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奴隷商人


バンが確保された翌日、宿屋には頬に紅葉ができてるバンと申し訳なさそうにしているメノウがソファーに座っている。


「…いてぇ…」


「す、すまぬ…つい…」


頬を押さえ呟くとメノウが申し訳なさそうに謝る。



 10分前


「結局、一睡もできなかったな…」


バンは、メノウに拘束されてから一睡も出来ず黙って椅子に座っていた。


「……ん、……」


バンがぼやいていると目の前のベットで寝ているメノウが、目を覚まし辺りを伺っている。

寝ぼけてるのかメノウの目は虚でキョロキョロと周りを見渡していて、バンと目があう。


「ようやくお目覚めかい隊長さん」


メノウは、バンに声をかけられてもしばらくボォーっとしていたが徐々に目が覚めて来たのか目に力強さが戻ってきて、徐々に顔を赤くして


「キャアアァァァっ!」


『バチンッ!!』


バンの頬にメノウのビンタが炸裂し頬に見事な紅葉ができた。



現在に至る


メノウは、まだ気にしてるようでちらちらとバンの方を見ている。

 もちろん見られているバンとしては、どうしていいか解らずただ黙っていたが沈黙を破ったのはバンの腹だった。

メノウは、最初はキョトンとしていたが次第に笑顔になり


「そういえば、朝食がまだだったな。食べるか?」


「あぁ、食べるよ。昨日から何も食ってないからな…」


「そうか。ちょっと待っていろ」


そういうとメノウは部屋を出ていきどたばたと朝食を取りに行った。


「普通捕まえた奴、部屋に置いてどっかいくか?」


バンは呆れながらも逃げないで黙って朝食を待つ。









朝食を食べ終わると、メノウが急に真面目な顔になり


「ところで、名前は何と言う?」


「バン。ただの旅人だ」


バンの名前を聞いたメノウは何か呟いているが、


「そんなはずないか…」


 といって、バンに向き直り状況とこれからについて詳しく説明した。

メノウの話を簡単にすると、


1、バンはこれからガイアナ国に行き、街中での抜刀について罪が裁かれること。


2、ガイアナ国はこの街から出て徒歩で五日掛かるらしい。それまでは二人旅でガイアナ国まで目指す。


「まぁ、こんなとこだな。何か質問はあるか?」


「特にない。ただ……」


「なんだ?」


 バンが気にかけていたのは昨日の赤い髪の少女だった。


「昨日の子はどうなった?」


 半円は奴隷の証。少女がもしその身分を隠していたのだったら最悪もうこの街で生きてはいけない。バンはそれを気にしていた。

そんなバンの心配もメノウの一言で意味を成さなくなった。


「その娘なら、昨日の内に飛竜でガイアナ国に向かわせた。おそらくもうついているだろう。」


バンは心の中でよかったと、思ってはいたが口にはしなかった。


「まぁ、そういうことで私に着いて来てもらうぞ。罪とはいえ人を助ける為の抜刀だ。たいした事にはならんだろうしな」


「そうか、それよりいいのか?俺に武器を持たせて?」


バンはてっきり武器を持たせて貰えず旅をするものだと思っていたので驚いていた。


「なんだ、いらなかったか?」


「そういう訳じゃねぇけど…」


「バンは確かに罪人だが、あの場での抜刀は助ける為だあろう?ならばそれほど咎める必要もない。それに…」


バンと、身長が5cm程しか変わらないメノウはしっかりとバンの目を見ていた。


「バンは優しいような感じがするからな」


笑顔でそういったメノウは、少し恥ずかしいのかバンに背を向けた。




少しうれしいバンだった。



そして、二人は旅にでると思ったが、宿谷をでて広場にでると人だかり出来ていた。

その人だかりの中心にあるのは




腕に半円がある人達がボロボロになりながら大きな牢のようなものに横たわっていた



半円は奴隷の証



「久しぶりの奴隷だ!!なんと人数は村一つ分にも匹敵する!!」


村一つ分にも匹敵する奴隷の人数。


 数日前に立ち寄った村。

人がいなくなった村。


バンは広場に近付き牢の中にいるひと達の半円の焼き印をみる。まだ明らかに新しい。

そして、バンが泊まった家の写真立てに飾ってあった写真の家族。その家族が今バンの目の前の牢の中でぐったりと横になっている。

バンが牢の中を覗いていると奴隷商人らしき人がバンに声をかけてきた。


「お客さん、どれか気にいったのでもありましたかい?」


 商人の声を無視して、バンは牢の中にいる人達を見ている。


「オイ小僧。冷やかしならさっさと失せやがれ。」


反応がないことに買う気がないと判断した商人は、バンを威圧的に睨みながら言うがバンは視線すら向けない。


「いい加減にしろよ、こ


「黙れ」


『ドオォン!』


商人の言葉を遮るようにバンが言い、拳を振るう。バンの拳をまともに受けた商人は吹き飛び、壁に激突する。その様子を見ていた周りの奴らの一部はバンにナイフやら剣やらを向ける。


「テメェらもあいつの仲間か?」


商人が吹っ飛んだ方に指を向ける。返答はないがそれを肯定として受ける。


「…仲間だな……なら……遠慮はしねぇ」


『ガアアアァァァァァァァァァァ!!』


 バンが剣の刃を回し始めると武器を構えた男達は動けなかった。バンから感じる威圧感、殺気、怒気、全てが男達に向けられ、一歩も動けない。


「死ね」


動けない男達にバンは切り掛かる



「そこまでだっ!!」




〜〜〜メノウ〜〜〜


動けなかった………


広場に着いて、牢の中に人がいるのを見たとき私は確かに奴隷商人に怒り、すぐにでも剣を突き付けたかった。

 それなのに動けなかった。私は怒り剣の柄を掴んだ、だが次の瞬間には恐怖で怒りなど吹っ飛んだ。

確かに隣にいたバンは目付きは悪い。だが、その程度だった。

まだ、会って二日しかたっていないがバンは優しいとわかった。よくわからないが春の日差しのような温かみのある優しさだと思った。


だが、今のバンは春の日差しのような優しい物ではなく、ただ周りを壊す業火のような怖さだった。


いやだ……


まだ会って二日しか経っていないがこのバンは


いやだ。


あの温かさ無くなるのはいやだ。


バンは既に剣を抜き、男達に切り掛かっている


バンがあのままなのはいやだ。あの温かさがないのは




いやだ!!



「そこまでだっ!!」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜


バンが男達に切り掛かると、メノウが男と、バンの間に入った。


「そこまでだっ!!」


バンがメノウを見ると、少し、ほんの僅かだが震えていた。

その姿を見たバンは不思議と怒りが引いていった。

バンは剣を肩に置き、メノウに近づいた。


「悪いな、怖がらせちまって」


メノウは小さく首を横にふる。


「大丈夫だ。」


メノウが言うのと、ほぼ同時に街の守備隊が来て奴隷商人達は全員捕まり、奴隷となっていた人達は奴隷の証である半円を治療し跡形もなく消されていった。




一週間後


奴隷として扱われてる人達は皆村に帰った。村の人達には何度も御礼を言われたバン少し照れながらもしっかりと、話をしていた。 バンと、メノウの出発は一週間延期され、色々と、奴隷と、なっていた人達を手助けしていた。


「なんだかんだで結構時間経っちまったな。メノウ」

「そうだな、だがこれでようやく出発できる。」


「出発出来るのはうれしいんだが、複雑だな」


バンはため息を付きながらいった。まぁ裁かれると、わかっていて行くのだから気分は滅入る。


「心配するなと、いったろ。元々街での抜刀はそれほど重くもないしな。安心しろ」


「うじうじ考えるだけ無駄だな。とりあえずよろしくなメノウ」


「こちらこそだ。バン」


そして今度こそ二人旅の始まりだった。

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