大噴火の日
※ 地震、火山に関する描写があります。
そこに住んでいた人々が倒れている。
知り合いに気づき、アッゼが息を飲む。
「周りは見るな! とにかく走って!」
シュウはとにかく走る。
アッゼもシュウの左手をつかんで走る。
シュウの右手がなかった。
とても痛々しい姿。
片腕ないせいか、走る姿がぎこちない。
アッゼはシュウの言葉通り、とにかく走った。
熱風が吹いている。
地面が揺れ、噴火の音が響く。
二人は魔導エレベータの前に着いた。
「乗って!」
シュウは、アッゼを魔導エレベータに押し込んだ。
その反動で、すてんとシュウが転んだ。
「シュウも一緒に」
アッゼはシュウの手をつかむ。
そのまま手を引っ張り、一緒に乗ろうとしたのだ。
シュウはアッゼの手を振り払う。
「僕はいい!」
「何、言ってんだよ!」
二人とも言葉が乱暴になっている。
それだけ余裕がなかった。
その時、大きな地震が来た。
魔導エレベータの中でも揺れたのがわかった。
「シュウ!」
直後に、ドーンという嫌な音がした。
近くで火山の噴火が起こったのだろう。
アッゼの声がシュウには聞こえなかったのか。
シュウは、何か逡巡しているようだった。
「シュウも……」
「元気でね」
言いながら、シュウは魔導エレベータを作動させた。
「シュウ!」
アッゼが手を伸ばすが、その体はすでに宇宙船の中にいたのだ。
「よかった。生存者がいた」
大人たちが喜んでいた。
子どものアッゼは必死に戻るよう頼んだ。
だが、無慈悲な答えが返ってくる。
「もうムリだ。地上へは近づけない」
それなら、とアッゼは魔導エレベータから一人で地上へ戻ろうと思った。
だが、アッゼの体は魔導エレベータから引きずり出される。
アッゼは泣いて暴れて頼んだ。
「シュウが! まだいるんだ。頼むから……」
アッゼは、鎮静剤を打たれ、強引に眠らされてしまう。
次に目が醒めた時には、数日が経過していた。
*
その後のことはよく覚えていない。
魔導エレベータでたどり着いた宇宙船がテッドの舟だったと、かなり後になってから知った。




