改革・日満中和平…
うーん、サブタイトルが思いつきません…(泣)
この日ある高級料亭にて十数人、政界や経済界の重鎮、海軍の幹部や関係者(ほんの数人の陸軍の者もいる)等のそれぞれの顔ぶれが集まっていた。
「なるほどなぁ…山本君から聞いたがどんでもない話だ」
「……さん、敵の謀略とかは考えられませんか」
「いや、この資料は理に適っている。信用するに足るものだ」
久我博士が提出したマル秘スタンプを押した分厚い資料を手にとってパラパラとめくる。
「これが事実とすれば、このままでは日本は滅びの道を辿ることになる」
他の一同達も頷く。
「やはり日本全体を大まかな改造をしないといけませんなぁ…」
腕を組み、うーんと唸る。口で言うのは簡単だが実行になるとそうは簡単にいかない。
「強硬派連中の反対が予想されますな」
その通りと皆頷く。
「死ぬ気でやらないと日本を救えない。いや、やらなければならんのだ」
一人の男が立ち上がり熱く語るが皆は苦笑するしかなかった。言われなくても皆はわかっているのだ。
「幸いなこと資源は久我博士から提供してくれたおかげで日本の経済は立ち直りつづある」
久我博士から資源を安値で提供してくれたのが大きかった。経済効率も良くなり、優れた品質の製品や日用品等を安価で生産できる体制を確立できた。
「久我博士が提唱する日本国の改革案は一理ある。実施せねば我が国の発展はない」
「そうですな、これさえあれば資源を求めて領土拡張する必要はない」
「しかし日本は無資源国だ、資源はどこから出るのか問題なってくる。このままでは他国に悟られる危険がある。」
「うむ、他国に悟られないように秘密裏に進める必要ある」
「なーに、石油やゴム等の資源は南方にある。英国や蘭国などに取引して得ればいい」
南方地域は石油、ゴム、錫、ボーキサイト、ニッケル、クロム等の資源が豊富にあり、フィリピンを除いて統治してる国は英国と蘭国である。その国と取引や交渉等にすれば良いと考えていた。
「なるほど、それはいいですな。この線でいきましょう。満州国と朝鮮はどうしましょうか」
「満州国は蒋介石と交渉しよう」
「いいんですか。満州国を蒋介石に任せては……」
「構わん、中国共産党よりマシだ。蒋介石の方が信用に足る」
中国共産党の後ろ盾はソ連に関わっており信用できるものではない。ソ連の侵攻に阻止できるなら英米等に満州国への資本参入を認めてもいい。
「なるほど、すぐとは行きませんが様子を見ながら手を引く方針でいきますか」
「その方がいいだろう。機会を見て撤退する。その後は物資や武器を提供するだけでいいだろう。」
国民党の蒋介石と手を結んだ方が国益が繋がると考えたようだ。
「朝鮮はどうしましょうか」
「難しいな。あの朝鮮と関わっては日本の発展の足を引っ張る可能性が高い。民度の教養を高めないと無理だ」
朝鮮人は昔から「恩を仇で返す」民賊としても知られている。何度も裏切るようでは信用することはできない。できればかかわりたくないのが本音だ。
しかし朝鮮半島は日本の脇腹に突きつけられた短刀であるという言葉がある。無視していい状態ではない。やはり、一から教育せねば日本の安泰はできないだろう。皆は理解したのか頷く。
「それも蒋介石と相談してガイドラインを引いた方が良いかも知れませんな」
南北分断…いや、日本は元々朝鮮半島を支配や統治する気もなかった。済州島あたり領地すれば十分だ。
「うむ…。まずは満州国の問題を片付いてからだな」
「わかりました。その方針で行きましょう」
詳細を含めて酒を飲みながら語り合い、夜も更けていった。
政府機関に総合企画部という新たな部門に設立することに発表した。
久我博士が提唱する日本国内を産業や学問、社会など発展を貢献するための部門であり、農地改革、学制改革、税制改革、産業育成、公害対策などをまとめ上げた。
農地改革は、不在地主を認めず、このため地主が保持できない農地を売却する場合は政府へ売却すること。政府が買い上げた農地はこれまでの小作農家に安く譲り渡す。小作農家が農地購入の資金が無い場合、低金利で小作農家に融資できる農業振興会を設立する。四町歩(3.967ヘクタール)に超える農地の税負担を重くする。
農家が生産した米を政府が適正価格で買い上げ、消費者に適正価格で販売する。自然災害による損失を補填や保証等する農業災害補償制度を設ける。
これまでは豊作のときは商社によって安くたたかれ、自然災害による不作のときは自分が食べる米もなく、娘を身売りして飢えをしのぐ家庭は少なくない。そのための補償制度だ。
学制制度は、従来の学制を廃止して、3~6才未満の幼児教育の無償化、アメリカと同様に六-三-三-四制度に改定(義務教育は六-三制まで)。全国都道府県に総合大学に設置する。家庭の事情で進学できない子供のために就学援助制度や奨学金制度を充実させる。
税制改革は、累進課税を基本とする。未払いや脱税した者は罰金三倍として課する。
この案は抜け道を使って脱税する者が多く後が経たない。それを防ぐために、税務署管罰則を設ける。発覚した者は財産差押えや罰金を課される。
産業育成は、売却した農地を生産工場などの産業を建設、そして多様な経験を積むために専門学校を設立、人材を育てる。
鉄道、道路などインフラの整備、造船所や産業などの人材を教養や育成を力を入れる。
公害対策は、工場から排出する有害物質を川に流したり公害スモッグなど有害な物質を排出しないように配慮する。違反した工場・産業等は罰金と禁固刑に課せられる。
この案は自然や地域に住む人々達の健康を守るための制度である。
など、詳細は省くが人身売買禁止を含めておおまかな案をまとめ上げ、政府から通常国会に提出した。
理解のある政治家や関係者達はうーん、と悩ませる者が少なくなかった。なかには権益を守ろうとする派閥や強硬派、理解しようとしない連中の反対論で大いにもめた。
五・一五事件後の犬養内閣の後を継いだ斉藤実総理は大臣は日本が真の一等国になるかならないかの瀬戸際だとして、農地改革や学制改革、税制改革などのいくつかの法案を強行に採択した。反対派も抵抗したが天皇陛下の鶴の一声で鳴りを潜め事なきを得た。
後日談になるが、法定案発行後の数年が経過した頃に日本経済は大きく変貌した。全国あらゆる道路や線路などの交通等の拡大。あらゆる商工や商業、産業等の建設が増えて次第に経済がうなぎのぼり、投資や雇用制度も充実させていった。そして多くの企業の乱立に見られたが年月に経つにつれ、実力もなく力のない企業は自然淘汰にされ、しっかりした企業や技術力のある会社は生き残るようになって行った。
学制改革は最初の頃は多少混乱はあったが時間が経つと次第に慣れていき、学生の学習意欲と学力向上が大きく見られた。高校進学希望者が8割以上に達し、優秀な学生は奨学生として高校または専門高校3年間授業料を免除する。または家庭の事情で進学できない学生は就学援助制度や奨学金制度を利用して進学する子も少なくない。
昔の日本とは考えられない程の大きく進化を遂げていくことになった。
後日談終
満州国の解決のために秘密裏に蒋介石と接触して交渉した。蒋介石は日本から満州国を貴国に委ねると聞いた時は驚愕した。何か裏にあるのではと疑ったが会談してるうちに蒋介石の考え方が変わり、日本と手を組むことを決めることになった。
後日、日満中和平協約を締結すると世界各国に発表した。
ホワイトハウス 大統領執務室
日満中和平協約を締結したと聞いたルーズベルトは激怒した。
「バカな! 蒋介石は何を考えてる!!」
振り上げた拳でドン!と机を叩き、怒りで全身震えていた。大統領執務室に集まった要人達が首を竦め萎縮していた。
「こ、これは由々しい問題ですな…」
「言われんでもわかるっとるわ!!」
「これでは多少修正が必要ですな」
「くそっ、所詮チンクもジャップと同じ薄汚い猿と一緒というか。こうなったら中国も纏めて叩き潰してやる! 白人に逆らうとそうなるか思い知らせてやる!」
「大統領閣下! お…、落ち着いて下さい」
「うるさい!!」
側近が宥めようとするがルーズベルトが一喝して、左手で払いのける。
「待ってください、大統領閣下。我が国も満州国に資本参入しても良いと日本から通達が来てます」
「な、なんだと、本気で言ってるのか」
ルーズベルトは怒りを忘れて信じられない表情する。
「ユダヤ人も資本参入を始めてるようです」
「それだけではありません、日本は近いうちに満州国を撤退すると情報も入ってます」
「バカな、日本は満州国を易々と手放すというのか! 何かの間違いじゃないのか」
「いえ、中国の蒋介石から聞いた話だそうです。記録も残っています」
「日本は我々に資本参入を認めたのは恐らく満州国を強くして、ソ連の侵攻を防ぎたいからではないでしょうか」
「それで満州国を手放すというのか」
ルーズベルトは信じられないと表情する。
「日本単独では手に余るので蒋介石と手を結び、欧米の資本参入を認めたのでしょう」
「バカな、これでは日本を悪者に仕立てることができない。せっかくの計画が狂ってしまうではないか」
即に言うレインボー・プランである。欧州ではナチス・ドイツが台頭して近いうちに戦争を起こすだろうと予想している。しかし、ルーズベルトは選挙戦において「あなたたちの子供を戦場には出さない」ということを公約にしており参戦したくてもできない。そのためには大義名分が必要だった。
「どうやら日本は策士がいるようですな」
「くそっ! 忌々しい奴らめ!!」
「大統領閣下、落ち着いて下さい。満州国を撤退しても朝鮮はまだ残ってます」
「朝鮮だと、なんの値打ちもない半島をどうしたというのだ」
「ええ、実は……」
………
……
説明を終えた頃、ルーズベルトは、
「なるほど、これは使える」
ニヤリと悪魔の微笑みと思わせる程の笑顔を見せる。
「うまくいけば日本を誘導できます」
「フフフ…よし、いいだろう。この手でいこう。皆ものご苦労だった。下がっていいぞ」
「ハッ…」
言われるがままに皆一人残らず退室した。
「クッククク…日本め、我々を侮った代償は大きいぞ。クァッハハハハ」
誰もいなくなった大統領室でルーズベルトは勝ち誇ったように大笑いした。
と、ここまでです。次の投稿は未定です。申し訳ないです
ブロットはありますが、途切れ途切れ状態なのでまとめ上げるのは時間がかかりそうです。
いつになるのやら…(泣)