1.殺し合いは娯楽
この世界では、殺しがエンタメとして娯楽される。
そんな世界で、人を愛するということは。
※この作品はデスゲーム要素・暴力・残酷な描写を含みます。
「なんで私が!!あんたが死ね!!!」
女性の叫びが、会場全体に響き渡る。
ステージの上で、今日も命の取り合いが行われている。
「なんで俺が死ななきゃならねえんだよ!お前俺の彼女だろ?!なら俺のために死ねよ!」
男が女に怒鳴る。
「うわあの男最低〜」
「付き合ってないのに別れたいわ〜w」
観客席からは、男を貶す言葉が飛び交っている。
「よくも…そんなことが言えたわね…」
女はゆっくりと歩き出し、男の目の前に立った。
次の瞬間、男の身体がステージに叩きつけられた。
女が押し倒したのだ。
「え!あの子押し倒したよ!」
「強!やばい、推し変しそう!w」
「あの女は腕力があるな。それを使って試したいことがあるから、オークションまで行ったら買うか?」
観客席は、興奮と活気に満ちている。
だがその活気は、次の瞬間に消えることとなる。
「しね…しねしね…しねしねしねしねしねしね!!!」
女は男に馬乗りになって、男の顔面を殴り続けている。
男の顔面に原型がなくなるに連れて、観客のさっきまでの活気が薄れていった。
そのせいか、骨が砕ける音、血が飛び散る生々しい音が、会場中を支配していく。
「うわっ、ちょっと血飛んだんだけど。最悪」
アリーナ席で見ていた女の観客が言った。
そんな観客の声が聞こえていないのか、女に止まる気配は微塵も感じられない。
返り血を浴びながら、無表情で自分の恋人を殴り殺していくその様は、観客の目を釘付けにした。
カンカンカンッ!
制限時間の合図が、会場にいる全員の耳に鋭く刺さった。
女は正気に戻ったのか、男を見ながら怯えている。
「ゆうき…?ゆうき…。ねぇ…?やだ…嘘…」
取り乱してる女を退けて、審判が男の生死を確かめた。
「最終試合終了。結果、ゆうき死亡。らいの勝利!!」
司会が、マイクを片手に大きな声で観客に知らせた。
「よっしゃ!!俺の推し勝ったぞ!」
「はぁ?なんであの女が勝つの。」
「ゆうきくん推しだったのに〜」
観客席からは、歓喜の声や期待外れだったという声が次々に上がった。
「いやだ…。ごめんなさいっゆうき!!謝るから!ねぇ…起きてよ…!」
ステージの上で泣き喚く女を、警備員が取り押さえて、女はステージ裏に引き戻されていった。
「私の声が届きますかぁ?」
女の警備員が言う。
翡翠たちは今日、大きな会場に連れていかれた。
「真夜、なにするの…?ここで…」
私は、恋人である真夜におそるおそる聞いた。
「わからないけど、警戒しとくぞ。よくないことなのは確かだ。」
真夜は、警備員の女から目を離すことなく、私にそう告げた。
「ねぇ、ここどこ?」
「まだみんないるからよかったよな」
私を含めたここにいるみんなは、生まれた時から同じ施設で育った人たちが集められている。
みんな口々に不安や恐怖の言葉を並べている。
正直、私も真夜も怖いのだ。
「それではぁ」
私たちは、びくっと体を強張らせた。
ざわついている私たちに向かって、女警備員が大きな声を出したのだ。
「今からあなたたちにしてもらうことについて、説明しますね。」
女警備員はそういうと、表情も声色も変えることなく話し始めた。
「あなたたちには、殺し合いをしてもらいます。」
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!
殺し合い…一体翡翠たちはどうなってしまうのでしょう。
次回の話も読んでいただけると幸いです。
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