仲良し
「すごかったんだぞ。魔法の鍵をこうゲートにかざしてな、ゲートが開くんだ」
と、ユーテムが言った。
少年はそんなはずはないと思った。
鍵で開くんならゲートに鍵穴があるはずだし、そもそも鍵はかざすものではない。
少年は懐から鍵を出して見てみた。
シムはゲートを鍵で開閉するように改造でもしたのだろうか?
腑に落ちない気分だった。
「え? その鍵、ちょっと見せて」
と、ルイセが言うので、少年は見せた。
ルイセが触れた途端、鍵が光る。
「わ! すごーい、光ったー」
「すごい、ルイルイもゲートの管理人になれるぞ」
「テムくん、やったー」
盛り上がる二人。
少年はひやひやしていた。
光る鍵?
鍵が光る必要があるのだろうか? 少年はますます意味がわからなくなった。
「また、ゲートが開くのが見れるぞ」
きらきらした目でユーテムが言うもんだから、少年は申し訳なく思っていた。
* * *
「味はどうかしら?」
と、聞いたのはシズク。
「おいしい!」
カマボコを頬張りながら、答えたのは、メノウだ。
「うん、うまい」
タツキも答えた。
タツキとしてはカマボコさほど美味しいとは感じなかったが、一緒に出された桃のジュースはサイコーだった。
「よかった」
シズクは微笑む。
「このカマボコ、どうしたの?」
タツキが尋ねる。
桃の出どころはわかるが、カマボコの存在は意外だった。
「魚がたくさんあるから、作ってみたの」
「へー!シズクが作ったの?すごい!」
タツキは驚き、メノウは尊敬の目で、シズクを見ていた。
その様子にシズクは照れていた。
「ホウセンカとブルがね、たくさん釣ってくれたみたいで」
「へー、いいコンビだよな、あの二人」
「どこが!」
「え?」
即座にシズクが否定したのが、タツキには意外だった。
「ヤイノはそういうの鋭いのに、弟のあなたは鈍いのね」
「そうかなー?」
タツキは首を傾げる。
ホウセンカもブルも釣りが趣味で、二人並んで釣りしてたようだから、てっきり仲良しなのかと……?




