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4.断たれた未来

開いていてくださって、ありがとうございます!


同じ施設で育った“大事”が、最初の試合で戦うことに。

大事はどうなってしまうのでしょうか。

※この作品には、残酷・暴力描写が含まれます。

「お願い…やめて!!死んじゃうよ!!」

翡翠がステージに向かって叫んでいる。真夜は、そんな翡翠を止めることなく試合を目に焼き付けていた。

ステージ上では、たいしがやられまくっている。

まず、相手との体格差がありすぎるんだ。

たいしは、もう自分の足で立っていない。

殴られ蹴られ、捻られ、踏み潰されていた。

この透明な箱の中にいると、音は聞こえない。防音なのだろう。

それでも、聞こえてくるようだ。血の飛び散る音や骨が折れる音、本来人間から聞こえるはずのない音が。

そして、観客の声も。

顔と反応を見ればわかる。俺らと同じ感覚に陥ってる観客はどこにもいない。

みんな、娯楽として楽しんでいる。司会者の言っていた娯楽とは、このことだったのだ。

「ねえこの試合おもんないの私だけ?w」

「もう勝敗ついてるようなもんだろ」

「次回に期待ですね」

観客は冷静で、不満を爆発させているのがすぐにわかる。

ほんとに、胸糞悪い。

俺は、何度も目を瞑りそうになった。でも、瞑らなかった。

慈愛も同じだ。真顔だが、顔色が悪い。

そりゃ、家族が目の前で殺されかけてて、それを見てることしかできないんだから当たり前だ。

「おいゴリラ!!たいしを放せよ!!笑ってんじゃねぇよ…!」

柊も取り乱してる。

相手は笑いながら、でも恐怖を感じてるとも読める表情で、たいしを殴り続けている。

たいしの上に相手が馬乗りになった。

そして拳を振り上げた。


「真夜くん」

5歳の時、本を読んでいた俺に、たいしが初めて話しかけてきたのを、今でも鮮明に覚えている。

「僕、字がまだあんまり読めなくて…教えてほしいな…って…」

たいしは昔から身体が弱かった。字を読む機会も少なかったのだ。

「…まぁ、いいけど」

俺は照れくさくなって、そっけなく返事をしてしまった。

なのに、たいしの顔がぱぁっと明るくなった。

「ありがと…!」

あの笑顔を、俺は忘れたことがなかった。

字を教えてる時も、あんな笑顔をしてたっけ。次第に仲良くなっていった。それと比例するように、たいしのベッドでしか過ごせなかった日々がなくなっていった。


最近なんだ。

みんなと同じように過ごせるようになってきたのは。

これから、いろんなことしてやりたかったのに。

開始時間から、10分だった。

たいしは全身から血を流していて、顔にはほとんど原型が残っていなかった。

「第一試合終了。結果、A施設大事死亡。従牙の勝利ぃぃいい!!!」

司会者の声が、会場にも、この透明な箱の中にも響いた。

その言葉と同時に、客席の人たちが立ち上がった。盛り上がっている。

笑顔なやつ、不満そうなやつ、つまらなそうなやつ…

いろんなやつがいた。でもやはり、俺らと同じ感情のやつらは人っ子1人いなかった。

柊はその場に立ち尽くし、翡翠は涙を流して、ぴくりとも動かない。

慈愛は静かに目を瞑った。

真夜の左目から、一粒の涙がこぼれたのは、誰も知ることはなかった。


「戻りますか?」

女警備員が尋ねた。

柊と翡翠は放心状態で、女警備員に気づいていない。

「まだ、あと3試合程度続きますが、見学されますか?」

真夜と慈愛は目を合わせた。慈愛が頷いた。

俺は慈愛から目を逸らして、女警備員に向き直った。

「柊と翡翠を部屋に連れて行ってください。俺と慈愛は残ります。」

女警備員は静かに頷いた。

「わかりました」

そう言ったと思ったら、女警備員は慈愛を向いた。

「第二の試合は、慈愛様。あなたの試合ですので、ご準備をお願いします。」

読んでいただき、ありがとうございます!


残酷に、一瞬にして、家族が目の前で死んでしまったという現実。

そして、それは翡翠たちにも降りかかってくることになる。

彼女たちの運命やいかに。


次話も読んでいただけると幸いです!

コメントや評価も、気軽にしていただけると嬉しいです!

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