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プロローグ
走る、走る。
「………はぁっ……はぁっ…」
ーーーーーーあっちに逃げたぞ!追え!
ーーーーーー回り込め!
走る。
「…………っ」
ちっぽけな足を懸命に動かして、ひたすら走る。あてもなく。
捕まってしまわぬように。
ーーーーーー…………!
ーーーーーー………!?……!
迷路のようなこの町を走り回っているうち、だんだんと追っ手の声が遠く、小さくなっていく。
(・・・・逃げ・・切れた・・・?)
安堵したとたん、全身から力が抜けていった。
体力はもはや限界。
彼女はそのまま、意識を手放した。