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遺伝と恋と殺人事件  作者: 丹部柿太郎
1/3

《前編》 最近見る夢

 この世には二種類の人間がいる。新人類と旧人類だ。


 旧人類は連面と続いて来た普通の人間。

 新人類はカエノと呼ばれる。卵子・精子の時点で遺伝子操作をして、親の経験や知識を子に引き継げる。これにより親と同等の知識や体に染みついた経験ー例えばプロスポーツ選手としての技量、それらを持って生まれることができるのだ。


 この技術が出来た頃には強い副作用があって、それによって生まれた子はモンスター化。政府によってこっそり駆除されたとかなんとか。ま、都市伝説だ。


 今じゃカエノが人類の半分。旧人類は、今じゃ手軽な料金の遺伝子操作費用を払えない貧乏人か、宗教上の理由で拒否する人、古い道徳観にとりつかれた石頭のどれかだ。


 自然と社会は住み分けが進んだ。カエノの街がどんどん進化する一方で旧人類の街は旧態依然としている。

 もっともそれはそれでノスタルジーをそそるので、カエノの間では観光スポットとして人気だ。僕は行ったことはないけど。


 もっともカエノも旧人類も外見に差異はないから見た目だけで判別することはできない。カエノでありながら旧人類のふりをしている奴らもいるし、その逆もいるって噂だから、実のところは住み分けもできていないのかも。


 そんな社会で、僕は何代も続く生粋のカエノでカエノの街に住んでいる。親や先祖から受け継いだのは様々あるけど、残念ながら、他カエノより秀でているのは特にない。カエノはみんな先祖の良いものを引き継いでいるから、旧人類より格段に優れていても、カエノ社会では普通の人間なのだ。


 それでも一応遺伝子操作は受けている。そうしないと親まで受け継いで来たものが途切れて、旧人類レベルになる可能性が高いからだ。


 でも僕みたいな凡カエノはもう一般的だ。だから秀でたところがなくてもたいして苦じゃない。


 だが。

 最近ちょっと気になっていることがある。

 毎晩同じ夢を見る。すごくリアルで、夢とは思えない。

 恐らくは先祖の誰かの経験だ。


 たまにあるらしい。子に引き継ぐ知識や経験は親が選び、そのように操作をしてもらうのだが、たまに必要としていなかったものが混じる。

 医療ミスというより、まだまだ人体には神秘がある、というレベルの話らしい。

 そしてこのオマケは夢に現れる。


 だから夢を見ること自体は何の問題もない。

 問題は内容。


 夢の中で僕とリンクしている先祖の誰かは、女の子を刺し殺す。




◇ご案内◇


《僕》の話している都市伝説は、この作品の前段階としての短編

『副作用で7億秒後に○○になります。』

です。軽めのホラーです。


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