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エッセイ

小説の「中身」

作者: 雪乃

 ある小説に対し『中身がない』という批判がされているのを見たことがあります。

 別にその批判に対して何かを言いたいわけではないのですが、そこでふと、では中身ってなんだろう? と思いました。

 そこで色々と考えてみたので、小説の『中身』について書いてみたいと思います。


 なお、予め書いておきますが、小説の中身とは作者が伝えたいこと、いわゆる「メッセージ性」であるという意見は考慮に入れません。

 ここ「小説家になろう」で書かれる作品の主流は純文学ではなくライトノベルです。娯楽のための作品にメッセージ性を求めるのはお門違いであると判断しました。





 小説は何によって構成されているのか?

 まあ色々とあるとは思いますが……ここではざっくりと、


・ストーリー

・キャラ

・文章


 の3点であるとしたいと思います。

 ですが、キャラとストーリーはほとんど同一であり不可分です。キャラが変わればストーリーも変わります。なので、ストーリーのキャラを合わせて「構成」という名称にしたいと思います。

 つまり小説は、


・構成(ストーリー+キャラ)

・文章


 の2点に分けられるとします。



 小説の中身とは何なのか?

 先ほど挙げた2つの要素、構成と文章。どちらが中身にふさわしいのかといえば、構成なのではないでしょうか。

 では、『中身がある』と評される構成とはどのようなものなのか。


・キャラについて

人間味がある、魅力的である、立場がはっきりとしている、感情豊か


・ストーリーについて

起承転結がはっきりとしている、変化に富む、共感性がある


 こんなところでしょうか。

 つまり、キャラが立っていて起伏に富んだストーリーであれば、それは中身のある作品だと言えるのでしょうか。

 キャラに関して言えば作者の実力に大きく左右されますが、ストーリーはジャンルによる影響を大きく受けます。

 では、ジャンルによって中身のあるなしは左右されるのでしょうか?

 波乱万丈な物語ならば中身があり、ほのぼのとした日常を描いたものには中身がないのでしょうか?

 そんなことはあり得ません。


 では、小説の『中身』って何なんでしょうか?

 構成にも文章にも中身はないのだとしたら、小説の中身ってどこにあるんでしょうか?


 おそらく、これを聞いても明確な返答を返せる人の方が少ないと思います。

 結局、『中身がない』と批判する人も、中身が何かなんて分かっていないのではないでしょう。


 ここから先は私見になります。


 私たちが小説の中身と言っているのはおそらく、その作品を読んで感じたもの、ということだと思います。要するに感想です。

 感動した、楽しかった、面白かった。そういったものはもちろん、それ以外にもどこか読者の琴線に触れたり、じーんとしたものを感じさせることができれば中身のあると感じてもらえるのではないでしょうか。



 さて、私は書き手ですので、「中身がない」といった類の感想を抱く読者に対して言いたいことがあるわけではありません。まあ堂々とそんな批判をするのを見て「なんだかなー」と思うことはありますが……。

 前置きはここまでとして、本題に入りたいと思います。

 それは、『読者に「中身があるな」と思ってもらえるような作品を書くにはどうしたらよいのか』ということです。書き手なので、私。

 どうせならただ面白いだけでなく、何かを感じてもらえる作品にしたいじゃないですか。


 ではそのために必要なものは何なのか。

 私は、それは共感性だと考えます。


 共感性、つまり読者を感情的に納得させる必要があるのです。

 そして、読者の共感を引き出すために必要のは以下の3点です。


・キャラの行動の理由

・心情の描写

・感情移入を引き出す表現


 そして、これらを裏打ちするのは作者の文章力です。

 ストーリー展開だけでは、どんな魅力的なプロットが組まれていたとしても読者の共感を引き出すことはできません。読者を心理的に納得させ、心情の把握を簡単にし、キャラへの感情移入を引き出す。それを為すだけのハイレベルな文章を書く必要があります。


 つまり、『中身がある』と思わせるためには、構成よりもむしろ文章に着目する必要があるのです。


 シェイクスピアという名前を聞いたことがない人はいないでしょう。歴史に名を残す偉大な文学者です。

 彼の作品は、私も原作を読んだことがあるわけではありませんが、ストーリーだけ・・に着目すれば強引とも言える展開が多々あります。いわゆる御都合主義というやつです。

 それでも、彼の作品は現代にまでその名を轟かす不朽の名作となっています。

 それは何故か。

 当時の大衆にウケる展開だった……それも間違いではないでしょう。ですが、それだけの作家ならば他にもいたはずです。

 やはり、それを裏打ちするだけの文章力があったからではないでしょうか。

 無数の新しい表現を作り出した、という逸話からもこのことが分かると思います。



 結論としては、


 中身があると思わせるために重要なのはストーリーよりも文章力である


 ということです。

 ストーリーを魅せるのなら、マンガやアニメでもいいのです。

 プロだろうがアマだろうが、私たちは『小説家』なのですから、文章にも目を向けてみてはどうでしょうか。

私の意見を言うというよりも他の作者の方の意見が聞きたくて書いたものです。

意見、反論、批判等お待ちしています。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 言われた側の気持ち的には「なぜ中身がないと言われるのか」と思い詰めるもので。その答えとしては最適だと思いました。 [気になる点] 文章力とは何か、と言う話にはなりそうですね、キリがないんで…
[一言] お返事ありがとうございます。 まさかお返事を頂けるとはおもわず、強い口調で書いてしまいました。ついでにもう少し詳しく書いたアンサーポエムを投稿したので、よろしければどうぞ。コメントは強い批判…
[一言] ライトノベルにメッセージ性が不要だとは傲慢な主張だな。よい話には中身があり、そこには必ずと言っていいほどメッセージ性がある。メッセージ性は必ずしも明確なメッセージとして表現されているとは限ら…
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