旅一日目 ナリスの助け人
バンとメノウが街を出て、二人旅となった一日目。
「バン、少し聞いてもいいか?」
「何を?」
少し前を歩くメノウはバンに振り向き今まで聞きたいと思っていた事を聞いた。
「バンの剣術やその剣いったいなんなんだ?」
「なんなんだって……流派のことか?」
「そうだ、私は変わった剣や剣術をたくさんみてきた。だが、バンの剣や剣術はみたことない」
「そりゃそうだ、俺の剣は知り合いに頼んで作って貰った特別製だし、剣術に関しては我流だからな」
バンの答えにメノウは目を見開き
「が、我流だとっ!!それほどの力を自分一人でつけたのかっ!?」
叫んだ。それもバンの耳元で
「っ〜耳元で叫ぶんじゃねぇよ!!キィーンってなったじゃねぇか!!」
「す、すまん。そして顔が近い……」
バンとメノウの距離ただ今3cm弱!!
顔真っ赤にしてるメノウと同じく真っ赤にしてるバンは即座に顔を離したが、その場を沈黙がしめる。
「そ、それでさっきの質問の続きだが、バンは今までずっと旅をしてきたのか?」
「あぁ、12歳位からずっとな」
「12歳だと!?」
また目を見開き驚くメノウ
「っ〜、だから耳元で叫ぶな!!ったく、そうだよ。そんで、今まで自由に世界を周って、人助けしながら旅してた」
キョトンとしながら、メノウはバンの顔を見ていた。
「な、なんだよ?」
「バ、バンは12歳の時からそんな事やってたのか?」
震える声で、メノウはバンに尋ねている。なぜ声が震えるのかは、メノウ本人にすらわからない。
「あぁ、ナリスの助け人って知ってるか?」
「あぁ、ナリス国で前国主を殺し、自らが国主になり無茶な税を取っていた国主やその一味を一晩で潰し、ナリスの人々を助けた旅人がいて、ナリスの人々がその旅人に付けた呼び名が、確かナリスの助け人。」
「随分と詳しく知ってるな」
「当たり前だ、ガイアナ国とナリスは親交があるし、私が、騎士団に入団して最初の事件だからな。それにその時の国主の一味はかなりの強者揃いだったのに一晩で潰したナリスの助け人の話は、ガイアナ国ではかなり有名で、人々の間ではナリスの助け人に憧れている者もいるくらいだからな」
「そうなのか、ナリスの助け人がねぇ」
バンの答えに今まで話してた内容を思い出しメノウは
「まさか、バン!?」
「っ〜!!だから耳元で叫ぶな!!」
耳元で叫んだ。
「すまん、そんなことよりバン!?」
「だから何だよ?」
「バンの知り合いなのか!?そのナリスの助け人は!?」
「……は?」
メノウの答えに目を点にした、バン。
「だから、知り合いなのか!?ナリスの助け人が!?」
「……お前、実は天然か?」
「なっ!?天然とはなんだ、天然とは!?もういい!!」
そう行って、先をどんどん歩いていくメノウ。
「おい、置いてくな!!」
置いてかれそうで焦る方向音痴のバン。
「バン、みたいな奴とあのナリスの助け人が、知り合いなはずない!!」
そう言ってどんどん先に進むメノウ。
「いや、ナリスの助け人って俺なんだけど……」
「嘘をつくな!!バンみたいな奴が、あのナリスの助け人な訳ないだろう!?」
そんな感じに二人旅は始まった。
「だから置いてくな!!メノウ!!」
「知らん!!」