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儲かる話。

 ■■■


「だから、今度こそちゃんと儲かる話なんですよ」


「あなたのおかげでこちらは60億ゴールドもの資金を無駄にしたのだ。それなのによくものうのうと顔を出せたものだな!」


「なんですって? 私はちゃんと子爵の事業の近況も伝えておりましたよね? どうやらこれ以上は無理だと判断したところで資産を回収するよう提言もさせてもらったはずですが」


「そ、そうであったのか……?」


「少なくともセバス執事は理解してくださっていたようですがね? こちらに問い合わせの手紙も届きましたし。まさかラインハルト様の耳まで届いて居なかったと言うことでしょうか?」


「いや、それは……」


「まあそちらの事情も色々あるのでしょうが、投資というものは機を見て行うことが大事です。ここで買えば儲かると見極めたところで買う。売る場合も一緒です。本来は儲かるところで売るべきなのですが、これ以上はだめだと判断した場合は多少の損も覚悟し損切りする。絶対にやってはいけないのが、周囲が儲かっている時に便乗して買い、周囲が損をし始めてから慌てて売ること。これはいけません。ですからね」


 細身の身体でグレイのスーツを着こなし、モノクルを右手できゅっともちあげる。

 上目遣いでラインハルトを覗き込むマクベス伯爵は、この後を小声で続けた。


「儲かる話というものは最初に手を出した者だけが大儲けできる仕組みになっているわけなんですよ。ほかの誰でもないラインハルト様だからこそ、私はこんなレアな情報をおなはししているんですからね」



 こっそりと、あなただけに、と。

 そう話すマクベス伯爵の言葉にだんだんと自尊心も刺激されて。


 今回も、かかる費用は高額になるだろう。しかしながら現在ブラウド商会にはそこまで自由になる金もない。

 それでなくとも毎月の経営は悉く赤字でありその費用の捻出にもことかいている始末。

 一年前あった貯蓄はほぼ底を切った。

 しかし。

 ここでこの話に乗って一発逆転を狙わなければ。

 これ以上、情けない気持ちで過ごすのにはもう耐えられなかった。


 そうだ。マリアーナに金を出させよう。

 あれはこの家に来てから何もしていないじゃ無いか。

 さも自分の仕事は社交であるとでも言わんばかりで、毎日毎日他家の茶会に招かれ出かけている。

 少しは商会のために尽力してくれてもいいはずだ。

 なんだったらエルグランデ公爵がマリアーナのために金を出してくれてもいい。


 ラインハルトはそうほくそえみ、マクベスの話に聴き入っていった。

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