街の景色
この街には、なにもない。
心は冷えきったものを溶かすように、この街を駆ける。
風。ただ、走る。
光。
反対側。
生きようとする光。もう、見えない。
この街にないものを。そうやって生きてきた。ここからまた、違うものを。そうやって。
だが、終わりになって気付いたのは、何もないことだった。
何もない。
この街には、なにもない。
そして、自分にも。何もなかった。理由も。原因も。結果さえも。
ただ、なにもなかったように、陽光が。風が。流れる。こころには、なにも残らない。なにも。
この街にないものは、どこにもない。自分にとって、街は、街だった。
街の光。
駆ける風。
この街の景色を抱いて眠る。私は、ただ街を吹き抜け、消える。
だから、その瞬間を、すべて焼き付ける。
風を。
光を。
街の景色を。
私が生きていたのではない。街が生きていて、その中に、私がいただけ。
だが街は、私に優しく語りかける。
この街には、なにもない。風が吹き抜け。光が流れ。そのすべてが、あなたのもの。
あなたには、街は、どのようなものでしたか。
あなたの生き方に、街は、どれだけのものを与えることができましたか。
街は、優しく語りかけてくる。
この街には、なにもない。退屈でしたか。
私に、街の景色は
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