魔道士たちだった。


 そういえば、キャリーが地位を剥奪されたってことは、騎士団を動かしてるのは誰なんだろう。


 そいつが黒幕ってことはないのか。


 いや、今は目の前のことに集中しよう。


 それから数回同じように王国騎士団の魔道士をやり過ごした。




『妙ですね』


「は?」


『王国騎士団は騎士たちがいたのに、町をパトロールしているのは魔道士ばかりです』




 そう言われてみればそうだな。


 俺が唯一知っている王国騎士団は獅子の団の三番隊、隊長。ディレックだけだ。


 あいつとなら話をしてもいいとは思うが、そもそも騎士たちを見かけない。


 これじゃ王国魔道士団だ。




『こういう仕事はむしろ、魔道士には向いていないはずです。まあ、私としては索敵が楽でやり過ごすのも簡単なので助かりますが』




 その言葉通り、俺は一度もパトロールしていた魔道士たちに遭遇することなくギルド本部へ辿り着いた。


 扉のノブを捻るが、開かなかった。


 当然、鍵はかかってるよな。


 さて、どうするか。




「この鍵ってお前に開けられないか?」




 写真をトレースして俺の手を使って絵を掛けるくらいだ。




 ピッキングも出来るだろう。俺の世界のような複雑な鍵じゃないし。




『少し待ってください。構造を確認して――』


「ここを張っていて正解でした」




 突然現れた気配に、俺は振り返った。


 そこには王国騎士団の魔道士たちと、中心には会議で見かけた貴族がいた。


 白髪交じりの黒髪に、小太りな体型。


 身なりの整った衣服だけが威厳を示しているようだった。




『そんな、まさかまた私のセンサーをくぐり抜けたというのですか』




 ショックを受けていたAIの言葉には耳を貸す暇はない。




「随分と豪華なお出迎えだな? それで、俺に何の用だ?」


「決まってるじゃありませんか。あなたは我がアイレーリスを混乱に陥れたスパイなのですから」


「我がアイレーリスね。まだキャリーを女王だと認めているってことか?」


「フフフッ……正式にはキャロライン女王陛下はまだその座から降りたわけではありませんからね。捕まえて裁かなければならないのですよ。諸外国にもその事実を知らしめるためにも」


「お前が黒幕ってことか?」


「さあ、何のことでしょう。私はただ、事実をありのままに国民に伝え、国民の声を女王様に届けた一伯爵にすぎませんから」


「じゃあ別の質問をしよう。金華国がクリームヒルトを襲ったのは事実なのか?」


「おやおや。あなた方はその目でクリームヒルトを見たのではありませんか?」


「金華国軍なんか一人もいなかった。あの町には魔物しかいなかったぜ」


「それが、金華国軍だったのですよ。あの国は魔族と手を組んでいます」


「それが事実だと言える証拠は?」


「あなた自身が見たのではありませんか?」




 確かに見た。だが、俺が見たのは人を殺すような魔物じゃなかった。あいつらが金華国軍だとは思えない。


 ただ、あの魔族は違った。あいつは人を玩具のように扱う目をしていた。


 あの魔族とあの魔族が連れてきた魔物たちこそが、金華国軍だったのか?


 見張りの魔物たちも同一だったと考えるなら、裏は取れたと考えていいか。




「だったら、なぜ金華国軍と戦わない。こんなところで権力争いをしている場合じゃないだろ」


「金華国軍は食い止めていますよ。私の部隊が。クリームヒルトが綺麗さっぱりなくなったお陰でとても戦いやすくなりましたし。ただ、だからといってキャロライン女王陛下の罪を放置しておくことは出来ないでしょう」


「キャリーの罪? 金華国軍が連れてきた魔物を殺しただけだろ。それのどこが罪なんだ」




 言っていて心苦しくなった。


 キャリーが殺した魔物は人間に敵対していた魔物ではなかった。


 知らなかったとはいえ、罪のない魔物を殺してしまったことは事実だった。


 だが、それはこいつらに罪人扱いされるようなことではないはずだ。


 この世界のルールでは魔物は人間にとって害のある存在とされているんだから。


 キャリーのしたことを批難できるのは、ヨミのように人と仲良くしたいと思っている魔物だけだ。




「現場には人間の遺体の一部が残っていたんですよ。魔法水晶を通して私たちも女王様と一緒に確認しましたが、それはもう凄惨な現場でしたよ。片腕や片足だけ、頭だけや胴体だけの死体がそこら中に散らばっていましたから」




 俺たちが魔法の後に見たのはクリスタルばかりが散らばった大地だけだった。




「それは、俺たちが見たものと違うな」


「さあ、どうしてでしょうね」


『合理的に考えれば、遺体を運び込んで偽装したのでしょうね。ですが、その場合一つの疑問が生まれます。遺体をどうやって手に入れたのか。金華国軍が攻めてきたことが事実なら、遺体はたくさんあったでしょう。ですが、私たちがクリームヒルトに着いたとき、そんなものはありませんでした。殺されてしまった共生派の魔物たちも見ていないと証言していた。と、いうことは?』




 残酷すぎるAIの問いかけをそのままこの貴族にぶつける気にはならなかった。




「さ、そろそろ頃合いです。あなた方にはここで死んでもらいましょう」


「できると思ってるのか?」


「出来ますよ。なぜなら、あなたは手も足も出せませんから」




 自信過剰な馬鹿だとは思えない。


 その言葉には確信があった。




「お父様、別宅の辺りをうろうろしていたスパイの仲間を捕まえてきましたわ」


「良くやりましたね。イザベラ」




 その場に二人の少女と、一組の男女が現れた。


 イザベラと呼ばれた少女がお父様と呼んだと言うことは、この貴族はフレードリヒだったのか。




「は、離してよ」


「お断りよ。エリーネ。あなたは今からスパイ容疑で殺されるのよ」


「私たちはスパイじゃないわ!」


「あのねぇ。スパイがスパイですというわけないでしょ。それを決めるのは私のお父様よ」




 イザベラがエリーネの手の辺りを掴んでいるが、エリーネの手が氷で包まれている。


 あれは、魔法か?


 よく見ると、ヨミも同じようにされている。


 どうして捕まったのか。ヨミを責める気にはならなかった。


 先に捕まったのがエリーネだったのなら、ヨミに反撃は出来ない。




「一応言っておきますが、あなたが動いたらエリーネお嬢様の腕が砕けますよ」




 フレードリヒが楽しいことでもしているような微笑みを浮かべた。




「え……そ、そんな……? ルーザスさん……嘘ですよね」




 エリーネはフレードリヒのことを名前で呼んだ。


 元貴族同士、というよりは個人的にクリームヒルトとフレードリヒは交流があったのだろう。


 町も隣同士だし。まあ、それ以上に因縁もありそうだが。


 名前を知っているのも当然か。




「なあにその目は? もしかして、助けてもらえるとでも思っているのかしら? やめてよ、私があなたのこと嫌いだったなんて言うまでもないでしょう?」


「本当に、そんな理由でこんなことをするの?」


「だって、スパイが相手じゃ容赦は出来ませんもの。それがにくったらしいクリームヒルトの娘なら躊躇う必要もありませんわ」


「……イザベラさんのことは、好きじゃなかったけど、同じ学校に通う魔道士として尊敬もしていたのよ」


「それがムカつくって言ってんのよ。年下のくせに私と同じクラスに上がりやがって。私を尊敬? それって私と自分は同格ですとでも言いたいの? 学校にいる人間は私に従属するべきなのよ」


「イザベラさん……」


「フンッ、ほらほらあんたのお仲間は強いんでしょ? どうやってあんたを助けてくれるのかしらね?」




 イザベラはエリーネを小馬鹿にするように顔を近づけて挑発していた。




「あなたがあの妙な格好に変身すると、ケルベロスですら敵わない存在になるという情報は得ていますが、果たしてそのままでもそれくらいの能力を持っているのか、見物ですね」




 ルーザスが俺に手を向ける。


 すると、囲んでいた魔道士たちも一斉に呪文を唱え始めた。


 ファイトギアに変身して助けられるか?




「アキラ! 私のことは気にしないでいいわ! 変身して戦って!」


「エリーネ!? ホントにたたき壊すわよ! あんたの魔法じゃ、まだ私の魔法は破れないんだからね!」


『彰、ファイトギアでエリーネさんとイザベラという少女に割り込むのはお勧めできません。力の制御が出来ずに、エリーネさんの腕を氷ごと破壊してしまう可能性が高い』


「じゃあ、どうしろって――」


「親も親なら子も子だな」


「きゃあ!」




 一瞬、全員の動きが止まった。


 そんな魔法を使える奴がいたのかと思うほどの間だったが、そうではない。


 事態の変化にみんなの思考が止まっただけだ。


 イザベラとエリーネの近くにいた魔道士が、俺に向けていた手を急にイザベラに向けた。


 そして、何か風のような魔法でイザベラだけ吹き飛ばされたんだ。


 見え覚えのない魔道士だった。長い黒髪が特徴的で、顔の下半分が布で覆われている。


 その魔道士の腕にエリーネが抱かれている。


 それを見て次に行動に出たのが、ヨミだった。


 ヨミは腕を覆っていた氷をたたき割った。


 あれじゃ腕ごと粉々になるだろと思ったが、腕は無事のように見えた。


 あるいは、腕ごと破壊して再生させたのかも知れないが。


 その事に気付く者はいない。


 それよりも、氷の拘束から解放されたことに驚いていた。


 そして、ここまで俺への注意が外れてくれたなら、もう俺を止める者はいない。




「誰だかよくわからないが、取り敢えず感謝する。変身!」




『起動コードを認証しました。ネムスギア、ファイトギアフォーム、展開します』




「しまった!? 撃て!!」




 ルーザスがそう言ったときには、俺の姿はそこにはなかった。




『チャージアタックツー、マルチプルトリック!』




 俺の移動速度が瞬間的に加速し、全ての敵の対象を捉える。


 相手の視点で見たら、俺が何人にも見えただろう。


 軽くジャブで殴りつけると、全員が同じ方向に吹き飛ばされてほとんど同時に折り重なるようにして倒れた。


 だが、一人だけ俺の拳を受けても微動だにしない者がいた。




「グフッ……さすがですね。ケルベロスを倒したというのもうなずけます。ですが、その程度では私は倒せませんよ」




 伯爵という階級を与えられたルーザスの実力は王国騎士団よりも上ってことか。




「アキラ殿! ここは引いてください!」


「その声は……」




 近衛隊の隊長、ファルナだ。どうしてそんな格好をしているのか、聞く余裕はない。




「逃がしません!」


「ブリンクスパークル!」




 追いかけようとしてきたルーザスの顔が光った。


 それは、ファルナが使った目くらまし用の魔法だった。いつの間に呪文を唱えていたのか。抜け目のない近衛隊隊長さんだ。


 俺たちは、走って円形広場に行くと、そこにはすでにエヴァンスが馬車を用意して待っていた。


 馬は二頭いる。


 エヴァンスが一頭の馬に乗っていて、ファルナはもう一頭に飛び乗った。


 俺たちが馬車に乗ったのを確認すると、二人で馬を操り走り出す。


 大通りを駆け抜ける馬車に、四方から魔法が飛んでくる。


 それを、ソードギアに変身した俺のマテリアルソードとヨミとエリーネの魔法で受け止めた。


 門には門番が構えていたが、ファルナは手綱を緩める気はないようだった。




「邪魔をするな!」




 ファルナがカツラと顔を覆う布を脱ぎ捨てると、門番たちはギョッとして道を開けた。

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