巨大狼と騎士の晩餐バトル!
食事が終わると、シャルは焚火のそばで立ち上がり、訓練生たちに向けて明日の概要を話し始めた。
「明日は魔物の巣を見つけて、一掃することになる。日の入りまでがタイムリミットだ。それまでに訓練生たちが巣を見つけられなければ、訓練は終了。正騎士たちが後を引き継いで、さっさと片付けることになるぞ。」
訓練生たちからは小さなため息が漏れた。やる気はあるが、いかんせん経験が足りない彼らにとって、この一言はプレッシャーになっているようだった。
「朝食後に作戦開始だ。だから今夜は、明日に響かないようにしっかり休め」とシャルは締めくくり、静かに座り直した。
「明日は大変だな……」とシャルは心の中でつぶやく。正騎士が自ら魔物を一掃する方が、ずっと楽だろうとぼんやりと思いながら、焚火を見つめた。「教えるのってやっぱり向いてないんだよな、私……」
焚火の炎が揺らめく中、静寂が一瞬訪れる。しかし、その静寂を破ったのは、突如として聞こえた女性の悲鳴だった。
全員が瞬時に臨戦態勢へと移行する。シャルは素早くアイシュッに野営地の指揮を任せ、ルイと共に悲鳴が聞こえた方向へ向かった。
森の奥へ進んでいくと、2人の前に現れたのは、信じられないほど巨大なハティだった。
「でかい…」ルイは思わず口を開いた。
「その感想しか出ないか?」とシャルは苦笑するが、彼女も内心では驚いていた。冒険者たちが野営していた場所は少し開けていたが、どうやら彼らは不幸にもこの巨大なハティを引き寄せてしまったらしい。
「これ、見たことないくらいデカいぞ…まるで大きな岩だ」シャルは眉をひそめながらハティを見据えた。
そのハティは黒く、目は真っ赤に光り、全身の毛が逆立っている。威嚇しながら、低いうなり声を上げていた。
冒険者たちは完全に戦意喪失していた。倒れた女性は瀕死で、地面に広がる血が赤々と見える。立ちすくんでいる男性も、動けない様子だった。
「ちょっと待て、これ…助けられるのか?」ルイが少し戸惑いながらシャルに尋ねた。
「うーん…どうだろうな。とりあえず、やるしかないか」とシャルは冷静に言い、剣を抜いた。