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ゴミ溜め場の暗殺者

完全に趣味で書いているものなので自信はありませんが、少しでも多くの人に楽しんでもらえば幸いです。

小説を書きたいなとは思っていましたが、実際に書いたのは初めてです。結構面白いですね笑

では、本編を楽しんでいってください。

西暦2444年、地球上の全ての国は「アメリカ」という一つの国に統一された。

もちろん、全ての国が合意の上ではない。「戦争」という手段によって統一されたのだ。では、何故こんなにもアメリカが他の国を武力で圧倒し、統一することができたのか?それは兵器や戦術ではない、常識では考えられないモノを持つていたからだ。それは何か?答えは「魔法」である。

映画やアニメ、マンガなどにはよく出てくるものだが、現実に魔法などというものが存在するならば、それはとてつもない武器となる。

理由は簡単、人1人で敵を万単位で殺すことだってできる代物であるからだ。更に付け加えると、アメリカが使う魔法には、「呪文を唱える」という手順がいらなかったのである。

まぁ、正確に言うのなら「呪文を唱えなければ魔法が発動できない」という考えはただの固定概念であったということだ。

そして、そんな技術を隠し持っていたアメリカが、他の国を圧倒するのに説明はいらないだろう。

さて、この物語はかつて「日本」だった場所に住んでいる殺し屋の話だ。少しでも皆様にお楽しみいただければ私も光栄である。




朝。今日も外ではアメリカの工場がいかにも大気を汚染しているであろう煙とそれに伴う騒音を出していた。

「ったく、相変わらずうるさいなアレは。もう俺の目覚まし時計、いつ頃から使ってないかもわからなくなっちまったじゃねーか…」

俺の生活は大体いつも変わらない。朝は6時30分に起きて、昼は散歩がてら街を歩く。そして夜は12時には寝る。一般的には健康的な生活だと自信をもって言えるね!

「ま、あのもくもくと煙を出している工場がある限りは健康なんて程遠いんだろうけど」

と、軽く笑いながら朝食を作るためにキッチンへ行った。



昼。朝食を済ませた俺は街にある商店街を歩いていた。

「おっ!ロートサン!今日は新鮮な魚や肉が入ってるぜ!安くしとくから見てってくれよ!」

「なるほど、アンタの店では一週間も前に仕入れた肉や魚が新鮮なのか。覚えておくよ」

俺がそういうと、店の店主は引きつった顔で笑いながら店の奥に入っていった。

この街ではよくある光景だ。16年前、日本がアメリカに負けてからこの国の住民のほとんどがスラム街の様な場所に住んでいる。そんな場所に「新鮮」なものなどあるわけが無い。

食料は一ヶ月に一回、アメリカ人が運んでくる「食べきれなかった食材」が主だ。

たまに勇気ある(命知らず)なヤツが、アメリカ人が住んでいる街まで不法に侵入して食料やら衣類やらを盗んでこようとするが、大半はそこの街の住民見つかり殺されている。なにせヤツらは一人ひとりが魔法を使えるのだから。

つまり、この街に住んでいる以上ほとんどの人間は贅沢なんて出来やしないということだ。

「今日も特に目新しいものはなかったか…」

あの後も他の店々に何度かからまれた俺は商店街を後にした。



部屋だけは広い家に帰った俺は暇つぶしに、知り合いが趣味で書いているというマンガを読んでいた。これが俺の1日の中で最高の時間と言っても過言ではない。

「相変わらずおもしれーな、あいつの書くマンガは」

マンガを読むことに夢中になっていたらいつの間にか12時前になっていた。続きが気になるが、生活習慣は大事! お休みの時間だ。

「…寝るか」

電気を消そうとしたその時

「よう!ロート!!お前が寝る準備をするであろう11時56分にこのバルバルトさんが仕事を持ってきてやったぜ!!俺のこの友を思う親切心に感謝し、むせび泣くがいい!!」

俺の家の扉を足で蹴破りながらバルバルトはそう言った。

ツッコミたいところは色々あるが

「とりあえずその壊した扉はお前が弁償してくれるんだよな?」



「で、今回の仕事は?」

睡眠妨害と扉を壊されたことでキレ気味な俺が仕事用の服に着替えながらバルバルトにそう聞いた。

「ん〜、今回は意外と楽そうな仕事なんだよね〜。なんか最近ウワサの違法魔導兵装あるじゃん?それを裏で作っている会社があるんだけど、そこの会社の社長サンをヤっちゃってほしいらしいよ〜」

魔導兵装。弱い魔法でもそいつを使えば人を殺せる程まで力を底上げしてくれるという優れものだ。他にも色々な効果を持つものがあるらしいが、一般的なのはやはり魔法火力の底上げ用のものだろう。

しかし、魔法が使えないにも魔法を使えるようにする魔導兵装がある。それが違法魔導兵装だ。

こいつが厄介なのは「使用者は制御することができない」というここと、「使用者が死ぬまで動き続ける」。更にタチが悪いものは「人工AIが備わっている」ということだ。何度かそれをつけたヤツと戦った事があるが殺しきるのには骨が折れる。

できればこの仕事はパスしたいものだが。

「はいこれ。その社長サンがいる場所の地図と顔写真ね。スマートに仕事を終わらせてこいってさ!」

そう言いながら手渡された封筒には「がんばってね、期待してるから♥ 〜あなたのM2より〜」と小さく書かれていた。

こいつ!俺が嫌がるのを知っててこの仕事を任せたな!!

「M2に言っとけ!魔法を使えない人間に魔法を使う人間と兵器が倒せるかよってな!」

「おいおい、ロート。お前も面白い冗談を言うようになったな。だがまだ甘い!俺からすればそのくらいのジョークは3歳の頃には言えたぜ?」

「なるほど!それなら今こんなにムカつく奴に成長したことも頷けるなこれは!」

といつものお約束であるくだらないやりとりを済ませたあと、仕事道具である2丁のハンドガンとナイフ、ワイヤーを装備した。

「じゃあ後は頼むぜ!俺は誰かに見られないうちに撤収するよっ!」

そう言ってバルバルトは窓から出ていった。

…いやお前そこは壊した扉から出てけよな。

まぁ、あいつがこの場所で見つかったら大事になるのは確かなんだが。なにせ金髪に碧眼の生粋のアメリカ人だからだ。俺の仕事仲間や上司であるM2はほとんどアメリカ人だ。

俺は窓から出ていったバルバルトが街の中を走っているのを見届けたあと、扉を壊された玄関で靴を履いた。

「さて、じゃあお仕事しますか」



地図で示されていた場所はアメリカ人が住む街の中にあった。

「知ってたけど」

すでに深夜の1時を回っていたが街にはまだ人がたくさんいた。どうやら祭りをやっているらしい。

「夜行性なのは結構だがはしゃぎすぎもよくねーよなぁ…」

祭りの熱気にあてられたのか、爆発系統の魔法を使いはしゃいでるヤツを横目に、目的地まで急いだ。



「バルバルトのやつ、何が簡単な仕事だ!適当なこと言いやがって!!」

と言ってしまうほど今回の仕事は難しかった。

なにせ、ターゲットがいる場所までたどり着くまではよかったのだが、その場所とは55階建てのビルであり、その1階1階毎にとてつもないほどの魔法と科学技術を使ったトラップが仕掛けられていた。

「事前に命が狙われるってわかってないとこんなに警戒しないだろフツー…」

どんだけ今回のターゲットさんは命を狙われるようなことしてたんだか。こんなに厳重にするってことは日々死と隣り合わせだったのか?俺ならそんな毎日過ごしてたらストレスで禿げるね。

「…そのストレスからも今日で俺が解放してやるよ」

俺はすでに目標のいる部屋の前にきていた。バルバルトの情報ではここが目標のいる部屋だ。

たしかにここに来るまでは苦労したが、あんなもので死ぬようなら今俺は生きていない。

「さて、どうやってこの中に入るか。フツーには入れないだろうし…」

目標の部屋の前でそんな事を悩んでいたその時

「その必要はない。あなたはここで死ぬ」

その言葉が聞こえた方向を見た瞬間俺の目の前は炎に包まれた。



「どうわぁぁあああああ!!!焼肉になっちまうぅぅううう!!!」

先程までどう入るか悩んでいた扉を突き破り消火するためしばらく転げ回った。…しかもこの部屋何も無い!バルバルトの奴め…適当なこと言っただけでなく適当な情報も流しやがったのか!!帰ったら1発ブン殴らないと気が済まないなこれは!!

「どうしてあの魔法を受けて生きてるの…?」

と不思議そうに呟きながら俺を丸焼きにしようとした張本人が部屋に入ってきた。フードをかぶっているせいで顔まではわからないが、女であることはわかる。今回の目標は小太りのアメリカ人の男である。おそらくこいつは雇われたボディーガードか何かだろう。

ようやく火が消えたよう俺は立ち上がりながら

「自慢じゃないが俺の服は魔法にはかなり強くてね」

自慢じゃないと言っておきながら俺はドヤ顔をする。

「そう。じゃあこっちであなたを殺す」

そういうと、女は刀を2本魔法で転送した。

「言っとくが俺は女だろうが手加減はしねーぜ」

こちらもハンドガンを2丁構える。

「そんなもじゃ私は殺せない」

その言葉が聞こえたのは俺の後ろだった。

「うおっ…!!」

間一髪で刀を躱す。いつの間に!?牽制として銃口を向けるがすでにいない。

「これで終わり」

その声もまた、背後で聞こえた。これは避けれないっ…!とっさに2本の刀をを使って受け止める。

「…っ!?」

ヤツが刀を受け止められたことに少し驚いたがすぐにもう一太刀いれようとした。俺はそれを躱して距離をとった。

それと同時に自分の後ろにも警戒したが、今度は回り込まれてはいなかったようだ。

「…なるほどな。初めからおかしいとは思っていたが、お前は瞬間移動の魔法が使えるのか。噂でしか聞いたことがなかったからこの目で見るのは初めてだよ。」

仕事柄、色々な魔法について学んできた。もちろん少しでも危険を減らすためだ。…学ぶといっても、どんな魔法があるのかを知っているだけで俺自身は使えない、「魔法を使うことができない」んだが。

女は何も答えないが、俺は続ける。

「お前が今俺の四角に回り込まないのは、やらないんじゃない。できないからだろ?瞬間移動の魔法は1度につき3回までしかつかえない。それもかなり限定的な範囲、つまりはこの部屋の範囲ってことだ。」

この部屋に何も無いのは、ここが俺のようにトラップをくぐり抜けてきた侵入者の処刑場だからだろう。処刑人は目の前の女。わかりやすくて結構なことだ。

「瞬間移動の魔法は、俺に魔法で不意打ちをしたのが1回目、残り2回はこの部屋で使った」

口角が上がるが気にしない。

「瞬間移動がつかえない。俺に魔法はきかない。お前のエモノは刀で俺は銃。どっちが有利かなんて小学生でもわかる状況だが、まだ続けるのか?」

今の日本に小学校なんてないから小学生もいないんだが。

「…」

無言で距離詰め寄ってくる。ま、だろうな。

迫ってくる敵に銃を構え、球を放った。しかしその球は標的には当たらず、その後ろの壁に当たる。

そう瞬間移動したのだ。

「これで3回目」

「知ってるよ」

俺はもう一方の銃を後ろに向けて放った。



「…っ!!」

女は俺に打ち抜かれた左脇腹を押さえながらその場に膝をついた。

「何故?って顔してるな。答えは簡単、俺が嘘をついたからだ」

そう。嘘。俺がついた嘘は『瞬間移動の魔法をすでに三回使ったと思い込んでいる』という嘘だ。始めの不意打ちはただ俺が油断していたわけだ。

「まぁ…最後にお前が俺の後ろに回り込むってのは賭けだったんだがな」

致命傷は避けるようにしたがそれでも放置すれば死ぬかもしれない傷だ。

「俺は暗殺対象以外は極力殺さない主義でね。勝負はついたし止血でもなんでもしな」

「…殺して」

「…俺のハナシ聞いてた?」

「私は人を殺すことしかできない。あなたを殺せなかった時点で、雇い主にとって私は用済みになった。」

「だから殺せと?」

目の前の女は無言でフードを脱いで俺の顔を見た。

…その目は暗く、沈んでいた。そういや、どっかのだれかも昔はこんな目をしてたっけな。

「ったく、仕方ねーな…」

俺はそういうと彼女の額に銃を突きつけた。目を閉じているが、明らかに恐怖しているのが見て取れる。

…なんだ、やっぱり生きていたいんじゃねーの。

俺が銃をおそろうとした時、腹部に鈍い痛みが走った。

「は?」

血がとめどなくその場所から流れ出る。

「よくやったぞ!!お前はいい働きをした!!後でお前には褒美をやろう!!」

そう言ったのは今回の目標であった会社の社長だった。

なるほど、魔法を使って攻撃するのではなく拳銃で俺を撃ったということは、どこかで俺の会話を聞いていたということか。油断していたどころか、盗聴にまで気づかなかったとは…。笑うしかないなこれは。

そう思いながら床に倒れた。

銃を構えた社長サンがニヤニヤしながら歩いてくる。

これは死ぬかも


「いやいや、まだお前は死なない、死なせないぜ?」


その声と同時に暗殺対象の首がゴキリという音を立てて折れた。



「いや〜悪いね!こんな囮役みたいなことやらせて!結構前からこの人の暗殺はしようとしてたんだけど、暗殺に送った人は皆そこにいるお嬢サンにやられちゃってね〜。誰かが足止めでもしてくれてないと安全に目標をヤれないってことになった訳さ!そんで足止め役がお前って事!でも勘違いしてもらっちゃ困る!!俺はお前なら殺されないと思ってたし、現に打ち負かしたジャン?つまり俺はお前の実力を見込んだ上で…」

と愉快そうに話しているバルバルトに傷の治療をしてもらっていた。魔法ってホント便利だな。

女の方も止血だけはしてある。

「…それでそこのお嬢サンの事なんだけど」

バルバルトが真面目な顔になる。

「ウチらとしてはそこのお嬢サンは危険分子だからできれば野放しにはできないワケなのよね。ウチの人間もヤられてるわけですし?」

「まぁ、そうだろうな。俺も正直危なかったしな」

俺とバルバルトの話が聞こえていたのか、恐怖で震えていた。

…察しが悪いわけではなさそうだ。

つまり、バルバルトが言っているのは「ここでこの女を殺す」ということだ。

けど俺は…

「まー、そこのお嬢サンについてはロートに任せるよ!今回の作戦で隠し事してたお詫びも兼ねてね。その方がお前にとってもいいデショ?」

…ったく、こいつはこういう時だけ察しがいいんだから。

「うるせーよ。余計なお世話だバカヤロー。助かる」

「どういたしまして」

互いに笑いあった。

俺達のやりとりを彼女は不安気に見ていた。



「ロート、もう昼。起きないと、健康的な生活じゃなくなっちゃうよ?」

「今は絶賛不健康生活推奨期間だからいいんだよ…。だから…あと5分…」

「それもう12回目」

あの日から俺の家には同居人ができた。

バルバルトには「好きにしろとはいったけど、まさか一緒に住むとは流石の俺も思わなかったな〜!」と笑っていた。

まぁ、お互い殺しあってたからな。そう言われるのもよくわかる。

なにせ初めの方なんて口すら聞いてもらえなかった時期あったし。

それでもなんとなく和解して平和にそれなりに仲良くやってられるんだから、わからないもんだ。

更によくよく見ればなかなかの美形で、歳も見た目17〜20くらいだったので、男として軽く喜んだのは誰にも言わないでおこう…。

「…いいかげんに起きないと魔法で電気ショックやるよ?」

「待てそれはやめろ!お前の電気ショックはシャレにならない!!」



「ロート、そろそろ決まった?」

「もちろんだ。この俺が一週間考え抜いたんだからきっと気に入るはずだぜ?」

そう。こいつは生まれてから人殺しの道具として使われていた。名前などなかったのだ。なら、誰かがつけてやらないと不憫じゃん?色々とさ。

「よく聞け!おまえの名前は今日から『フラン』だ!!どうだ。なかなかにいい名前だろ?」

と言いながらも俺は本人の顔をうかがう。

当たり前だろ!生まれてこの方、人の名前をつけるなんて初めての経験なんだから!…気に入ってもらえればいいんだが。

「…フラン。フラン。私の名前はフラン。ありがとう、ロート。すごく気に入った。」

どうやら俺の心配は杞憂だったらしい。

俺はフランの頭に手を乗せながらこう言った。

「それじゃ、これからよろしくなフラン」


読んでいただきありがとうございました。

どうでしたでしょうか?初めての作品なので、色々と文章や設定に荒があるのは読んでいる皆さんもわかると思います笑

最後まで読んでくれた方、よければ改善点などを指摘していただけるとありがたいです。

では、次の作品でお会いしましょう。

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