こころ、ぐちゃぐちゃで。
「だからおじさまがいいの。あたし。知ってる? 叔父と姪は結婚できるのよ!?」
いやだ。ヤダヤダヤダ。
そんなの絶対に嫌だ。
お願いマクギリウス。嫌だって言って。ダメだって言って。
「ああ、知ってる」
マクギリウス!?
「ふふふ。ならいいわ。明日にでもお父様のところに来るといいわ。アポイントとっておいてあげる」
え!
「じゃぁいくわよニーナ。あ、ここのお会計はおじさまにお願いしていいのかしら?」
「ああ。誘ったのはこちらだからな」
「じゃぁね。アリーシアさまもまた明日ね」
それだけ言うと席を立ち部屋を出ていくエヴァンジェリン。
わたくしはしばらく放心してその場でかたまってしまっていた。
「大丈夫か? アリーシア。髪を直したら俺たちも出るぞ。ん? もしかしたら一人じゃできないか? 手伝ってやろうか?」
そんなふうにわたくしの顔を覗き込むマクギリウス。
心配、してくれてる?
でも。
「ううん、いい。一人でできる……」
「そうか? 大丈夫ならいいが……」
ごそごそとなんとか一人でかつらを被る。
でも手触りはボサボサしてる?
どうしよう……
「ほら言わんこっちゃない。俺が直してやるから」
そう言ってわたくしのあたまを触るマクギリウス、に。
「ごめんなさい……」
そう俯くだけしかできなかった。
♢ ♢ ♢
マクギリウスはいっぱい世話をやいてくれる。
でも。
それってわたくしが子供っぽいとかそんなふうに思ってるんじゃないかって、そう思う時もある。
もう十八歳なのに、十歳のエヴァンジェリン様にも負けているようで、なんだかいや。
せっかく楽しみにしてた一日だったのに、結局そのあとは一日中そんなことばっかりがあたまをよぎって。
マクギリウスともまともに話ができないまま、夜を迎え。
心がぐちゃぐちゃのままベッドに潜りこんだのだった。
翌朝の朝食の時間になっても、わたくしはまともにマクギリウスの顔を見れずにいた。
心配そうにこちらを覗き見る彼に。なんて応えていいのか分からずに。
セバスからの報告によると、初日のエリカティーナのセールは盛況のうちに終わったとのこと。
予想よりも多くの売り上げがあった、と言うことだったけど、それがブラウド商会の人間による買い占めの影響もあるとしたらそこまで喜べない。
ただ、実際には一般のお客様はそこまで半額のものを手に取って行ったわけではなく、セールという言葉に釣られてきたものの、いざお店にきたら新商品の方を選んでくれた方が多かったようだというのは、かなり救いに思えた。




