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《JACK》  作者: 時雨 咲綺
14/15

No.14

「さて、どういうことだ?CLOWN」

カタハが俺に挑戦的な目を向けてくる。

「あの...蛍クンがCLOWNってどういう......?」

そう言う村上さんや心配そうな顔で見つめる前野さん。

「待っててください。」

「まず、《JACK》対策本部の皆さんにはこれで通じるでしょうかねぇ?」

俺は持って来たカラスのマスクを取り出し顔にはめた。

皆の表情が一斉に変わった。

「その羽、何処かで見たと思ってたんだよね。

それって黒羽のシンボルだもん。」

そう言う村上さん。


「んで、俺は此処で言わなきゃいけない事がある。《JACK》の皆、俺はっ」

息が止まる。言いづらい。どんな反応をされるかはもう1秒先に分かっているのに。

「俺はっ!」

「”最高傑作”だ。」

そう言った途端に対策本部の人達は意味が分からないと首を傾げていたが《JACK》の皆はもう分かっているはずだ。俺が見せた飛行以外の能力を。

「何で!今まで俺達を騙してたんだ???奴等の手下だったんだろ、本当は。”最高傑作”サマ!どっかで見下してたんだろ!?俺達失敗作を!なぁ、何とか言えよ!泣いたって意味は変わんねぇんだよ!おい!」

俺は泣いてた。自分が父さんが言うように幸せになっていい人間だと勘違いしてたんだ。

その事実が悲しくて。

カタハが手を振る。

叩かれる。そう思い目を瞑った。

その時だった。

「ッツいい加減にしろ!!蛍を何も知らないでッ!何が分かるッ?!」

父さんが、手を止めた。止めてくれた。

「蛍、先に報告書を進めといてくれるか?俺は話すべきことを話す。例の資料も持ってきているのだろう?」


「でも!そうしたら......」

「大丈夫だ、俺が納得させてやる。」

「......分かった 」

俺は父さんを信じて報告書の文書に取り掛かった。

▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒

「さて、君達には今から天崎 凛月のことを知ってもらう。」

「天崎 凛月......?」

「ああ、彼の幼少期の名だ。」

「どこから説明していこうか。彼は確かに”最高傑作”だった。能力を369個も保持していたらそうなるだろう。でも、彼は被害者だ。


彼は11歳の時に親の同意の元【能力保持実検体】となった。当時警察の上層部がより凶悪な犯罪が起こり始めた時に対抗すべく良い戦力となる人間が欲しかった、そこで金を渡し子供を実験体にして能力を手に入れさせた。非人道的な実験で。見た資料には書類があってね、

そこには今の彼の面影がある少年の笑顔の写真が貼られており、最後には天崎というくっきりとした判子が押されていたよ。


そこには、【天崎凛月】と書かれてあった。


これは、彼の名だ。



そして、恐る恐る次のページをめくると


実験内容が書かれてあった。それは無茶苦茶な内容だった。今にも吐き出してしまいそうな内容だ。こんな事を、まだ11、12歳の子供にしていたのかと目を疑う程だ。身を削ったり、烏の羽を食わせたり、3日間食事を与えなかったり、薬品を投入したり、その他はもう考える事すら止めてしまいたいほど非人道的な事だった。まるで、マウスにしているような事だ。


そして、烏の羽を食わせる、の後には写真が付いており、少し痩せた彼は上半身を晒しておりその背中には烏のような大きな羽根を広げていた。


彼は、泣いていた。そして、その写真の後にはこう書かれてあった、『飛行』の能力保持。


そして、青紫色の薬品を投与した、の後には


『言霊』の能力保持。と、書かれてあった。


その次の項目にもそれぞれ能力保持。と書かれてあった。


その後もパラパラとめくったが、全ての項目に能力保持。と書かれ続けていた。その時には手が、ブルブルと震えた。そして、稀に写真があったが彼はもう顔に心情が表れていなかった。もう、痛みという概念も彼の中から消え失せてしまったのかもしれない。日に日に笑顔が増えていく彼以外に写る人々の姿。その中には、自分のよく知る上層部の警官も居た。信じられない。もう、何を信じていいのかも分からなくなっていた。そして、最後のページには、こう書かれたあった。丁度最初のページから1年が経っている。1年も......




”彼は我々の最高傑作だ。これから成長すれば警官となり、良い戦力となるだろう!”


怒りが、沸いた。そして、目線を下に移した。


これは、5年前の今日の記録だ。天崎凛月が研究所から逃走。保護命令を出している。


彼は、逃げ出したんだ。研究所という地獄から。


彼はね、《JACK》という仲間が出来た。

生まれて初めて信用出来る仲間。

それでも、”最高傑作”は恨まれる存在だった。

彼は、そんなに恨まれる存在なんかじゃない。


金欲しさに自分達の息子を売った両親、自分が壊れていく様を見ながら喜ぶ奴等の目、そして。


施設でも逃げ出した後でさえも化物を見るような目で見られて来た彼は自分を抑え、誰に言っても信じてもらえなかった人間への不信感も、唯一信じることの出来た皆に”恨むべき存在”と評された本来の自分を、

さらけ出すのを恐れていたんだ。

ずっと、君達といる間。」


「そんな、だって”最高傑作”は奴等とどうせ同じだと教わってきた。


チヤホヤされて持て囃されながら自分の苦しい実験も知らずに生きてるんだと。そう教わったんだ。」



「多分、上層部は失敗作である人に彼の事は詳しくは言っていない。今でも分かるように彼が最早実験を受けずに能力を手にし、逃走せずセンセイにも他の人にもチヤホヤされて生かされているような口振りだった。上層部が彼を制御出来なくなった時に殺させる為だったのだろうな。


皆に真実を言っても信じて貰えないと思った。

そう言っていたよ。」

「なん、で、言ってくれなかったんだ?」

「......1回、君に聞いたらしい。自分が”最高傑作”だと言ったらどう思う、と。

そしたら、君は憎むべき存在だと奴等と同じ様に憎んでいると言ったと蛍は言っていたよ。

もちろん、記憶は消したらしいけどね。

それからだ、彼が本当のことを言うのが怖くなったのは。」

「俺は、いま、なにを?」

「彼は、親やセンセイ、友人から貰う筈の愛もその優しさも憎しみや恐怖に。

屑の大人達に囲まれ育ち、世間から白い目で見られながらも生きてきた可哀想な人だ。本来ならば受けているはずのものを何も持っていなかった。

それでも偽りの仲間だった君達《JACK》を巻き込みたくない、手を汚させたくないと言ったんだ。彼は復讐が済んでからは警察になって普通に働いていく。残りの人生で感じて欲しいことが山ほどあるんだ。だから、大人しくしておいて。

全て終わるまで。」



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