よく似ている。
大きな廊下を歩いて行くと目の前中央奥に謁見の間の大扉が見える。
国王陛下とお会いするのにいきなりプライベートルームに訪問するのは流石にありえないと思ってきっとそちらに行くのだろうと思っていたら、
「こっちだよ。アリーシア」
と、案内されたのは大扉の前を素通りし、さらに奥に入ったところにある陛下の執務室?
コンコン、と、ノックをするマクギリウス。
「よし、入れ」
中からそんな声がして、扉が開いた。
白が基調のそのお部屋は華美な装飾の類は一切なく、質実剛健が似合うクラウディウス陛下の趣味に合わせた執務室になっているのだ、と。耳元でマクギリウス様が教えてくれた。
「ああ、マクギリウス。久しぶりだな」
「ええ、兄上もご健勝そうでなりよりです」
「そちらはアリーシアだな。大きくなったな、見違えたぞ」
「はい。陛下。ご機嫌麗しゅう存じます」
「はは。表情も、随分と大人びたな。田舎に籠って出てこないとお主の父が泣き言をもうしておったぞ。しかし……、今回の次第、家には報告をしていないのか?」
「はい。祖父は承知しておりますが、父にまで伝わっているかはわたくしにはわかりません……」
「ああ、すまないアリーシア。全く内緒にするのは難しかったから、公爵には俺から伝えておいた。他のものには漏らさぬよう念押しして」
「なるほど。全てはマクギリウスの算段であると、そういうことか」
「ええ兄上。トランジッタ家にはどうしても知られたくなかったから、公爵には俺が口止めしたんだ」
「ふむ、まあトランジッタ家で何があったのかは私もだいたいは把握しているよ。大変だったねアリーシア」
マクギリウスとよく似たお顔の国王陛下。
わたくしのことも昔から気にかけてくれていたのは知っていたけど、それでも幼い頃の記憶は曖昧で現実味がなかった。
二人をかわるがわるみてしまう。
お年は結構離れてて親子と言ってもおかしくないくらいの陛下とマクギリウス。
わたくしのお母様と陛下、そしてマクギリウスは同じ前王妃オクタウィア様がお母様だったから、そういう意味でも血が近く、特に陛下とマクギリウスはよく似ていらっしゃった。
わたくしとエヴァンジェリンさまも似ている、かな。
髪色はお祖母様譲りの白銀の髪。
うちのお祖父様にしても奥様はオクタウィア様の従姉妹だったから、ほんと貴族どうしそれも王族に近い血筋はみなどこかで繋がっていると言っても過言じゃなかったけれどね。
妹のマリアーナだって同じ髪色だったから。
「マクギリウス。そろそろ王宮に戻ってくる気はないか?」
陛下とマクギリウスの歓談が一区切りついた時、唐突にそう陛下がおっしゃった。




