好奇心
緊張してる表情のヤイノに、シュミットが微笑む。
「見苦しいとこ見せてしまってすまないね」
「いえ、慣れてます」
というヤイノの言葉に、シュミットは苦笑した。
ブルとホウセンカの不仲を、ヤイノですら知ってたのか。
「どういうことか聞かせてくれる?」
とシュミットがうながすと、ヤイノは話し始める。
「あの、池の中に柱を建てるのってどうやるんだろうとか、それにゲートをどかしたところに何があるんだろうとか、気になって…… 池に入って見てたんです。そしたら柱の下からナマズみたいのが出てきて、柱が倒れてきたんです……」
「えええっ!? それって大丈夫だったの!?」
と、タツキが驚き、
「ナマズですって!」
と、シズクも同時に驚いていた。
「天空岩にナマズがいるなんて……」
シズクは興奮してるようだ。
「調査しなくちゃ」
「あの、ナマズかどうかははっきりとは? エイとかだったのかも」
ヤイノは、シズクが興奮してるのが意外だった。
もっと感情を表に出さないようなタイプかと思ってたのだ。
「長年、ここで釣りをしてるが、ナマズもエイも見たことないなー」
何か考え込むような表情で、ホウセンカがつぶやく。
「見落としてたんだろう」
と、ブルがホウセンカに毒づく。
「辞めろって」
シュミットが、ブルを諫める。
「ナマズとかよりも、あの池の血はヤイノの血ってことで間違いない?」
「えぇ。この翼が柱の下敷きになってしまって、溺れてしまって……」
「それって、ヤバイじゃん!」
タツキは青ざめた。
「いやいや、地上に落ちて翼が取れたお前が言うなよ」
言いながらも、ヤイノは自分の翼が怪我一つないことに気づいた。
「まあ。さっき話した通り、助けてもらったみたい。お礼言わなきゃ」
実はヤイノ自身も気絶してたため、どういう状況かよくわかっていなかった。
タツキの言うシムという少年が助けてくれたらしいが……
「それにしても、なんで柱が池の畔にあるんですか?」
「え!?」
今度はシュミットが驚いた。