マンデウスVS剣聖
「今日も特に街に異常なしだな。」
今日も愉快に剣聖の努めを果たしている。
俺はこの国『イスカルタル』の最高峰の剣士。すなわち剣聖である。
防具は白と金を基盤とした軽装の鎧をきており。腰にはこの国一番の剣『イスカル』がかかっている。
俺はとくに事務仕事も組織もなく、街中を守ることが仕事だ。
組織を持たされていないのは、統括力がないという訳ではなく戦闘すれば周りを確実に巻き込んでしまう
というのが理由だ。多分。。
というわけで今日も愉快に街中探索だ。
剣聖である俺は街をあるけばそこら辺でタダ飯を始め沢山の物までくれるのである。
まぁ恐らく剣聖である俺が身につけた、食べたという理由がほしいんだろう。
その好意快くもらっておこう。まぁ国の王も俺のこうした活動は認めてくれているので。
国家公認のサボりなのだ。
「剣聖さん!!そいつ捕まえて!!ひったくりよ!!!!」
おっとこれはサボってもいられないようだ。
「君も運が悪いね。俺がいる前でひったくりしちゃうなんて。」
足に力を込める。すると物理的な力以外の何かまで足に纏わりつく。
周りが見たら恐らく足に蜃気楼が立ち込めているようにみえるだろう。
その力をバネに赤い鞄を持った大柄な男めがけて踏み込む。
地面が少し減っこみ。次の瞬間には男の前である。
「返してもらえるかな?」
あまり怖がられたくないので、ニッコリと微笑んだ。
「ひぃぃいいいい。。」
赤い鞄をその場に落として慌てふためきながら走り去っていった。
すると大きな歓声が街中から沸き起こり。街はお祭りモードだ。お酒を勧めてきたが一応仕事中なので控えておいた。
「ではこの鞄をご婦人。」
ご婦人は頬を赤く染めて喜んでくれた。
もぉこの場は去ろうと、貰った みたらし団子を食べながらその場を去ろうとしたその時。
薄い悲鳴のような声が歓声の中から聞こえてたきがした。
俺は剣聖である。当然耳もいいし聞き分けができる。間違うはずがないのだ。
悲鳴のあった方向へと駆けると、そこには先程悲鳴を上げた女性とその女性に力なく抱かれた男がいた。
「どうかしましたか?」
そう声をかけると女性はすっとある男を指指した。
偉く顔色の悪い男が微笑んでいる。
唇は紫色、目は黄色くギラついている。
「どうも。衛兵さん私はカルトリアから戦争を依頼された。マンデウスである。この国イスカルタルに戦争しにきました~」
「はぁあ、詳しい事情はほっといて。敵ってことかな?」
「おお話が早いですね。それとその団子はなんでしょうか。その見た目私の食指が動きますね。」
「みたらし団子と言うものですよ。本国の伝統ある菓子ですね。ですがこれは渡せませんねぇ。これを上げたら帰ってくれるっていうんならあげますが。」
「私はその団子の値段の何百倍もの金で依頼されたもので、引き下がれないですね~。この国が滅びればもう食べれないというのがすごく残念です。」
こいつは本当に一人で国に戦争しようと思ってるんだろうか。
そんなことできるのは俺位のものだろう。
見たところ魔道士だ。顔色が悪いのと唇が紫なのがその証拠だ。
魔力を使いすぎるとと血の巡りが悪くなり唇が紫色になってくるのどこがで聞いたことがる。
「まぁさせませんがね。」
その声を聞き相手も穏やかではないのに気づくとピリピリとした気迫を放つ。
「では。開戦しましょうか衛兵さん。」
と微笑みながら俺の前に血色の悪い右手を向け大きく手を開いた。
「ボルケ」
視界が真っ赤な煉獄に包まれ轟音が耳に響く。
大爆発だっただろう。周りの家々がバキバキと壊れる音が聞こえてきた。
「おやこれは。」
「いやはや行動が早いですね。それでボルケでこの火力と来た。怪物ですか?」
ボルケとはそもそも日常魔法のはずである。普通の人間が使えば木に炎を灯すくらいの小さな炎のはずだ。
剣聖の力がなければ、跡形もなくふっとばされていたはずだ。蜃気楼が周りを包み傷一つないが。
「なにを言っているのでしょう。あなたが怪物でしょうが。私の魔法を初見で傷ひとつなしとは。少々傷つきましたよ。」
今更だがこの男が本気で国を滅ぼしにきていることに気づいた。
剣聖の力をもってから他人の敵意に気づきにくいのが困りものだ。
ではこちらも本気でいこうか。
雲がどこからともなく現れた突風に吹かれ太陽を露わにさせる。
太陽の光が一点にただ一点に集中する。周りは少し暗くなりただひとつ俺を照らす。
周りの生命からエネルギーが集まり。敵意を示したこの男からはフンダンに力を奪い取る。
周りから視認出来ない程の分厚い空気の断層が体を纏い保護する。
周りに人はいない。この国の人々は危険を察知するとすぐに避難するように訓練されている。
存分に力を出しても平気だろう。ただ街の建物を壊すのはきが引ける。できるだけ制御しよう。
剣イスカルの柄に手をかけ、目の前のマンデウスに向けて抜刀した。
斬撃が爆発のように連鎖し。マンデウスを光の斬撃が包む。
圧縮された斬撃が音速になって目の前で爆発したのだ。
常人であれば、常人であれば・・?跡形もなく・・
「これはこれは、死にましたよ。」
「死んでないじゃないか。」
「威力は魔法で相殺したはずなんですが、それだけじゃないですね。身代わりの魔法が一つ死んだようです。」
「それだけじゃないですねって言われましてもね。ハッキリ言って俺にもチンプンカンプンなんですわ。まぁその身代わりの魔法ってのは数回しか使えないんじゃないのかな?」
「ご名答。ですが底はあっても底が見えないかもしれませんがね。」
「そっじゃあちょっと考えきます」
大きく踏み込み空に飛ぶ。大体300Mほどだろうかあたり一面が大きく見えだした。
街の人間がかなり遠くの方まで逃げているのが米粒の大きさでしっかり分かる。
「相手の生命は底なし沼。おまけに下級魔法で大爆発か。」
みたらし団子の最後の一つを食べながら対策を考えていると、刹那空気の塊が豪快にこちらに向けて猛スピードで駆けてくる。マンデウスの魔法だろう。
こんな分かりやすい攻撃と思い。 横にスッとずれると足に激痛が走る。
「あの野郎。」
一発目は交わさせるための攻撃恐らくどの方角に逃げても見えない攻撃魔法で仕留めるつもりだったのだろう。さてもう一弾が遅いかかってくるだろう。
被弾した足に血が滴りながら頭から急降下してゆく。
「あら落ちましたね。落ちたんですね。ふふふ。」
マンデウスは右手を銃のような形を取りこちらに向けてくる。それを俺はぼんやりと見ながらさっき食べたみたらし団子の餡蜜の甘い後味を堪能していた。アレくらったら流石にやばいんじゃないのかなとも思うがどうにも警戒するまでには至らない。
マンデウスの指先に空間の空気が全て圧縮されていく。空気が以上に圧縮さて行くことにより世界があそこだけ歪んで見えてくる。そしてマンデウスはこう言った。
「エアリガン」
その魔法の姿かたちは一切見える事なく。こちらに向かった来る。急降下していく俺へと確実に着弾の軌道だ。轟音が耳をつんざくのでポッケットから耳栓を取り出し次の策を考えるが遅い。
着弾まで後数センチの所で、見開いた。空気が極限まで濃縮された気団をまともに鼻から受ける。
あぁなんと心地いいことか。自らを囲っている熱い蜃気楼をすり抜けて隙間風が顔を撫でる。
その程度の感触だった。
剣聖の加護を最大限まで使った、右足はもうすでに完治の兆しを見せている。
マンデウスは勝ち誇ったような顔でこちらを見つめているが意識が飛ぶこともなくその顔をしっかりと
凝視していた。
もうすぐで頭が地面につく。しかし特に急ぐこともないゆっくりと顔をあげよう。
このまま地面に頭が衝突したらどんなに感触が頭を撫でるのだろうとか考えながら落ちていったが、
このまま地面に頭をつけても格好がつかないので、足下に空気の層を何十にも重ね空中に着地した。
「魔法にも沢山あるんだね。俺は嬉しいよ君みたいな優秀な魔法使いがいるなんて。」
「上から見下ろして不愉快ですね。」
マンデウスはエアリガンなる魔法に相当な自信があったようで安々と生きている俺に対して只ならぬ怒りを向けてこちらを睨みつけた。しかし血色の悪い紫色の唇は笑ったままである。
マンデウスがこちらに向けてまたしてもエアリガンをする構えをとる。
今度は三発こちらに打ってくるが、剣聖の纏う空気の重層はそれよりも厚く全て右や左に弾き飛ばした。
弾き飛ばされた空気弾が家々に散らばり跡形もなく吹き飛ばされた。
破片がマンデウスの顔にかかりマンデウスの怒りを誘ってくる。
剣聖の加護にたくさん種類があるが全ての運がこちらに固まっているのだろう。
世界の全ての理がマンデウスの怒りへと導かれている。
魔法を唱えるには、情緒を安定させなければならないと教えたれたことがあるが、その魔道士にのって
魔力を超える情緒の流れは毒となる。上級の魔法使いともなればどんな事があっても情緒を安定させる
ための訓練を沢山受ける。が、剣聖の前ではそんなものそもそも通用しない。
マンデウスの一番のこだわりは魔力にあるのだ、その魔力最大に込めたエアリガンをことごとく無傷で帰ってくる剣聖の姿は怒りの対象にしかならないだろう。後数発マンデウスの全力ではなった魔法をまともに食らったら魔法どころではなくなる。
「昨日戦った魔法使いのほうが百倍マシだなこれ。」
勿論嘘である。
「私は世界の中でも5本指にはいる魔法傭兵ですよ?」
頭に青筋を立てているがまだ浅い。
「ほら、あそこの山だいぶ削れてるだろ?あれ昨日の魔法使いが壊した山だよ?君にできるかなぁ~無理だろうな。。」
勿論嘘である。昨日俺がストレス発散にぶち壊した山である。
マンデウスが何かを唱えるよう俯き。
瞬間こちらをカッと凝視した。
地面が何の音も前兆もなくパカと開き視界が真っ暗になる。
俺の真下だけ穴を開け落としたのだ。上を見上げるとマンデウスが遠くで落ちていく俺を見て
ニヤニヤとしていた。
俺をふさぎ込むかのようにだんだんと地面が閉ざされて行く、その地面と地面の両脇を足で踏ん張り閉ざそうとする力に対抗した。マンデウスとの力比べの余興もここまでにし壁全体を空気の層で多い、
軽く空気の層を足蹴りにし地上に舞い戻った。
「俺が何を纏ってるのかわからないのかな。空気が何十にも重ねれる俺にとって全ての空間が地面みたいなもんだ。すなわち俺が何かに落とされる事はない。君の魔法の底も尽きてきたかな??」
そんな挑発をしていると足元でシーという何かが焼かれるような音がした。
パッとみやると。ダイナマイト。
俺の足元で大爆発を起こした。
「くっさいなぁ。爆薬の匂い俺嫌いなんだよね。」
傷ひとつない状態でマンデウスの目の前に堂々と立つ。体からは爆薬の煙が立ち込めるが外傷があるのは地面だけだ。
「マンデウス君 きみ魔法使いなのにダイナマイトなんて使うんだ。等々自分の魔法に自身が持てなかったのかな。」
マンデウスは俺の目の前で物音一つ立てようとしなし。
そろそろ潮時だ。
マンデウスの貧弱そうな顔面に。裏拳を一発ぶちかました。
閃光のようなその速さと城門潰し並の威力に快感な音が街に響く
がマンデウスはその場からは動かなかった。まだ精神を統一しているらしい。
普通なら死ぬ威力だがまだマンデウス曰く身代わりの魔法が発動しているのだろう。
しかしマンデウスも限界らしく鼻血がツーっとたれている。
「魔法使いには二種類います。」
そんな事を今更問いかけてきた。
「自分には倒せないと分かった相手を目にすれば逃げる魔法使いと自分には倒せないと分かった相手を目にすれば自分の命を燃やし尽くしてでも殺しにいく魔法使いです。」
ふむふむ。と腕組ながらきいてやる。
「私は勿論後者です。」
瞬間尋常ではない魔力がマンデウスの心臓に集まっていく。
目からは血が涙のように溢れだし。頭からは血が吹き出した。
「このパターンは、、、」
命を燃やし尽くしてでも、ってかんしだ。街一個吹っ飛んでも良いレベルの自爆魔法でもするつもりなんだ。
ガバっとマンデウスの体を持ち上げる、地面にクレーターを作り瞬時に雲の上に飛び上がる。
マンデウスの体が大気圏を突入してもなお、発熱しており70℃を有に超えている。
持つ手が段々暑くなり、マンデウスの右手を持ちぐるぐると遠心力を加え投げ飛ばそうとしたその時だった。目の間でギュっとマンデウスの顔が収縮したと思ったら一気に膨張した。
「おいおい。これおれ大丈夫かよ世界よ俺のこと愛してくれよ。」
この日イスカルタルには2つの太陽が瞬間的にできた。
その後は黒焦げに鳴った俺が落ちてきたそうだが命に別状はなく、焦げた匂いが街に蔓延したくらいのことだ。
後に騎士団どもにマンデウスの名前を上げるとひどく驚きの声を上げ歓声を沸き上げた。
マンデウス世界の魔法協会随意一をほこる最悪ギルド、魔境会のメンバーで五本指に当たるそうだ。
それを倒してしまった。イスカルタルは恐らく今後魔境会の標的にされるそうだが
今はそんなことを気にせず。街の人々騎士王族皆この功績を祝い。食って飲んで踊ってどんちゃん騒ぎしたそうな。