静寂の洞窟を前に響く訓練生たちの鼓動
翌朝、まだ眠気が抜けきらない顔で集合した訓練生たちは、シャルから「予定通り、訓練を開始する」と告げられ、背筋を伸ばしました。
怪我を負った冒険者たちは、野営地で二名の騎士が付き添い、見守ることに。
訓練生たちは朝食を手早く済ませると、地面に残る足跡を頼りに魔物の巣窟を目指します。
歩みを進めるうちに、やがて目の前にゴブリンやハティが住まう不気味な洞窟が姿を現しました。大きな口を開ける洞窟から漂う冷気と闇の深さに、一同は思わず身をすくませます。
「ここだな。間違いない」洞窟の入り口をじっと見つめながら、シャルが言います。いったん野営地に戻り、改めて作戦会議を行うことにしました。
野営地に戻ると、シャルは大まかな地図を描き、洞窟の攻略方法を説明し始めます。
「先陣を訓練生が行く、そのすぐ後ろには正騎士が続き、一番後ろにも正騎士が控える形で進む。」説明するシャルはいつも通りの笑顔ですが、訓練生たちの表情は張り詰め、顔には緊張の色が浮かんでいます。
シャルは洞窟攻略の難しさについて淡々と語り、「内部が迷路になっていたら挟み撃ちもありえる。油断は命取りだ」と警告しました。
訓練生たちは思わずゴクリと唾を飲み込みますが、シャルはさらに続けます。
「それと、中には魔法を扱うゴブリンやハティが潜んでいる可能性もある。剣だけで対応できるとは限らない。異変があればすぐ報告するように」その一言に訓練生たちは神妙に頷きます。
また、今回の洞窟探索は見た目以上に複雑な構造が予想される。
この複雑そうな洞窟に訓練生向けの訓練ではないのでは?とシャルは違和感を感じずにはいられなかったが、ここまで来て考えても解決しないことは気にしないこととした。
いよいよ洞窟の攻略が始まる