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お祖父様とマクギリウス。

「さて、こいつをどうしてやろうか」


 マクギリウスが倒れているラインハルト様を睨め付け言った、その時だった。


「な何事か!!」


 バタバタと大勢の人が小屋の入り口に押しかけてきた。先頭にはお祖父様。その後ろに見えるのは領軍の兵士、と、トランジッタ家の騎士? ラインハルト様の護衛としてこちらに来たけれど、お祖父様に留められていたのかな。

 わたくしに会いに来るのに護衛同伴は許さない、そうおっしゃってくださったのだろうか?


「これは……どう言う事だ!? 説明しなさいマクギリウス」


 隅で倒れているラインハルト様。

 反対側で倒れ、マクギリウスに抱き抱えられているわたくし。

 そして先ほどの爆発音。無事なのはマクギリウスだけ。

 こんな状況でお祖父様が取り乱すのは無理もない、けれど。


「待ってくださいお祖父様。ラインハルト様がマクギリウスに斬りかかったのです。マクギリウスは何もしていません」


「どういう、事だ!?」


「ああ、そいつが俺に斬りかかってきたところにアリーシアが俺を庇って飛び込んできたんだ。そしてそのまま彼女のお守りが発動したってことさ」


「なんと!」


「で、あんたらはどうするんだ!? 万が一お守りが発動しなかったら斬られて倒れているのはアリーシアだった。俺はそいつを許す事はできん!」


 そう、領軍とトランジッタ家の騎士を睨むマクギリウス。

 トランジッタ家の騎士は、腰の剣に手をかけいつでも抜けるようにしてこちらを睨んでいる。


「待て、マクギリウス。もしかしてそれは口論になった挙げ句ラインハルト殿が其方に剣を抜いたという事なのか?」


「ああ、そうだ」


「なるほど」


「助かったから良かったものの、一つ間違えばアリーシアの命が消えているところだったんだぞ! よくそんなふうに落ち着いていられるな!?」


「聞いているぞ、其方がトランジッタ家を出奔する際にラインハルト殿を口論の末殴ったと。わしがそれをとりなし其方を庇うのに、どれだけ頭を下げたと思っているのだ」


「そんな事は頼んじゃいない!」


「だいたいだな、お前が身分を隠していたのが悪い。わしの甥で王族なのだと明かしていれば要らぬ諍いも起きなかったはずだろうに」


「それは……」


「まあ、其方が隠したがった理由もわかる。だから好きにさせておいたのだ。それがラインハルト殿に要らぬ誤解を与えたのは、まあ間違いではなかろう」


「それでも、それとこれは別じゃないか! こいつが他家の領地で剣を抜き、人を斬ろうとしたのは間違いないだろう!? そのせいで人が一人死ぬ所だったんだ。反撃のお守りがはたらかなかったらほんとうにアリーシアが死んでいたかもしれないんだぞ! 叔父さんはその事をどう思ってるんだよ!」


「そう、だな。ラインハルト殿はわしが預かる。意識を取り戻したあと事情を聞くとしよう。どちらにしても、其方の言い分だけではここにいる護衛の者どもも納得するまい。ここはわしの顔を立てて怒りをおさめてはくれないか、マクギリウスや」

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