確保
あの奇妙な村に泊まってから五日がたち、バンは村から出てようやく街にたどり着いた。
この街には活気があり、笑い声や商売の声がたえない。
「いい街だな」
バンは街の感想を素直に口にした。
カラン、カラン
街の中心地に近い場所にある酒屋でバンはくつろいでいた。店の中はまだ夕方なのにそこそこ人が多くそれによって酒屋は賑わっていた。
「ご注文は?」
バンが店の中を観察していると赤い髪で気の強そうな少女が尋ねてくる。
「この店のオススメと酒を一つくれ」
「かしこまりました」
そういって少女は店の奥に入って行った。
「お待たせ致しました」
しばらく待っているとさっきの女性が注文した物を持ってきた。
「どうも」
一言礼を言うと少女はキョトンとしたがこちらを見て笑みを浮かべて店の奥に戻って行った……用に見えたが何かに躓き転んでしまった。
「おいおい姉ちゃん、客のテーブルに突っ込むのはダメじゃねぇかぁ?」
赤い髪の少女に足をかけて転ばせた男が、睨みを聞かせながら少女に言う。
「も、申し訳ありません!」
少女がテーブルの上を片付けようとすると、男が少女の腕を掴む。
「は、離して!!」
掴まれていた腕を男から離すように勢いよく引くと少女の服が破れ、左腕があらわになる。
そして、その少女の腕には……
「その焼き印……奴隷の焼き印じゃねぇか!!」
少女の腕には半円の形をした焼き印がしてあった。
半円は奴隷の証。
少女はすぐに左腕を隠し店の奥に行こうとするが、男が少女の肩を掴む。
「おいおい、奴隷のくせに謝っただけですむと思ってんのか?奴隷なら何しても罪にはならねぇしなぁ」
「っ!!!」
男がそういうとさっきまで黙っていた客達も少女へと近づく。
「や、やめて……いや!!」
少女は顔を恐怖に凍らせ歪んでいた。一人の男が少女に手を伸ばした。
「っ!!!ギャアアアアアアア!!腕が俺の腕が!!」
聞こえたのは少女の悲鳴ではなく手を伸ばした男の悲鳴。男の腕を飛ばしたのは1m30cmはあり両刃の西洋剣を持った紫色の髪を持った少女だった。
「失せろ、下郎ども。先程から聞いていれば好き勝手いいおって、これ以上この子に危害を加えるつもりなら私が相手になろう!」
少女の威勢に男達は軽く引きぎみになるが、腕を切られた男が突っ込み手に持ったナイフで剣を持った少女を突き刺そうとする。
ズドォン!!
突き刺そうとした男が横から飛んできた2m近くある剣に吹き飛ばされる。
「女性に後ろからナイフで襲うのはどうかと思うけどな」
剣を投げたバンは剣が落ちてる場所まで移動して剣を持ち、男達に構える。
「今すぐ金を払って出ていくか?それともボコボコにされてから金を払って出ていくか?選べ」
男達は軽く周りを見るとそれぞれがナイフや剣を持ちバン達に向けて襲い掛かる。
「三下が」
『ガアアアァァァァァァァァァァ!!』
バンの剣の刃が轟音を出して回る。その音に武器を構えた男達は後ずさり、次の瞬間にはバンの一振りが男達に襲い掛かる。
5分と起たない内に武器を持っていた男達はそれぞれの武器を折られ、吹き飛ばされ店の中には男達の飲み代が乱暴に置かれて、バンと、先程の赤い髪の女の子と紫色の女性が、めちゃめちゃになった店内でア然としていた。
「………えっと…とりあえず、すいませんでした」
「な、何がですか?」
バンの謝罪の言葉に困惑の表情を向ける赤い髪の女の子。
「なにがって…なぁ?」
周りを見渡してバンはまた、ア然とする。それもそうだろう、この酒屋の道具(主に椅子や、テーブルはバンの大破している)
「……すいませんでした…」
やはり謝罪の言葉しか浮かばなかった。
そんなバンを、黙って見ていた紫色の髪を持った女性が、バンの前に現れ突然剣を向ける。
「はい?」
突然目の前で剣を構えられたバンは、呆然と目の前の女性を見るしかなかった。そんなバンを睨みながら女性は、凛とした声でいった。
「街中での抜刀、及び暴力行為の現行犯でガイアナ国、第一騎士団隊長メノウ、クルスが、貴様の身柄を確保する」
バンが、石になった。
「………腹…減ったな」
今バンは街にある小さな宿屋の部屋で、椅子に縛り上げられ身動き出来ない状態にある。
「……スゥ……スゥ…」
そして目の前のベットで規則正しく呼吸をし、時折寝返りをうつ女性メノウが、寝ている。
「俺が何したったてんだよ……」
街の酒屋で身柄を確保されたバンはそのまま、宿屋へと連行され当たり前のように縛られ、後日ガイアナ国まで連行され、そこで女王に罪を裁いて貰うことらしい。
「まぁ、とりあえず目的地までは、なんとか着きそうだな」
元々バンが目指していた街が、ガイアナ国なのでちょうどいいといえばいいのだが……
「……腹…へったな…」
メノウが、起きるまで空腹に悩まさせられるバンだった。




