6.信じて待つこと
開いてくださり、ありがとうございます!!
次の試合に出ることを告白された慈愛。
彼らの運命の行き先は____
※この作品は、残酷・暴力描写が含まれます。
「ご準備をお願いします。慈愛様」
慈愛が指名された。
真夜は思わず慈愛の顔を見た。
慈愛の表情を見る限り、不安も恐怖も、それほど感じていないようだ。
それでも、なんとなく違和感を感じた。
「あ、そうでした」
女警備員は小声でそういうと、扉から少し離れた。
すると後ろから、ポニーテールの女の子“桃華”とふわっとしたロングヘアの女の子“鞠”が現れた。
2人は、俺らと同じ施設で育った子たちだ。
「慈愛…絶対勝ってよ…?」
桃華が震える声でそう言った。鞠は涙目で慈愛を見つめている。
「大丈夫だよ。安心して」
慈愛は笑顔でそう言い、2人の頭を撫でた。
いつもの、あの優しい笑顔で。
なのに、体はうまく動いていない。
ギクシャクしてるというか、微かにだけど震えている。
俺は、黙って慈愛を送りたくない。逃がせるなら、逃がしたい。でも、そんなことはできない。
ならせめて、慈愛の迷いだけでも消そう。
そう思った俺は、慈愛の右肩に手を置いた。
慈愛は払い除けることなく、受け入れた。
俺は小さく言った。
「綺麗事考えんなよ。俺らはお前が生きて帰ってくることだけを考えてる」
いつもなら、照れくさくてこんなことしない。でも、そんなことどうでもいいほど、伝えたかった。
俺の言葉を聞いた慈愛は、少しの間固まった。
そして、慈愛は俺の頭に手を回した。
「ありがとう。」
慈愛はそれだけ言って、透明な箱を出た。
足取りは、さっきよりも軽く、いつも通りの慈愛と、大して変わらなかった。
「勝つよね…?慈愛なら大丈夫だよね?」
慈愛が去った後、桃華は泣きながら俺の服を掴んだ。
慈愛に心配をかけたくなくて、慈愛が去るまで堪えていたのだろう。
俺は桃華と鞠の頭に手を置いた。
大丈夫…とは、俺は言えない。
大丈夫かどうかは慈愛次第だ。
俺らにできることは、一つだけ。でも、その一つは、俺らにしかできないことだ。
「慈愛を信じて待とう。」
俺の言葉を聞いた2人は、涙を袖で拭いた。
時計の針が、18時30分を指そうとしていた。
読んでくださり、ありがとうございました!
真夜たちの不安と覚悟、そして信じる心。
それらを胸に、慈愛は透明な箱から出た。
彼の試合はどのような結果になるのでしょうか。
次話も読んでくださると嬉しいです!
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