それは唐突にでもまだ訓練生は訓練中
午後からの遠征は、訓練生たちを鍛えるための場として、1日半ほど先にある魔物の巣に向かうことになった。
正規の騎士が行う討伐とは異なり、今回の遠征は訓練生の訓練が主な目的であり、実際の戦闘は彼らが行うことになる。
訓練生たちは、自分たちで魔物の数を予測し、巣の場所を特定し、討伐作戦を練り上げ、実行する。
シャルたち正規の騎士は、その作戦を後方で見守り、必要に応じてフォローするという立場だ。
シャルは食堂で食器を返しながら、仲間たちに話しかけていた。
「午後からの遠征は訓練生がメインの訓練だが、だからと言って気を抜くなよ。何が起こるか分からんからな。」
「ええ、わかってますよ、隊長。」アイシュッはいつもの冷静な顔で頷いた。副隊長としての彼の役割は、シャルを補佐しつつ、訓練生たちを注意深く見守ることだ。
「まあ、ゴブリンとハティですから、そこまで難しくはないでしょうけどね。」とルイが肩をすくめる。いつもの軽い調子だが、シャルの目には彼の準備がすでに整っていることが分かる。
午後の陽射しが差し込む中、シャルたちは訓練生と共に出発した。
道中、訓練生たちは緊張の面持ちで、これからの戦いに備えている。
装備の点検を何度も行い、作戦の再確認をしている姿が目につく。
「訓練生たちにとって、魔物との戦闘は初めてだから、失敗することも多いだろうな。でも、そこから学んでほしい。」シャルはアイシュッ真面目に話しかける。
「そうですね。自分の足で立つことが重要ですから。」アイシュッは静かに答え、そのあと静かにシャルを見た。
「なんだ」シャルが問う。
「何か面白いことをいうのかと」アイシュッは答えた。
「なんだ面白いことって?」シャルが若干イラっとしながら答える。
夜になり、彼らは近くの森で一時的な野営をすることになった。
訓練生たちは緊張感からか、会話が少なかった。
野営では本番同様交代で見張りと火の番をすることになっている。
いくら訓練といはいえ、そこは本番と同様である。