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叔父様。

 結局。

 ラインハルト様はお祖父様の領軍兵士が担架に乗せて運んで行った。領主館の方に医療所もあるからそっちだったら治療もできるしいいかもだけれど。

 お祖父様のお屋敷とはちょっと離れているから、街に戻ってもそう簡単には顔を合わせずにすむと思いちょっとだけ安心して。

 マクギリウスはあんまり納得できていないみたいだったけどまあしょうがない。

 わたくしだって本当はすごく嫌だ。マクギリウスに斬りつけようとしたんだもの。許せるわけはない。

 でも。

 お祖父様が事情を聞くと行っている以上、逆らえない。

 逆らうのが怖い。

 なんだか心の奥底が、そんな枷でもかかっているかのように縮こまっている。

 だから。ごめんなさい。マクギリウス。ごめんなさい……。


 に、しても。

 マクギリスが王子様だったなんて。

 わたくしが幼い頃、まだ少し元気だったお母様と一緒に王宮に遊びに行ったことがある。

 お母様はお祖父様のお兄様、前国王の三女だった。マクギリウスのお姉さまに当たり、お父様とは従兄弟同士の政略結婚となる。

 そんなお母様につれられ王宮に行った際、そこで一緒に遊んでくれた少し年上のお兄様。

 金色の髪がとても綺麗で、真っ赤な瞳がとても神秘的だったのを覚えている。

 少し乱暴な感じもしたけれど、それでも本当はきっと優しいんだよねとそう思えたんだった。

 そんなマクギリウスが第七王子だったって事は、私から見たら叔父様だったっていう話になる。

 うーん。

 あまりぴんとこないけど、それってすごく近い血縁ってことになるよね。

 この国の法律では、叔父と姪の結婚は認められているけれど、それでもあまり例がない。

 それぐらい血が近すぎるのだ。


「叔父様、かぁ」


 そんなふうにつぶやいて、思い返す。

 わたくし、愛の告白? を、しちゃったのかしら?

 愛っていうのもまだよくわからないけどそれでも。

 マクギリウスが好きなのは、間違いがない。

 この心、この気持ちだけは本物だ。

 そう信じられた。



「何にやけてんの? お嬢」


 耳元でそんなふうに囁くマクギリウスの声。

 男らしい声だけど割とハイトーンで、よく響く声。

 ああ。

 やっぱり好き。


「お嬢はやめて。マクギリウスは王子様なんだから、お嬢はおかしいわ」


「はは。じゃぁアリーシアって呼ぶことにする。それでいい?」

「うん。じゃぁわたくしもマクギリウス様に直さなきゃね」


「え? それは嫌だ」


「どうして?」


「アリーシアにマクギリウスって呼ばれるの、俺結構気に入ってるんだよ」


 そういって満面の笑みでこちらを覗き込むマクギリウス。


 顔が、近い、近すぎる!!


 顔を真っ赤にしたわたくしの耳元に、マクギリウスは優しく唇を落としてくれた。

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