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何も見ていない街  作者: TOMMY


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5/8

横断歩道の鳩

目を覚ますような鳩の声が、

無機質な横断歩道に落ちた。


パッポッ、パッポッ。


誰も前に進まない。

二色の信号機は、確かに青い。

鳩の鳴き声も人間を前へと急かしている。

けれど、そこに佇む人間の群れはどこか遠くを見据え、ただただ、ぼぅっと立っていた。


車道と歩道の境。

白線で仕切られた空間。


そこには、黒い何かが漂っていた。


やがて青がちらつき、赤に変わる。バスとダンプが、排気ガスを吐き出しながら、何事もなかったように通り過ぎた。


──パッポッ、パッポッ。

人間たちは、その音を聞いた瞬間、何かに弾かれたように前に進んだ。


数瞬前の出来事を何もなかったかのようにスタスタと。まるで豆を追う鳩のようにスタスタと。


プープー、プープー。

急かされるような警告音が落ちると、人間たちは小走りになった。


そしてまた、そこに人間が溜まっていく。

黒い何かは、それとともに、重く、膨れ上がる。


ふと、同じ顔が何度も、ぼぅっと立っている気がした。過ぎ行く人間たちは、隣に立つ人間など、気にしてはいない。


けれど、明らかにさっきと同じ服装で、同じ顔。さっきすれ違ったはずの背中が、まだそこにあった。


再放送のように同じ位置、同じ速度。

通り過ぎたと思っても、次の回には同じ位置。


あの顔も、この顔も、昨日見た、一昨日も見た。


みな、どこかで折り返し、

また、ここに立ち戻ってくる。


そう思いながら、気づけば、鳩の鳴き声を待っていた。


パッポッ、パッポッ。


目を開ける。時計は少しズレていた。その音を聞いて、足が勝手に前に出た。


車道と歩道の境。

白線のすぐ内側に、

小さな黒い豆が落ちていた。

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