表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【呪言《ことほぎ》】あなたがそうおっしゃったから。  作者: 友坂 悠@書籍化しました!!(電子書籍配信中です!!)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/66

こころ、ぐちゃぐちゃで。

「だからおじさまがいいの。あたし。知ってる? 叔父と姪は結婚できるのよ!?」



 いやだ。ヤダヤダヤダ。

 そんなの絶対に嫌だ。

 お願いマクギリウス。嫌だって言って。ダメだって言って。


「ああ、知ってる」


 マクギリウス!?


「ふふふ。ならいいわ。明日にでもお父様のところに来るといいわ。アポイントとっておいてあげる」


 え!


「じゃぁいくわよニーナ。あ、ここのお会計はおじさまにお願いしていいのかしら?」


「ああ。誘ったのはこちらだからな」


「じゃぁね。アリーシアさまもまた明日ね」


 それだけ言うと席を立ち部屋を出ていくエヴァンジェリン。

 わたくしはしばらく放心してその場でかたまってしまっていた。


「大丈夫か? アリーシア。髪を直したら俺たちも出るぞ。ん? もしかしたら一人じゃできないか? 手伝ってやろうか?」


 そんなふうにわたくしの顔を覗き込むマクギリウス。

 心配、してくれてる?

 でも。


「ううん、いい。一人でできる……」


「そうか? 大丈夫ならいいが……」


 ごそごそとなんとか一人でかつらを被る。

 でも手触りはボサボサしてる?

 どうしよう……


「ほら言わんこっちゃない。俺が直してやるから」


 そう言ってわたくしのあたまを触るマクギリウス、に。


「ごめんなさい……」


 そう俯くだけしかできなかった。



 ♢ ♢ ♢



 マクギリウスはいっぱい世話をやいてくれる。

 でも。

 それってわたくしが子供っぽいとかそんなふうに思ってるんじゃないかって、そう思う時もある。


 もう十八歳なのに、十歳のエヴァンジェリン様にも負けているようで、なんだかいや。


 せっかく楽しみにしてた一日だったのに、結局そのあとは一日中そんなことばっかりがあたまをよぎって。


 マクギリウスともまともに話ができないまま、夜を迎え。


 心がぐちゃぐちゃのままベッドに潜りこんだのだった。





 翌朝の朝食の時間になっても、わたくしはまともにマクギリウスの顔を見れずにいた。

 心配そうにこちらを覗き見る彼に。なんて応えていいのか分からずに。


 セバスからの報告によると、初日のエリカティーナのセールは盛況のうちに終わったとのこと。

 予想よりも多くの売り上げがあった、と言うことだったけど、それがブラウド商会の人間による買い占めの影響もあるとしたらそこまで喜べない。

 ただ、実際には一般のお客様はそこまで半額のものを手に取って行ったわけではなく、セールという言葉に釣られてきたものの、いざお店にきたら新商品の方を選んでくれた方が多かったようだというのは、かなり救いに思えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ