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魔國大黄粉。

「旦那様。マクベス伯爵からのお話の概要を精査致しましたが、こちらの魔國大黄粉は禁止薬物ではありませんか。このようなものを取り扱ったとなれば国からのお咎めは免れませんが」


「なに、少量であれば健康にもいいと言われている。マクベス伯爵の情報では医療用に使用許可が出るのも目前とのことだ。であれば今大黄粉の生産製造に資金を投入したものが多くの利益を得ることになる。セバスにはそれがわからないか?」


「恐れながら旦那様。将来的に許可が出るとしても今現在禁止となっていて生産製造が御法度な事実は変わりません。どうかお考え直し下さいますよう」


「許可が出てからでは遅いのだ。それでは先行者としての利益が見込めないではないか」


「いえ、旦那様。利益が出るからと禁止薬物に手を出したとあっては、先代の大旦那様に申し開きができません。どうか、どうか、お考え直し下さいませ」


「うるさい! このままでは爺さんの残したこのブラウド商会そのものが無くなってしまうかもしれないんだぞ。ここで賭けにでなくてどうしろというのだ」


「恐れながら旦那様。魔國大黄粉は中毒症の問題もあります。動物実験により大量に摂取した場合の魔獣化も懸念されておりますれば、そうそう使用許可が出るとも考えにくく。また、裏社会での非合法の流通も問題視されておりますのでそういった犯罪行為に加担する恐れも」


「うるさいうるさいうるさい!! これはもはや決定事項だ。考えを変える気はない。お前は初期費用のための資金調達に専念しろ! 場合によっては商会の資産の売却も視野に入れても良い」


「旦那様、それでは……」


「いい、と、言っている。まずは服飾関連、魔法具関連の店舗の売却を行う。どちらにしてもその二業種はアリーシアなしには成り立たなかった。私にもそれはよくわかった。売却先はどこでもいい。高値で売れるところを探せ」


「承知いたしました。しかし……」


「まだ何かあるのか!」


「事業を売却縮小し本業の輸入部門に集中すればまだ商会の立て直しは可能かと存じます。ですから違法な事業に賭けるのはおやめ下さいませ」


「まだいうか!! お前の顔などもう見たくもない! 出ていけ!!」


「旦那様……」


「いい! お前は解雇する。さっさと荷物をまとめて出ていくといい! 今後はトマスに任せることにする!」




 寂しそうな表情をみせ、セバスは部屋を後にした。もう自分が何を言ってもこの人には届かないのだ、と。そうあきらめ。

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