助けられた人からみた剣聖
金髪の男が剣を振るった。当然の如く衝撃刃が飛び出し。
強靭なクリーチャーが真っ二つになり血しぶきが吹き出した。
「助けに来たよ」
今まさにクリーチャーの群れに襲われもう後0.1遅ければ私は死んでいただろう。
そんな中光が唐突に差し込むようにその男が現れた。
クリーチャー バットウルフ 狡猾な頭脳を持っており人々に恐れられている。群れをなしており街はずれの山道などで現れるクリーチャーだ。 バットウルフは頭を筆頭に動く群れであり一つの獲物を決めると死ぬまで追ってくる狙われたら最後と言われれいるクリーチャーだ。そんなクリーチャーに狙われ和子は子供を庇いながら逃げていたのだ。そん中光が唐突に救いの手を出してくれたのである。
和子から20Mも離れているのにも関わらず、金髪の男がその場で剣を降り出した時にはその男の頭を疑いかけたが、凄まじい光がバットウルフの胴体を切り裂き倒れた時にはその男がただならぬ神聖なものに違いないと理解した。
「女の子を集団で襲うとは優雅ではない状況だね。」ー
狡猾なバットウルフが仲間の死を目撃し金髪の男に警戒態勢を取っている。
突如として男が地面を踏み込みバットウルフの群れに飛んで入る。踏み込んだ地面は小さなクレーターのようなものができており衝撃の余波が風になって伝わる。
和子から20M地点だ。その距離にいた男の姿が目の前に現れ。
「お怪我はないかい?」えらく落ち着いた表情でそう言った。まるでお茶している時の表情じゃないかと和子は思ったほどだ。その表情をみて和子は助かったんだとバットウルフに囲われながらも緊張が溶ける。
「助けに来ていただいてありがとうございます。。それであなたは?」
「僕ですか。僕はクーデリア・ギルデ・クラウン 只の剣聖さ。クラウンと呼べばいい。」
「剣聖、、、!!」
その言葉を聞き和子は納得した。
この男の前で先程から物理法則が成り立っていない。斬撃を飛ばし、踏み込みで20Mを駆けてくる。そしてこの安心感はきっと神聖なる何かなのだろう。この男と喋っているだけで陽だまりの中にいる気持ちになる。
「驚くことじゃない。」
バットウルフがシビレを切らせ剣聖に襲いかかる。
ウルフの右の鉤爪が剣聖に当たると同時に爪が炸裂した。
風船が弾けるようなそんな安っぽい音がした。バットウルフが更に警戒をして後ろに後退する。
「ごめんね。君達の攻撃はどうやら僕には当たらないらしい。」
自分の事のはずなのに他人事のように言い放つ。
剣聖がそこらに落ちている木の枝を拾い上げ、バットウルフの群れに向け一閃させる。
瞬間鋭い風吹き落ち葉が舞い上がる。雲が真っ二つに割れ光が差込み剣聖を照らす。その姿は絵本で見た剣聖そのものである。空間と空間との隙間風が冷たく吹き上げた。木の枝が伝説な剣並の代物にも見えてくる。いや恐らく剣聖に触れられたものは全てが特別なものになるのだろう。心なしか木の枝は活き活きとし空間が全て剣聖に味方した。
バットウルフは先程から時が止まったように静止している。グルルと唸っていたものも押し黙り。その目には生気などなく死の匂いが立ち込めている。
「行こうか。家はどこだい僕の足ならきっと馬車なんかよりも早いよ」
「あの、バットウルフは?」
「あぁもう切っているよ、ただ倒れていないだけでお腹は切れている。あまり血を見るのはすきじゃないんだ。」ニコリと笑いかけ手を延ばす。
それを聞いて和子は呆れたように手を伸ばす。その手はとても柔らかくバットウルフを倒した本人とは思えない手でだった。
理由が理由だ、血を見たくないだけでそんな神業をなす、剣聖はやはり何処か人間離れしているのだろう、驚く事じゃない。そう言えるのはきっと彼だけなのだと和子は思ったのだった。