表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【呪言《ことほぎ》】あなたがそうおっしゃったから。  作者: 友坂 悠


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/66

呪言。

 あの人たちからかけられた言葉はみんな呪いだと思っていた。


 お母様の孤独。お母様の悲しみを思うと、彼らの善意であろう言葉もみな真綿で首を絞められるように感じて。


 でも一番の呪言は、お母様の言葉だったのかもしれない。


「憎しみ、悲しみ、嫉妬、そんなマイナスの感情に呑まれないで」


 そんなお母様の言葉。


 幼いわたくしはそれを、感情を持つことはいけない事なのだ、と、すり替えたのだ。きっと。

 



 憎むことも悲しむことも嫉妬することも。

 恋することも喜ぶことも、そして、慈しむことも。

 そんな感情をすべて押し殺して押し潰して生きてきたから。

 だからか。

 他人の感情をも信じることができなかった。

 人との間に常に殻を置いて、避けていたんだ。わたくしは、ずっと。


 そう。

 マクギリウスの温かさに触れるまでは。


 今にして思えば、ラインハルト様が言ったあの言葉。


「君はもっと自由に生きるべきだ。いや、私なんかではなく、もっと君にふさわしい相手と恋をするべきなんだ」


 この言葉だって、彼の本心がどこにあったにせよ、結果的には正解だった。


 マクギリウスに恋をして、わたくしの心は満たされたから。


 ひょっとしたらこれも祝福の言葉だったんじゃないかって、今ならそう思えるから。








 ♢ ♢ ♢



「アリーシア!!」


 あれ。目の前にマクギリウスがいる。


 マナを放出しすぎてちょっと意識が朦朧としてるせい?

 もしかして、これは夢かも、しれない。


 ほっぺたをぎゅうと押してみる。感覚があんまりない?

 痺れたようになっている身体。

 やっぱり。

 わたくしは夢を見ているんだ。

 そうに違いないもの。



 ああ、でも。

 だんだんと近づいてくるマクギリウス。

 おかしい。

 なんだか怒ってる?

 どうして……。



「このバカ! なんでお前がこんなところにいるんだ! 絶対に外に出るなって言っただろ!!」



 ああ、ああ。

 やっぱり怒ってる。

 ごめん、なさい。

 マクギリウス、わたくしを嫌いにならないで……。


「ほんとに、このバカ……」


 そう言いながら夢の中のマクギリウスはわたくしの身体を優しくその腕で包んでくれた。

 いつの間にか目から涙がぼろぼろと溢れてて、彼の上着を濡らしてしまう。


 ごめんなさい。マクギリウス。

 好きよ。だから。

 わたくしのこと、嫌いにならないで……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ