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《JACK》  作者: 時雨 咲綺
3/15

No.3





シャッターを開け、埃が立つ。


3ヶ月経つのか。


中に入るとジャリジャリと砂と靴の底が擦れる音がした。

「うぃーっす!元気にしてた?坊ちゃん?」


此処は、《JACK》のメンバーの溜まり場だ。

大阪、新世界。シャッター街の一角。


あまり知られてはいないものの《JACK》はメンバーが何人かいる。


中に入ると久々に会ったメンバーが声を掛けてきた。赤く髪を染め、両耳にピアスをし、ぶかぶかの白いTシャツに黒ズボン。銀の輪が二重になっているネックレス。

「坊ちゃんって呼ぶな、、」

「そうそう、キミタチ高校通ってるんだって?」

そうふざけた【ライ】に、

「互いに探るなと言わなかったか?」

「おお、ゴメンゴメン。【CLOWN】、オレも抜けたくないしね。《JACK》から」


「それよりライ。セキリュティはどうなってる?」

聞くとライはドヤ顔で言った。

「ああ、万全だ。全部いつでも解除できるぜ。」


ライは、インターネットを自由自在に解除・設定できる能力を持っている。防犯カメラや、通信機器まで解除できる。

《JACK》は、そんな化物じみた能力者の集まりだ。


「ねぇ、CLOWN。今回は何故呼ばれたの?私達。」

【スイ】が俺に言う。

「ああ、これから俺達《JACK》は活動を再開する、徹底的に奴らを叩きのめす。協力してくれるか?」


「「「「「「「「了解、我らがCLOWN」」」」」」」」


「OK、例のホテルだ。向かうぞ。」



俺は自然と微かに口角が上がっていた。




彼は自然と微かに口角が上がっていることなど気付いていない。


▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒



「おい、逃げ出したぞ!追え!」


忌々しい奴等の記憶。


腕、足首に残る枷の痕。


「た、すけて。助けてよ...う、ッッッ」


物陰に隠れ、必死に息を潜め過ぎ去ったのを見計らい逃げ出した。


駐車場はガソリンの匂いが充満していた。


嘔吐いてしまいそうだった。


今でもあの時を思い出し気分が悪くなる時がある。



走ってる間に脱げてしまった靴。



足の指、足の裏からは血が流れていた。


痛みも忘れ走った。


遠い何処かへ。


奴等の手の届かない場所へ。


その事だけを考えて。


この時ほど奴等を


両親を


そして能力者となってしまっていた自分を


恨んだ時があっただろうか。


未だ12歳だった俺には負担が大きすぎたんだ。


「俺は、化物だ。」


もうすぐ夏休みが終わる。

ゲリラ豪雨の最中だった。


▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒


「お、ぃ 起、きろ」


「お、ぃ 起、きろ」




「お、い起きろ」








「おい、起きろ。CLOWN」


寝て、いたのか。

俺は助手席に座っていた様だ、後部座席にはカタハが座りイヤホンを付け洋楽を口ずさんでいた。

窓の外を見ると、夜景が広がっていた。


「おーいCLOWN。もうすぐ着くんだから。

やっぱり坊ちゃんだねぇ」

運転席からライが言ってくる。

目線を下げ、ナビの左下を見ると時刻は7時30分とデジタル数字で映っていた。予告時間まであと20分か。

「五月蝿いぞ、ライ。余計なお世話だ。」

そう言うと、

「魘されてたぞ、例の夢を見てた?」







....!核心を突かれた。


「....ああ、奴等の夢だ」

正直に話す。


車が大きな交差点で止まる。

「そう、か。」


「、!」

「大丈夫だ、オレらが付いてるから。」


そう、俺には皆がいるんだ、あの事は忘れて、今は仕事に集中しろ。

俺は《JACK》《黒羽》の【CLOWN】!

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